賞与を払えない経営者の皆様へ。罪悪感を希望に変える5つの緊急対策

「今年も、社員に賞与(ボーナス)を払えないかもしれない…」

従業員の顔を思い浮かべるたび、申し訳なさと焦りで胸が張り裂けそうになる。そんな罪悪感を一人で抱え込み、デスクで頭を抱えている経営者の皆様へ。

佐々木 真帆

そのお気持ち、痛いほどお察しします。財務コンサルタントの佐々木真帆です。

元銀行員として、私は資金繰りの問題だけで、素晴らしい会社が従業員の信頼を失い、静かに崩壊していく姿を何度も見てきました。しかし、賞与を払えないという危機は、正しい手順で対処すれば必ず乗り越えられます。

この記事では、単なる精神論ではなく、資金繰りのプロが「今日から実行できる具体的な5つの緊急対策」を徹底解説します。

【この記事の結論】賞与を払えない時に経営者が取るべき3つのステップ

賞与を払えないという危機は、正しい手順で対処すれば乗り越えられます。従業員との信頼関係を維持し、会社を立て直すために、以下の3つのステップを直ちに実行してください。

  • ステップ1:法的リスクの確認
    • まずは就業規則を確認。「業績に応じて支給」などの記載があれば、減額や不支給の正当性が高まります。記載がない場合は、一方的な不支給は「労働条件の不利益変更」と見なされるリスクがあります。
  • ステップ2:従業員への誠実な説明
    • 賞与支給日の最低1ヶ月前には、経営者自身の言葉で説明の場を設けます。「①謝罪」「②客観的な事実」「③未来への展望」の3点を伝え、信頼関係の毀損を最小限に食い止めます。
  • ステップ3:緊急資金繰り対策の実行
    • 役員報酬カットなど経営陣が先に身を切る姿勢を示しつつ、金融機関への早期相談やファクタリング、公的融資の活用など、あらゆる手段でキャッシュフローの改善を図ります。

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目次

まずは冷静に。賞与を払えない場合の法的リスクと就業規則の確認

「賞与を払えないのは、法律違反だろうか…」

この不安が、経営者の皆様の冷静な判断を鈍らせる最初の壁です。
まずは法的な立ち位置を正確に理解しましょう。

賞与不支給の法的リスク確認フロー

賞与支払いの法的義務はどこまであるか?

結論から言うと、労働基準法では、賞与(ボーナス)の支払いは義務付けられていません。
あくまで企業の裁量に委ねられているのが原則です。

しかし、就業規則や労働契約書に「賞与を支給する」と明確に記載されている場合は話が別です。
この場合、賞与は「賃金」と見なされ、会社は法的な支払い義務を負います。

私がコンサルティングで関わった企業でも、この就業規則の文言一つで、その後の対応が大きく変わるケースを何度も見てきました。

就業規則・労働契約書のチェックポイント

今すぐ、自社の就業規則や労働契約書を確認してください。
特に重要なのが、以下の文言が入っているかどうかです。

  • 「賞与は、会社の業績を勘案してその都度支給の有無、支給額を決定する」
  • 「賞与は、業績に応じて支給することがある」

このような「業績連動規定」があれば、業績不振を理由として賞与を減額したり、不支給としたりすることが法的に認められやすくなります。

もし、このような記載がなく「毎年〇月と〇月に給与の〇ヶ月分を支給する」といった確定的な記載になっている場合は、注意が必要です。

最悪の事態を避けるための労務上の注意点

業績連動規定がないまま一方的に賞与を不支給にすると、「労働条件の不利益変更」と見なされ、従業員との間で深刻な労務トラブルに発展するリスクがあります。

そうならないためにも、最も重要なのが「従業員への誠実な説明」です。
法的なリスクを理解した上で、次にお伝えする「伝え方」を実践してください。

信頼関係を壊さない!従業員のモチベーションを維持する伝え方の鉄則

資金繰りと同等、いやそれ以上に重要なのが、従業員との信頼関係です。
この危機を乗り越えるには、彼らの協力が不可欠だからです。

なぜ「伝えない」ことが最大のリスクなのか

「言いにくいから…」と告知を先延ばしにすることは、最悪の選択です。

銀行員時代、私はコミュニケーション不足が原因で組織が崩壊していく会社を目の当たりにしました。
噂や憶測が飛び交い、優秀な社員から静かに会社を去っていくのです。

従業員は、会社の状況を敏感に感じ取っています。
経営者が誠実に向き合わないことは、不信感の増大に直結し、取り返しのつかない事態を招きます。

伝えるべき3つの要素:謝罪・事実・未来

従業員に説明する際は、必ず以下の3つの要素を盛り込んでください。

  1. 真摯な謝罪:まず、約束を果たせないこと、期待に応えられないことに対して、経営者として心から謝罪します。
  2. 客観的な事実:なぜ賞与を払えないのか。具体的な数字を交えながら、会社の厳しい経営状況を誠実に、そしてオープンに説明します。
  3. 未来への展望:この危機をどう乗り越えるのか。具体的な再建計画と、業績が回復した暁には必ず報いるという未来の約束を、力強く語ります。

この誠実な姿勢こそが、従業員の心を繋ぎ止め、信頼関係を再構築する唯一の道です。

【例文あり】伝えるタイミングと具体的な言葉選び

佐々木 真帆

説明は、賞与支給予定日の最低でも1ヶ月前には、全体説明会などの公式な場を設けて、経営者自身の言葉で語りかけるべきです。

<説明の構成案>

皆さん、本日は集まっていただきありがとうございます。
大変申し上げにくいご報告があり、本日は私から直接お話しさせていただきます。

(謝罪)
まず、結論から申し上げます。
大変申し訳ありませんが、今期の冬の賞与は、支給を見送らせていただくという苦渋の決断をいたしました。
皆さんの日々の頑張りを考えれば、賞与で報いるのが経営者としての当然の責務です。その約束を果たせないこと、皆さんの期待を裏切る形になってしまったこと、全ては私の経営者としての力不足です。心からお詫び申し上げます。

(事実)
なぜこのような決断に至ったか、包み隠さずお話しします。
(ここで、売上減少の具体的な数字や、原材料費高騰の影響などをグラフなどで示しながら説明する)
このような状況が続き、現在の会社のキャッシュフローは非常に厳しい状況にあります。このまま賞与を支給すれば、来月以降の皆さんの給与支払いや、事業継続そのものが困難になる可能性がありました。

(未来)
しかし、私は決して諦めていません。
この危機を乗り越えるため、本日お話しする資金繰り改善策に全力で取り組みます。(役員報酬のカットなど、経営陣の覚悟も示す)
そして、業績が回復した際には、必ず今回の分も含めて皆さんに還元することをお約束します。

苦しい時だからこそ、皆さんの力が必要です。
どうか、この会社の未来を信じて、力を貸してください。
よろしくお願いします。

このように、経営者の覚悟を示す言葉を選ぶことが、従業員の心を動かします。

【元銀行員が解説】罪悪感を希望に変える5つの緊急資金繰り対策

さて、ここからは具体的なアクションプランです。
罪悪感を感じている時間はありません。今すぐ打てる手を全て打ち、キャッシュフローを改善しましょう。

対策1:聖域なきコスト削減と役員報酬カット

まず、経営者自身が身を切る姿勢を示すことが、社内外からの信頼を得る第一歩です。

役員報酬のカット

従業員の納得感を得る上で最も効果的です。また、銀行員は融資審査の際、経営者がどれだけ覚悟を持っているかを厳しく見ています。役員報酬カットは、金融機関に対する強力なメッセージにもなります。

役員報酬の節税に関してはこちらの記事も参考になります。

固定費の見直し

家賃、通信費、保険料、サブスクリプションサービスなど、聖域なく全てのコストを見直しましょう。一つひとつは小さくても、積み重なれば大きなキャッシュ改善に繋がります。

対策2:売掛金の早期回収と支払いサイトの交渉

キャッシュフロー改善の鉄則は「入金を早く、支払いを遅く」です。

  • 売掛金の早期回収:入金サイトが長い取引先には、短縮を交渉しましょう。
  • 支払いサイトの交渉:仕入先には、支払いサイトの延長をお願いできないか相談します。
  • ファクタリングの活用:緊急で現金が必要な場合、売掛債権を買い取ってもらう「ファクタリング」も有効な手段です。ただし、手数料がかかるため、利用は計画的に行う必要があります。
手法メリットデメリット
2社間ファクタリング取引先に知られずに迅速に資金化できる手数料が比較的高め
3社間ファクタリング手数料が比較的安い取引先の承諾が必要で、時間がかかる

売掛金の回収については以下の記事もご覧ください。

対策3:金融機関への誠実な相談と返済猶予(リスケジュール)

「銀行に相談したら、もう貸してもらえなくなるのでは…」
これは、多くの経営者が抱く誤解です。

佐々木 真帆

元銀行員として断言します。
銀行が最も困るのは、何の相談もなく突然返済が滞ることです。

返済が厳しくなる兆候が見えたら、隠さずに、できるだけ早く相談してください。
その際は、以下の2点を必ず準備しましょう。

  1. 正確な資金繰り表:会社の現状を客観的に示す最も重要な資料です。
  2. 具体的な経営改善計画:今後、どのように立て直していくのか、具体的なアクションプランを示します。

これらを持って誠実に相談すれば、銀行はあなたの事業のパートナーとして、返済額の減額や一時的な猶予(リスケジュール)といった支援策を真剣に検討してくれます。

対策4:活用できる公的融資・補助金制度の洗い出し

民間の金融機関だけでなく、国や自治体のセーフティネットも積極的に活用しましょう。

  • 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付:業況が悪化した中小企業を対象とした融資制度です。2025年も物価高騰などの影響を受けた事業者向けに制度が継続されています。
  • 各種補助金・助成金:2025年は「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」などに加え、新事業や成長加速を支援する新しい補助金も始まっています。

自社がどの制度を使えるか、中小企業庁のウェブサイトや、地域の商工会議所などで必ず確認してください。

対策5:不要資産の売却によるキャッシュ創出

会社には、意外と眠っている資産があるものです。

  • 遊休資産:使っていない機械や車両、不動産など。
  • 有価証券:政策保有株式やゴルフ会員権など。
  • 過剰在庫:セール販売や専門業者への売却で現金化します。

これらの資産を売却することで、緊急の運転資金を生み出すことができます。
貸借対照表を隅々まで見直し、現金化できる資産がないか洗い出してみましょう。

ボーナスだけが全てじゃない。従業員エンゲージメントを高める代替案

賞与という金銭的な報酬が難しい今だからこそ、従業員の心に響く非金銭的な報酬を検討しましょう。

金銭以外のインセンティブ(特別休暇、研修機会の提供)

  • 特別リフレッシュ休暇:心身を休め、新たな活力を得てもらうための休暇制度。
  • 研修機会の提供:従業員のスキルアップは、会社にとって未来への投資です。外部研修への参加費用を会社が負担するなど、成長意欲に応える姿勢を示します。

会社の未来を共有する「決算報告会」の実施

苦しい状況だからこそ、経営の透明性を高めることが重要です。
全社員参加の「決算報告会」などを開き、会社の現状と今後のビジョンを共有しましょう。
従業員に「自分も会社経営の一員だ」という当事者意識が芽生え、エンゲージメントの向上に繋がります。

業績回復後の「決算賞与」や「ストックオプション」の約束

「今回は見送るが、必ず報いる」という約束を具体的に示すことが、未来への希望になります。
「V字回復を達成した際には、利益の一部を決算賞与として特別に支給する」といった具体的な目標とセットで約束することで、従業員のモチベーションを維持します。

経営者のあなたへ。罪悪感を乗り越え、未来の成長を描くために

「一人で抱え込まない」ことの重要性

経営者は孤独です。
しかし、その重圧を一人で抱え込む必要はありません。

税理士や私のような財務コンサルタント、あるいは地域の経営者仲間など、信頼できる専門家や同志に相談してください。
私がこれまで支援してきた経営者の皆さんも、外部の客観的な視点を得ることで、新たな解決策を見出してきました。

資金繰り表は「未来への航海図」である

資金繰り表の作成は、守りの作業ではありません。
会社の未来を計画し、荒波を乗り越えるための「攻めの航海図」を作る作業です。
この危機を乗り越え、キャッシュの流れを正確に把握できる強固な財務体質を築くことができれば、それは会社にとって一生の財産になります。

今こそ、会社の存在意義(パーパス)を問い直す

私は趣味で温泉巡りをしながら、その土地で頑張る中小企業を見て回るのが好きなのですが、苦しい状況でも輝いている会社には共通点があります。
それは、自社の存在意義(パーパス)が明確であることです。

「私たちは、何のためにこの事業をやっているのか?」
「社会に、お客様に、どんな価値を提供したいのか?」

苦しい時だからこそ、この原点に立ち返ってみてください。
その答えが、従業員と心を一つにし、この困難を乗り越えるための最も強い力になるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q: 賞与を払えないことを、どのタイミングで従業員に伝えるべきですか?

A: 支給できない可能性が濃厚になった時点で、できるだけ早く伝えるべきです。賞与支給日直前の告知は従業員の生活設計を狂わせ、深刻な不信感に繋がります。遅くとも支給予定日の1ヶ月前には、経営状況と合わせて誠実に説明することが望ましいです。

Q: 業績が悪い場合、賞与は全く出さなくても良いのでしょうか?

A: 就業規則に「業績に応じて支給する」といった定めがあれば、業績不振を理由に不支給とすることは法的に可能です。ただし、従業員のモチベーション維持のため、少額でも「寸志」として支給することを検討する経営者もいます。会社の状況と従業員への影響を総合的に判断することが重要です。

Q: 役員報酬から先にカットすべきでしょうか?

A: 法的な義務はありませんが、従業員の納得感を得て、会社一丸となって危機を乗り越えるためには、経営陣が先に身を切る姿勢を示すことが極めて重要です。金融機関からの心証も良くなる傾向があります。まずは役員報酬の減額から検討することをお勧めします。

Q: 金融機関に相談に行くと、今後の融資に悪影響が出ませんか?

A: むしろ逆です。返済が困難になる前に、現状と改善策を持って誠実に相談することは、金融機関との信頼関係を維持・強化します。何も相談なく延滞することが最も信頼を損ないます。元銀行員として断言できますが、早めの相談が最善手です。

Q: 今回は乗り切れそうですが、今後の資金繰りが不安です。何から手をつければ良いですか?

A: まずは「資金繰り表」を作成し、お金の流れを可視化することから始めてください。最低でも3ヶ月先、できれば6ヶ月先までの入出金予測を立てることで、問題の兆候を早期に発見できます。その上で、専門家のアドバイスを受けながら、長期的な財務改善計画を立てていきましょう。

まとめ

賞与を払えないという現実は、経営者にとって断腸の思いでしょう。

しかし、この記事で解説した5つの緊急対策は、単なる延命措置ではありません。
法的リスクを管理し、従業員との信頼関係を再構築し、財務体質を根本から見直す、未来への投資です。

佐々木 真帆

あなたのその罪悪感は、会社を本気で想うからこその強い責任感の表れです。
そのエネルギーを、ぜひ具体的な行動へと転換してください。

一人で抱え込まず、専門家を頼ることも重要な経営判断です。
この危機を乗り越えた先には、より強く、しなやかな会社が待っています。

あなたのリーダーシップで、この逆境を希望への転換点とすることを心から応援しています。

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この記事を書いた人

佐々木真帆は、資金繰りコンサルタントとして活躍する金融のプロフェッショナルである。大手銀行での融資審査経験から独立コンサルタントとしての現在まで、一貫して「企業の生命線である資金繰り」に焦点を当て、その知見を惜しみなく共有している。

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