「日々の資金繰りが大変なのに、また新しい経済政策が始まった。うちの会社には一体どんな影響があるんだろう…?」
中小企業の経営者の皆様、そして現場で財務を担当されている皆様、こんにちは。資金繰りコンサルタントの佐々木真帆です。私はこれまで、銀行員として、そして財務アドバイザーとして、数多くの中小企業の資金繰りをご支援してきました。
佐々木 真帆その経験から痛感しているのは、「資金繰りは会社の心臓部」であり、その健全性が事業の未来を左右するということです。
2025年12月に成立した高市政権の新たな経済対策。ニュースでは大きな数字が飛び交っていますが、その実態が自社にどう関わるのか、具体的なところが見えにくいと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、長年、企業の財務に寄り添ってきた専門家の視点から、今回の経済対策が中小企業の資金繰りにどのような「追い風」と「向かい風」をもたらすのか、そして経営者が今すぐ取るべき具体的なアクションは何かを、分かりやすく解説していきます。
【この記事の結論】高市経済対策の追い風と向かい風
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 追い風① | 大規模成長投資補助金 — 補助上限50億円、補助率1/3以下。賃上げと生産性向上を両立させる投資を国が強力にバックアップ |
| 追い風② | 改正下請法(取適法) — 2026年1月1日施行。手形払い禁止、支払サイト60日以内、価格転嫁協議義務化により、資金繰りが大幅改善 |
| 追い風③ | 企業価値担保権 — 2026年5月施行予定。不動産がなくても、技術力やブランドなどの無形資産を担保に融資を受けられる新制度 |
| 向かい風① | 日銀の利上げ — 政策金利0.75%に引き上げ(30年ぶりの高水準)。金利0.25%上昇で、1社あたり年間64万円の負担増 |
| 向かい風② | ゼロゼロ融資後の倒産増 — 返済本格化に伴い、倒産件数は2年連続で1万件超。根本的な収益改善が追いついていない企業が多数 |


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高市政権の経済対策、中小企業への影響は?その全体像
まず、今回の経済対策の全体像を把握しておきましょう。2025年12月に成立した令和7年度補正予算の一般会計総額は約18.3兆円にのぼります。このうち、物価高への対応や持続的な賃上げの実現に向けた予算が大きな柱となっています。
参考: 物価高を乗り越え「強い経済」へ令和7年度補正予算が成立 | 自由民主党
特に私たち中小企業にとって重要なのは、賃上げ環境の整備のために約1兆円という大規模な予算が確保された点です。これは、政府が中小企業の成長と従業員の生活向上を本気で後押ししようとしている証拠と言えるでしょう。
もちろん、ガソリン価格の抑制や電気・ガス代の支援といった物価高対策も、企業のコスト削減に繋がり、間接的に資金繰りを楽にしてくれます。しかし、より注目すべきは、これからの経営のあり方を大きく変える可能性を秘めた、直接的な支援策です。
次の章から、具体的な「追い風」となる政策を見ていきましょう。
経営者が知るべき3つの「追い風」政策
今回の経済対策には、中小企業の成長を力強く後押しする、注目すべき3つの「追い風」があります。これらを活用できるかどうかで、今後の事業展開に大きな差が生まれる可能性があります。
追い風①:大規模成長投資補助金で未来への投資を後押し
「うちのような中小企業に、大規模投資なんて関係ない」と思っていませんか?もしそうなら、少し考えを変える必要があるかもしれません。
今回の経済対策の目玉の一つが「大規模成長投資補助金」です。これは、企業の成長を加速させるための大規模な設備投資や工場新設などを支援するもので、その内容は非常に強力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 50億円 |
| 補助率 | 一律 1/3以下 |
| 最低投資額 | 20億円以上 |
| 対象経費 | 建物費、機械装置費、ソフトウェア費など |
「最低投資額20億円」と聞くと、多くの経営者様が尻込みしてしまうかもしれません。しかし、この補助金の重要な点は、賃上げへの貢献が審査で重視されることです。つまり、単なる設備投資ではなく、「人への投資」とセットで事業を成長させる意欲のある企業を、国が強力にバックアップするということです。
例えば、生産性を劇的に向上させる最新の製造ラインを導入し、そこで生まれた利益を従業員の給与に還元する、といった計画が考えられます。自社単独では難しくても、複数の企業が連携するコンソーシアム形式での申請も可能です。この補助金の詳細は、経済産業省のウェブサイトで公開されていますので、ぜひ一度確認してみてください。
詳しくは公式サイトの中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の公募についてをご覧ください。
追い風②:改正下請法(取適法)で取引環境が改善
長年、多くの中小企業を悩ませてきた「支払サイトの長さ」や「不合理な取引条件」。この状況が、ついに法改正によって大きく変わろうとしています。
2026年1月1日から、従来の「下請法」が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと改正・施行されました。これは、中小企業の資金繰りにとって、まさに革命とも言える変化です。特に重要なポイントは以下の3つです。
1. 手形払いの原則禁止
これまで資金繰りを圧迫する大きな要因だった「手形」での支払いが、原則として禁止されます。これにより、売掛金の現金化までの期間が大幅に短縮されます。
2. 支払サイトの60日以内への短縮
納品やサービス提供から60日以内に現金で支払うことが、より厳格に義務付けられます。資金の回収サイクルが早まることで、キャッシュフローが大きく改善します。
3. 価格転嫁の協議義務化
原材料費や人件費が上昇した際に、発注側が一方的に価格を据え置くことが禁止され、価格転嫁の協議に応じることが義務付けられました。これにより、コスト上昇分を取引価格に反映しやすくなります。



私自身、銀行員時代に、大手企業からの長い支払サイトに苦しむ下請け企業の社長を何人も見てきました。この法改正は、そうした理不尽な商慣習に終止符を打ち、中小企業が正当な利益を確保し、健全な資金繰りを実現するための大きな一歩となるはずです。
追い風③:企業価値担保権で「事業の将来性」が資金調達の武器に
「担保になる不動産がないから、銀行は融資してくれない…」
そんな悩みを抱える、特にスタートアップやIT、サービス業の経営者様に朗報です。2026年5月に施行予定の「企業価値担保権」制度は、日本の資金調達の常識を根底から変える可能性を秘めています。
参考: 令和8年5月施行!事業性融資推進法「企業価値担保権」を解説
これは、土地や建物といった有形資産だけでなく、企業の将来性、技術力、顧客基盤、ブランドといった「無形資産」を含む事業全体を担保として、金融機関から融資を受けられるようにする、全く新しい制度です。
企業価値担保権のポイント
- 不動産担保・経営者保証に依存しない:優れたビジネスモデルや技術力そのものが評価されます。
- スタートアップに有利:有形資産が乏しくても、将来の成長性を元に資金調達がしやすくなります。
- 事業承継でも活用可能:不採算部門を整理した後でも、残った事業の価値を担保に資金を確保できます。
もちろん、金融機関側には事業の価値を正しく評価する「目利き力」が求められるため、すぐに誰もが利用できるわけではないかもしれません。しかし、これは国が「企業の真の価値は、バランスシートの数字だけではない」というメッセージを発信したことに他なりません。
自社の強みは何か、将来どれだけのキャッシュフローを生み出せるのか。それを明確に示すことが、これからの資金調達の鍵となります。
一方で注意すべき2つの「向かい風」
ここまでポジティブな変化を中心にお伝えしてきましたが、手放しで喜んでばかりもいられません。今回の経済環境の変化は、中小企業にとって厳しい「向かい風」となる側面も持っています。
向かい風①:日銀の利上げによる金利負担の増加
記憶に新しい2025年12月19日、日本銀行は政策金利を0.75%に引き上げることを決定しました。これは実に30年ぶりの高水準であり、「金利のある世界」への本格的な移行を意味します。
この影響は、借入金の多い中小企業にとって決して小さくありません。帝国データバンクの調査によると、金利が0.25%上昇した場合、以下のような影響が出ると試算されています。
金利0.25%上昇による影響試算
- 支払利息の増加:1社あたり年間 64万円 の負担増
- 赤字転落リスク:全体の 1.6% の企業が経常赤字に転落する可能性
特に、変動金利で融資を受けている企業は、今後のさらなる利上げによって、じわじわと資金繰りが圧迫されていくリスクがあります。自社の借入金利のタイプを確認し、金利上昇が財務に与える影響をシミュレーションしておくことが急務です。
向かい風②:「ゼロゼロ融資後」の倒産は高水準で推移
コロナ禍で多くの企業を支えた「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」ですが、その返済が本格化する中で、企業の倒産件数は依然として高い水準で推移しています。東京商工リサーチの調査では、2025年の倒産件数は2年連続で1万件を超えることがほぼ確実視されています。
これは、単に返済負担の増加だけでなく、物価高や人手不足といった構造的な問題に直面し、根本的な収益改善が追いついていない企業が少なくないことを示唆しています。ゼロゼロ融資で一時的に危機を乗り越えたとしても、事業そのものの収益力が回復していなければ、いずれ資金繰りは行き詰まってしまいます。
この厳しい現実から目を背けず、自社のビジネスモデルが現在の経済環境に対応できているか、冷静に見つめ直す必要があります。
資金繰り改善のために経営者が今すぐやるべきこと
では、これらの「追い風」を最大限に活かし、「向かい風」を乗り切るために、経営者は具体的に何をすべきでしょうか。資金繰りコンサルタントとして、私が推奨するアクションプランは以下の通りです。
| アクション | 具体的な内容 |
|---|---|
| 1. 借入状況の総点検 | – 借入先、金利(固定/変動)、返済スケジュールを一覧化する – 金利上昇が月々の返済額に与える影響をシミュレーションする – 必要であれば、より有利な条件での借り換えを検討する |
| 2. 取引条件の見直し | – 改正下請法(取適法)を根拠に、支払サイトの短縮を交渉する – コスト上昇分(労務費、原材料費)をデータで示し、価格転嫁を要求する – 新規取引では、最初から60日以内の現金払いを条件とする |
| 3. 成長投資計画の策定 | – 大規模成長投資補助金などの制度活用を視野に入れる – 「賃上げ」と「生産性向上」を両立させる投資計画を具体的に描く – 補助金申請の専門家や金融機関に相談し、実現可能性を高める |
| 4. 事業価値の可視化 | – 自社の強み(技術、ブランド、顧客基盤など)を言語化・資料化する – 将来の事業計画と収益予測を具体的に作成する – 企業価値担保権の活用を見据え、金融機関との対話を始める |
| 5. 早期の専門家相談 | – 資金繰りに少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まずに相談する – 早期事業再生法など、いざという時の選択肢についても情報を集めておく |
特に重要なのは、2.取引条件の見直しと4.事業価値の可視化です。これらは、法改正や新制度という「追い風」を自社の力に変えるための、最も直接的で効果的なアクションです。
公正取引委員会が公開している「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」なども参考に、自信を持って交渉に臨んでください。
まとめ
今回は、高市政権の新たな経済対策が中小企業の資金繰りに与える影響について、良い面と厳しい面の両方から解説しました。
【追い風】
- 大規模成長投資補助金による未来への投資支援
- 改正下請法(取適法)による取引環境の健全化
- 企業価値担保権による新たな資金調達の可能性
【向かい風】
- 日銀の利上げによる金利負担の増加
- ゼロゼロ融資後の倒産増が示す厳しい経営環境
変化の激しい時代だからこそ、経営者には、世の中の動きを正確に捉え、迅速に行動することが求められます。今回ご紹介した政策や制度は、ただ待っているだけでは恩恵を受けられません。自ら情報を掴み、活用し、交渉していく姿勢が不可欠です。
この記事が、皆様の会社の資金繰りを改善し、事業をさらに成長させるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
資金繰りに関するお悩みがあれば、いつでもご相談ください。共にこの変化の時代を乗り越えていきましょう。


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