「来月の支払いを考えると、夜も眠れない…」
「売上は黒字のはずなのに、なぜ手元の現金が消えていくんだ…」
その苦しい状況、痛いほどわかります。はじめまして。元銀行員の財務コンサルタント、佐々木真帆です。

銀行員時代、私は素晴らしい技術を持ちながらも「資金ショート」で倒産寸前に追い込まれる経営者を数多く見てきました。
「もう少し早く相談してくれていれば…」その悔しさから独立した今、断言します。資金ショートは、正しい知識と手順さえあれば必ず乗り越えられます。
ご安心ください。この記事では、資金ショートの本当の原因から、【1ヶ月前・1週間前・直前】という時系列で取るべき具体的な緊急対策、そして二度と繰り返さないための予防策まで、私の全知識を注ぎ込みました。
【この記事の結論】資金ショートは「時系列」での対策が必須
資金ショートの危機に陥った際、残された時間に応じて打つべき手は異なります。以下のロードマップに沿って、冷静かつ迅速に行動することが、倒産を回避する鍵となります。
- 【発生1ヶ月前〜】初動対応
支払い・入金のタイミングを取引先と交渉します。まずは「入金を早め、支払いを遅らせる」ことができないか、誠実に相談しましょう。 - 【発生1週間前〜】緊急の資金調達
交渉だけでは間に合わない場合、「ファクタリング」や「ビジネスローン」といった短期的な資金調達を実行し、時間を稼ぎます。 - 【発生直前】金融機関への相談
万策尽きた場合は、絶対に連絡を絶たず、資金繰り表や経営改善計画書を持参の上、メインバンクに返済計画の変更(リスケジュール)を相談します。 - 【平時からの予防策】
最も重要なのは、日頃から「資金繰り表」を作成・運用することです。これにより危険を早期に察知し、複数の資金調達手段を確保しておく余裕が生まれます。


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資金ショートとは?利益が出ていても倒産する「黒字倒産」の恐怖
資金ショートの基本的な意味
資金ショートとは、一言でいえば「会社の金庫や預金口座から現金がなくなり、支払いができなくなる状態」のことです。
仕入代金、従業員の給与、オフィスの家賃、借入金の返済…。
会社には、待ったなしの支払いが常にあります。
これらの支払いが、たとえ1円でもできなくなった瞬間、会社は「支払い不能」となり、事実上の倒産状態に陥ってしまいます。
銀行員時代、立派な決算書を持っていても、「佐々木さん、申し訳ない…今月の支払いが…」と頭を下げに来る社長を何人も見てきました。
これが、資金ショートの残酷な現実です。
「赤字」「債務超過」との決定的な違い
ここで、よく混同されがちな言葉との違いを明確にしておきましょう。
用語 | 内容 | 緊急度 |
---|---|---|
資金ショート | 手元の現金がなく、支払いができない状態(キャッシュフローの問題) | 最高(即、倒産の危機) |
赤字 | 一定期間の収益より費用が多い状態(損益計算書の問題) | 高 |
債務超過 | 会社の負債が資産を上回っている状態(貸借対照表の問題) | 中 |
「赤字」や「債務超過」でも、手元に支払いのためのお金があれば、会社はすぐに倒産しません。
しかし、たとえ決算書が真っ黒な「黒字」であっても、資金ショートを起こせば会社は一瞬で倒産してしまうのです。
これが最も重要なポイントです。
債務超過で融資を受けれるのか?については以下の記事が参考になります。
なぜ起こる?「黒字倒産」のメカニズム
「利益が出ているのに、なぜお金がなくなるの?」
これは多くの経営者が抱く疑問です。



黒字倒産の最大の原因は、「お金が入ってくるタイミング」と「お金が出ていくタイミング」のズレにあります。
例えば、商品を100万円で販売したとします。
会計上は「売上100万円」という黒字が計上されます。
しかし、その代金が2ヶ月後に入金される契約(売掛金)だったとしましょう。
一方で、その商品を作るための材料費50万円の支払いは、1ヶ月後(買掛金)にやってきます。
この場合、売上は立っているのに、入金より支払いが先に来るため、手元の現金が50万円も減ってしまうのです。
もしこの時、手元に50万円がなければ、黒字にも関わらず支払いができず、資金ショートを起こしてしまいます。
特に、事業が急成長している企業ほど、仕入や人件費がどんどん増えていくため、このズレが大きくなり、「嬉しい悲鳴」のはずが黒字倒産のリスクを高めてしまうのです。
【元銀行員が解説】資金ショートに陥る5つの根本原因
私が銀行の融資審査やコンサルティングの現場で見てきた、資金ショートに陥る企業には、いくつかの共通した原因がありました。
自社に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
売上の急激な変動(減少または増加)
売上が急に減れば、入ってくるお金が減るため、資金繰りが苦しくなるのは当然です。
しかし、意外なことに「売上の急増」も資金ショートの引き金になることを知っておいてください。
売上が増えれば、それだけ多くの商品を仕入れたり、人を雇ったりする必要があります。
つまり、入金を待たずに、支払いが先行して出ていくお金が増えるのです。
銀行の融資審査では、急激な売上増も「絶好調ですね!」と手放しで喜ぶわけではありません。
「この売上増に対応できるだけの運転資金はありますか?」「仕入の支払いは大丈夫ですか?」と、むしろリスクとして慎重に見ていました。
成長している時こそ、足元の資金管理が重要なのです。
売掛金の回収サイトと買掛金の支払サイトのズレ
先ほどの黒字倒産のメカニズムでも触れましたが、これが資金繰りを圧迫する最大の要因の一つです。
- 回収サイト: 商品を売ってから、代金が入金されるまでの期間
- 支払サイト: 材料などを仕入れてから、代金を支払うまでの期間
例えば、「商品を売ってから入金されるまで60日後なのに、材料の支払いは30日後」という状況では、30日間のお金のギャップが生まれます。
このギャップを埋めるだけの現金(運転資金)がなければ、会社は持ちこたえられません。
過剰在庫と過大な設備投資
売れない在庫は、会社の資金を凍らせているのと同じです。
「いつか売れるだろう」と抱えている在庫は、お金を生まないばかりか、保管コストまでかかります。
また、将来を見越した設備投資も重要ですが、計画性のない過大な投資は、多額の借入金返済となって毎月の資金繰りを圧迫します。
「その投資は、本当に今必要ですか?」「投資した分を、いつまでに回収できる計画ですか?」と、常に自問自答する癖をつけましょう。
予期せぬ多額の支出
- 工場の機械が突然故障した
- 取引先から損害賠償を請求された
- 自然災害で店舗が被害を受けた
こうした計画外の支出は、突然やってきます。
日々の資金繰りに余裕がない会社ほど、こうした不測の事態に対応できず、一気に資金ショートに追い込まれてしまいます。
どんぶり勘定の資金管理
これが最も根深く、そして最も危険な原因かもしれません。
資金繰り表を作成せず、社長の頭の中や通帳の残高だけで「なんとなく」資金管理をしている状態です。
「これくらい大丈夫だろう」
「今までもなんとかなってきたから」
銀行員時代、こうした感覚的な経営が、静かに会社を資金ショートへと向かわせるのを何度も見てきました。
資金繰りの悪化は、気づかないうちに進行する病気のようなもの。
早期発見・早期治療が何よりも大切なのです。
【緊急度・時系列別】資金ショートを乗り切るための対策ロードマップ
もし「うちの会社、危ないかもしれない…」と感じたら、冷静に、そして迅速に行動することが重要です。
ここでは、緊急度と時間軸に沿って、具体的な対策をロードマップとして示します。
【発生1ヶ月前〜】危険信号を察知した時の初動
資金繰り表を見て、1ヶ月後の現金残高がマイナスになりそうな場合に、まず着手すべきことです。
1. 資金繰り表の再点検
まずは現状把握です。本当に入ってくるお金、出ていくお金の額とタイミングに間違いがないか、徹底的に確認します。
2. コスト削減
不要な広告費、過剰な接待交際費、社長の個人的な経費など、すぐに削減できるものがないか見直します。聖域はありません。
3. 入金予定の前倒し交渉
主要な取引先に連絡し、「大変恐縮ですが、来月分の売掛金を少しでも早くお支払いいただくことは可能でしょうか」と誠実に交渉します。
4. 支払い予定の後ろ倒し交渉
仕入先や外注先に連絡し、「誠に申し訳ないのですが、今月分の支払いを来月に延期していただくことは可能でしょうか」と正直にお願いします。



この段階で重要なのは、一人で抱え込まず、関係各所に誠実に相談することです。
【発生1週間前〜】支払い日が迫った時の緊急対策
初動対策だけでは間に合わない、より緊急性が高い場合の選択肢です。
それぞれメリット・デメリットがあるので、慎重に判断してください。
資産の売却
使っていない機械や土地、有価証券、ゴルフ会員権など、現金化できる資産を売却します。
手形割引
取引先から受け取った約束手形を、支払期日前に銀行や手形割引業者に買い取ってもらい、現金化する方法です。手数料がかかります。
ファクタリング
売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に現金化する方法です。手数料は高めですが、最短即日で資金調達できる場合もあります。
ビジネスローン
ノンバンクなどが提供する事業者向けローンです。銀行融資より審査が早く、手続きも簡単ですが、金利は高い傾向にあります。
ファクタリングやビジネスローンは、金利や手数料が高く、常用すると経営を圧迫します。
しかし、倒産という最悪の事態を避けるための「時間を稼ぐ」最終手段として、有効な場合があります。
ただし、これはあくまで応急処置であり、根本的な解決ではないことを肝に銘じてください。
【発生直前・直後】元銀行員が教える金融機関・取引先への交渉術
万策尽きて、どうしても支払いができそうにない…。
その時に取るべき最後の手段が、金融機関への支払い猶予(リスケジュール、通称リスケ)の交渉です。
これは「絶対にやってはいけないこと」ではなく、会社を立て直すための「最後の切り札」です。
交渉を成功させるためには、鉄則があります。
「正直に、誠実に、そして具体的な再建計画を持って相談すること」
銀行員として最も困ったのは、返済日当日になって「払えません」と言われることでした。
そうなる前に、最低でも1週間前、できればもっと早く相談に来てください。
【銀行交渉のポイント】
- 誰に?: まずは担当者に連絡します。いきなり支店長に話しても、状況を把握している担当者を通すことになります。
- 何を?: 以下の3点は必ず準備してください。
- 資金繰り表: なぜ資金ショートに陥ったのか、今後の入出金の見通しがどうなっているのかを客観的に示すため。
- 経営改善計画書: コスト削減や売上向上のための具体的なアクションプラン。「頑張ります」だけではダメです。
- 返済計画: いつから、いくらずつなら返済を再開できるのか、具体的なスケジュールを提示します。
- どう話す?: 決して隠し事をせず、現状を正直に話してください。そして、会社を立て直すという強い意志を見せることが何よりも重要です。
銀行も、貸したお金が回収できなくなる「貸し倒れ」が一番の損害です。
会社に再建の見込みがあると判断できれば、彼らもビジネスとして支援を検討してくれるのです。
二度と繰り返さない!健全なキャッシュフローを作るための予防策
緊急事態を乗り切ったら、二度と同じ過ちを繰り返さないための体質改善が必要です。
ここからは、会社の心臓部であるキャッシュフローを健全にするための予防策をお伝えします。
資金繰り表の作成と運用の徹底
これは全ての経営の基本です。
難しく考える必要はありません。Excelなどで、今後3ヶ月〜半年先までの現金の入出金予定を管理するだけで十分です。
- いつ、誰から、いくら入金されるのか?
- いつ、誰に、いくら支払うのか?
- その結果、月末の現金残高はいくらになるのか?
これを「会社の健康診断」として習慣化することで、資金ショートの危険を数ヶ月前に察知し、先手を打つことができるようになります。
資金繰り表の作成については以下の記事をご覧ください。
適正在庫の維持と支払い・回収サイトの見直し
定期的に在庫をチェックし、長期間売れていないものは処分やセールを検討しましょう。
在庫回転率などの指標を使って管理するのも有効です。
また、新規の取引先とは、契約の段階でできるだけ「回収は早く、支払いは遅く」なるように交渉する意識を持つことが大切です。
複数の資金調達手段の確保
資金調達の窓口を、取引のあるメインバンクだけに頼るのは危険です。
いざという時に助けてもらえるよう、複数の選択肢を持っておきましょう。
- 日本政策金融公庫: 政府系の金融機関で、中小企業や個人事業主に積極的に融資を行っています。
- 信用保証協会: あなたの会社の保証人になってくれる公的機関で、銀行からの融資を受けやすくなります。
- 制度融資: 自治体が利子の一部を負担してくれるなど、有利な条件で融資を受けられる制度です。
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済): 掛金を積み立てておけば、取引先が倒産した際に無担保・無保証人で借入れができる制度です。これは、いざという時の保険として強く加入をおすすめします。
専門家を頼ろう!資金ショートに関する主な相談先
資金繰りの悩みは、一人で抱え込んでも解決しません。
専門家の力を借りることを、決してためらわないでください。
公的機関(日本政策金融公庫、商工会議所、よろず支援拠点など)
多くの場合、無料で相談に乗ってくれます。
全国各地に拠点があり、中小企業の経営を支援することが彼らの役割です。
どこに相談していいか分からない場合は、まずここから始めてみましょう。
専門家(税理士、中小企業診断士、資金繰りコンサルタント)
税理士
会社の財務状況を最もよく知る身近な専門家です。ただし、税務のプロであっても、資金繰りや銀行交渉に詳しいとは限りません。
中小企業診断士
経営全般に関するアドバイスができます。
資金繰りコンサルタント
私のような、まさに資金繰り改善を専門とするコンサルタントです。銀行交渉の代理や、具体的な改善策の立案・実行をサポートします。
金融機関
繰り返しになりますが、メインバンクへの早めの相談は非常に重要です。
ただし、相談のタイミングや方法を間違えると、「この会社は危ない」というネガティブな印象を与えかねません。
事前に専門家に相談し、しっかりと準備をしてから臨むのが最善です。
よくある質問(FAQ)
Q: 資金ショートしたら、すぐに倒産してしまうのですか?
A: 必ずしもすぐに倒産するわけではありません。支払いが一度でも滞ると信用は大きく傷つきますが、誠実な対応と再建計画を示すことで乗り切れる可能性はあります。しかし、事実上の倒産状態に陥るリスクが非常に高いため、ショートする前の対策が何よりも重要です。
Q: 個人事業主でも資金ショートは起こりますか?
A: はい、起こります。法人・個人を問わず、事業を行う上でキャッシュフロー管理は不可欠です。個人事業主の場合、事業資金と生活資金が混同しがちで、かえって資金管理が曖昧になるケースもあるため注意が必要です。多くの公的相談機関は個人事業主も対象としています。
Q: 資金ショートしそうな時、絶対にやってはいけないことは何ですか?
A: 連絡を絶つこと、虚偽の説明をすること、そして高利なヤミ金に手を出すことです。誠実さを失えば、再建の道は閉ざされます。苦しい時こそ、関係各所に正直に状況を説明し、協力をお願いすることが大切です。
Q: 銀行に相談したら、すぐに融資を止められてしまいませんか?
A: 銀行員としての経験から言うと、ギリギリまで隠される方が心証は悪くなります。返済が困難になる前に、具体的な改善策や計画を持って「相談」に来てもらえれば、銀行側も企業の再建を支援する方向で検討します。重要なのはタイミングと準備です。
Q: 資金繰り改善のために、まず何から手をつければ良いですか?
A: まずは「現状把握」です。本記事で紹介したような資金繰り表を使い、最低でも今後3ヶ月のお金の出入りを予測することから始めてください。どこに問題があるのかが可視化されなければ、正しい対策は打てません。
まとめ
この記事では、資金ショートの恐ろしさから、その原因、そして乗り越えるための具体的な対策と予防策までを、私の経験を交えてお話ししてきました。
最後に、これだけは覚えておいてください。
- 資金ショートは「黒字」でも起こる、最も恐ろしい経営リスクである。
- 原因の多くは「どんぶり勘定」の資金管理にある。
- 対策は「時系列」で考え、迅速かつ誠実に行動することが鍵。
- 最高の予防策は「資金繰り表」を習慣にすること。
資金繰りは、経営者にとって最も重要なスキルの一つです。
それは、会社の血液であるお金の流れをコントロールし、会社の命を守ることに他なりません。



銀行員時代、私は多くの経営者の涙を見てきました。
だからこそ、あなたには同じ思いをしてほしくないのです。
今日の記事をきっかけに、自社のキャッシュフローと真剣に向き合い、盤石な経営基盤を築いていただければ、これほど嬉しいことはありません。
あなたの会社には、素晴らしい未来が待っています。
その未来を、資金繰りの問題で諦めることのないよう、心から応援しています。


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