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【Q&A】資金調達でよくある質問と対策:初めての経営者向け

「起業したい!でも、お金はどうしよう…」

初めての起業、夢と希望に満ち溢れる一方で、資金調達の壁に頭を抱えていませんか?

私は元銀行員で現在は資金繰りコンサルタントとして活動している佐々木真帆です。

銀行時代には数百社の融資審査に携わり、その後はコンサルタントとして多くの企業の資金調達をサポートしてきました。

「銀行に行っても断られるのでは?」
「補助金って本当にもらえるの?」
「出資を受けると会社を乗っ取られる?」

—そんな不安や疑問を抱えている方は少なくありません。

佐々木 真帆

実際、私が銀行員だった頃、資金調達の知識不足から融資を断念せざるを得なかった経営者の悔しそうな表情を何度も目の当たりにしました。

この記事では、初めての経営者が抱える資金調達のよくある疑問にQ&A形式で解説します。

融資、補助金、出資といった主要な方法から、それぞれのメリット・デメリット、具体的な進め方まで、実践的な知識をお伝えします。

この記事を読めば、あなたに合った資金調達方法が見つかり、事業成功への第一歩を踏み出せるはずです。

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🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

株式会社ウェブブランディング(運営会社)

資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

Q1: そもそも資金調達って何?どんな種類があるの? ~基本のキを理解しよう~

A1-1: なぜ資金調達が必要?起業におけるお金の重要性

「お金がなくても情熱だけでなんとかなる」と考えている起業家の方、残念ながらその考えは危険です。

事業を始めるには、オフィス賃料、設備投資、在庫仕入れ、人件費、広告宣伝費など、様々な費用が発生します。

これらの費用を賄うための「元手」が必要なのです。

資金調達が必要な主な目的は以下の3つです。

  • 設備投資資金: 店舗・オフィスの内装、機械設備、システム開発など
  • 運転資金: 仕入れ、人件費、家賃など、日々の事業運営に必要な資金
  • 開発資金: 新商品・サービスの研究開発に必要な資金

私が銀行時代に見てきた倒産事例の多くは、素晴らしいビジネスモデルを持ちながらも「資金繰り」で躓いたケースがほとんどでした。

資金繰りは会社の「血液」です。

どれだけ優れた「頭脳」(アイデア)や「筋肉」(人材)を持っていても、血液が途絶えれば機能停止してしまうのです。

起業における資金調達の重要性

A1-2: 大きく分けて3種類!資金調達方法の全体像(融資・出資・その他)

資金調達の方法は大きく分けて3種類あります。

① デット(負債=融資)型の資金調達

融資とは、簡単に言えばお金を「借りる」ことです。

銀行やノンバンクからお金を借り、利息とともに返済します。

これは「レンタル」のようなもので、使い終わったら必ず返す義務があります。

② エクイティ(資本=出資)型の資金調達

出資とは、会社の株式(持分)を渡してお金を調達することです。

ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から出資を受ける方法などが該当します。

これは「共同オーナー探し」のようなもので、会社の一部を売却する代わりに資金を得ます。

③ アセット(資産活用)型の資金調達

既存の資産を活用してお金を得る方法です。

売掛金を早期に現金化するファクタリングや、不要資産の売却などが該当します。

これは「持っているものを活かす」アプローチです。

調達方法メリットデメリット向いている企業
融資(デット)・返済すれば経営権が維持できる
・比較的低金利
・返済義務がある
・担保や保証人が必要な場合も
・安定したキャッシュフローがある企業
・堅実な成長を目指す企業
出資(エクイティ)・返済義務がない
・大きな資金調達が可能
・株式(経営権)の一部を手放す
・成長圧力がかかる
・急成長を目指す企業
・大きな先行投資が必要な企業
資産活用(アセット)・審査が比較的容易
・スピーディーな調達
・コストが高い場合も
・一時的な解決策
・一時的な資金ショート
・売掛金などがある企業
🔍 専門家からのアドバイス

資金調達は「カクテル」のように複数の方法を組み合わせるのがベストです。例えば、自己資金と日本政策金融公庫の融資を土台にし、足りない部分を補助金や小口出資で補うといった方法です。

Q2: 銀行や公庫から「融資」を受けるには? ~借入の疑問を解消~

A2-1: どこで借りられる?日本政策金融公庫と銀行融資の違いは?

「融資」と一言で言っても、資金を借りられる金融機関はいくつかあります。

特に創業期の企業にとって最も頼りになるのが「日本政策金融公庫(日本公庫)」です。

日本政策金融公庫(日本公庫)と民間銀行の主な違い

日本公庫は国が100%出資する政策金融機関で、特に「新創業融資制度」は創業者に人気です。

一方、民間銀行は営利企業なので、融資の姿勢や審査基準が公庫とは異なります。

  • 日本政策金融公庫の特徴
    • 創業者向けの専用融資制度がある
    • 無担保・無保証人での融資が可能な場合も多い
    • 最大7,200万円まで融資可能(一般的には数百万〜数千万円)
    • 事業計画の実現可能性を重視した審査
  • 民間銀行の特徴
    • 原則として創業後ある程度の実績が必要
    • 担保や保証人(経営者保証)が求められることが多い
    • 信用保証協会の保証付き融資なら創業者でも借りやすい
    • 返済能力(キャッシュフロー)を重視した審査

私がお勧めする創業融資の「相談順序」は以下の通りです。

  1. まず日本政策金融公庫に相談
  2. 次に地元の信用金庫や地方銀行に相談
  3. その後、必要に応じて都市銀行などに相談

嬉しいニュースとして、2023年度からは日本公庫が「スタートアップ支援資金」という新制度を開始し、無担保・無保証人で融資を受けられる枠が拡大しています。

✅ 各金融機関の創業融資アクセス度チェック

以下の特徴に当てはまる金融機関は、創業者にとってアクセスしやすい傾向にあります。

  • 創業支援の専門窓口や専任担当者がいる
  • 創業塾や起業セミナーを主催している
  • 地域の創業支援ネットワークに参加している
  • ホームページに創業融資の成功事例が掲載されている

A2-2: 審査って厳しい?通過のポイントと必要書類は?

「そもそも融資なんて通るのだろうか…」

多くの創業者がこの不安を抱えています。

佐々木 真帆

結論から言いますと、公庫の創業融資の通過率は約50〜60%と言われています。

つまり、準備次第では十分に可能性があるということです。

審査で重視される5つのポイント

1.事業計画の具体性と実現可能性

  • 市場分析が具体的か
  • 売上・利益計画に根拠があるか
  • 競合との差別化が明確か

2.創業者の経験とスキル

  • 業界経験はあるか
  • 経営経験や専門知識はあるか
  • 情熱と覚悟が感じられるか

3.自己資金の状況

  • 総事業費の何割を自己資金で賄えるか(目安は1/3程度)
  • 自己資金の出所は明確か

4.返済能力(キャッシュフロー)

  • 収益で返済原資を確保できるか
  • 資金繰り計画は現実的か

5.個人の信用情報

  • 個人的な借入の返済状況
  • 過去の債務不履行歴の有無

審査に通るためには、これらのポイントをカバーする書類の準備が必要です。

必要書類リスト

  • 創業計画書(事業内容、市場分析、収支計画、資金計画など)
  • 資金使途の根拠資料(見積書、契約書案など)
  • 自己資金を証明する資料(預金通帳コピーなど)
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 住民票
  • 職務経歴書(経歴がわかる資料)
  • 許認可が必要な業種の場合、その許認可書類
  • 開業予定地の資料(賃貸契約書など)

特に「創業計画書」は最重要書類です。

日本公庫のWebサイトには計画書の雛形がありますので、それを活用すると良いでしょう。

融資審査通過のための4つのコツ

  1. 売上計画に具体的な根拠を持たせる
    「月商100万円を目指します」と言われても、「なぜ100万円なのか」の説明がなければ説得力がありません。 例えば、「客単価3,000円×来店数10人/日×営業25日=月商75万円」のように、具体的な数字の根拠を示しましょう。
  2. 自己資金をできるだけ用意する
    融資は「あなたの事業にどれだけコミットしているか」を見ています。 自己資金ゼロでの融資申込みは難しいので、できる限り自己資金を用意しましょう。 目安としては、必要資金の10〜30%程度です。
  3. 面談での受け答えを準備する
    審査では必ず面談があります。 よく聞かれる質問(「なぜ起業するのか」「競合との差別化点は」「売上見込みの根拠」など)への答えを準備しておきましょう。
  4. 専門家のサポートを受ける
    商工会議所の経営相談や、認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)のアドバイスを受けることで、審査通過率が高まります。

A2-3: 担保や保証人は必須?最近の動向は?

「融資を受けるには、自宅を担保にしたり、家族に保証人になってもらう必要があるの?」

結論から言うと、以前に比べて担保や保証人なしで融資を受けられるケースは増えています。

担保・保証人の基本的な考え方

担保とは、融資が返済不能になった場合に備えて差し出す財産(不動産など)のことです。

保証人(特に経営者保証)とは、会社が返済できなくなった場合に、経営者個人が返済責任を負うことを意味します。

近年の担保・保証人に関する動向

1.日本政策金融公庫の無担保・無保証人融資

  • 「新創業融資制度」では、一定の要件を満たせば無担保・無保証人で最大3,000万円の融資を受けられます
  • 2023年度から「スタートアップ支援資金」制度が拡充され、無担保・無保証人での融資枠が広がっています

2.経営者保証ガイドライン

  • 2014年から導入された「経営者保証ガイドライン」に基づき、一定の条件を満たす場合、経営者保証なしでの融資が増えています

3.信用保証協会の創業関連保証

  • 創業者向けの保証制度では、保証協会が保証人となることで、経営者の個人保証負担を軽減しています

担保・保証人なしで融資を受けるためのポイント

┗ 事業計画の精度を高める(特に収支計画の根拠を明確に)
┗ 自己資金をできるだけ多く準備する
┗ 創業する分野での経験・スキルをアピールする
┗ 認定支援機関のサポートを受ける
┗ 経営者と会社の財務を明確に分離する体制を整える

担保や保証人の提供が難しい場合は、日本政策金融公庫や、創業支援に積極的な地域金融機関、信用保証協会の制度を活用するのが近道です。

Q3: 返済不要の「補助金・助成金」はどう活用する? ~もらえるお金の疑問~

Q3-1: どんな種類がある?どこで情報を探せばいい?

「返済不要のお金がもらえる」と聞くと、「そんな都合の良い話があるのか」と疑問に思う方も多いでしょう。

しかし、創業支援のために国や自治体が提供する補助金・助成金は実際に存在し、適切に活用することで大きな力になります。

主な創業関連の補助金・助成金

1.創業補助金(中小企業庁)

  • 概要:創業に必要な設備資金や運転資金の一部を補助
  • 補助額:上限200万円(補助率2/3)
  • 特徴:革新性や雇用創出効果が高い事業が採択されやすい

2.小規模事業者持続化補助金(中小企業庁)

  • 概要:販路開拓や業務効率化の取組を支援
  • 補助額:上限50〜200万円(補助率2/3)
  • 特徴:比較的申請のハードルが低く、創業間もない事業者も対象

3.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(中小企業庁)

  • 概要:革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を支援
  • 補助額:上限1,250万円(補助率1/2〜2/3)
  • 特徴:設備投資を含む事業が対象

4.地方自治体の創業支援助成金

  • 概要:地域の特性に応じた創業支援制度
  • 補助額:自治体により異なる(数十万〜数百万円)
  • 特徴:地域に根ざした事業や特定産業を優遇する傾向あり

補助金・助成金の情報源

  • ミラサポplus(中小企業庁): 補助金情報の総合サイト
  • J-Net21(中小機構): 中小企業支援情報全般
  • 各自治体の産業振興課・創業支援窓口: 地域独自の補助金情報
  • 商工会議所・商工会: 地域の補助金に関する相談窓口
  • 日本政策金融公庫の支店窓口: 融資と合わせた補助金情報も提供
  • 専門支援機関(税理士事務所、中小企業診断士事務所など): 最新の補助金情報を保有

業種別におすすめの補助金

業種おすすめの補助金活用のポイント
小売・飲食小規模事業者持続化補助金店舗改装や広告宣伝費に活用可能
IT・技術系創業補助金、ものづくり補助金技術開発費や設備投資に活用
製造業ものづくり補助金、事業再構築補助金製造設備や生産性向上投資に活用
サービス業持続化補助金、地域独自の支援制度サービス開発やPR費用に活用

Q3-2: 申請は難しい?採択されるためのコツは?

「補助金は書類が難しそう…」「本当に採択されるの?」

こうした不安は多くの起業家が抱えるものです。

補助金の採択率は案件によって異なりますが、人気の補助金では30〜50%程度のものも多く、決して100%ではありません。

しかし、申請のコツを押さえれば、採択確率を高めることは十分に可能です。

まず、補助金の一般的な流れを確認しておきましょう。

補助金申請から入金までの流れ

  1. 公募開始: 補助金の募集が始まる
  2. 申請書類作成・提出: 事業計画書や収支計画書などを作成して提出
  3. 審査: 書類審査、場合によっては面接審査も実施
  4. 採択発表: 採択結果の通知
  5. 事業実施: 計画に基づいて事業を実行
  6. 実績報告: 事業完了後、実績報告書を提出
  7. 確定検査: 報告内容の検査
  8. 補助金入金: 検査後、補助金が入金される

ここで注意すべき点は、多くの補助金が「後払い」だということです。

つまり、まず自己資金や融資で事業を実施し、後から補助金が支給される仕組みになっています。

補助金採択のための5つのコツ

  1. 公募要領を熟読する
    採択されない最大の理由は「公募要領の要件を満たしていない」ことです。 審査のポイントや加点項目、必須要件を熟読し、100%要件を満たすように準備しましょう。
  2. 補助金の「ゴール」に合致した申請書を作る
    各補助金には政策目的があります。 「この補助金は何を達成したいのか?」を理解し、それに沿った計画を立てましょう。
  3. 具体的な数字と根拠を示す
    「売上が増える」ではなく「○○の施策により、客単価を××%向上させ、月商を△△万円増加させる」という具体的な目標設定が評価されます。
  4. 差別化ポイントを明確にする
    「なぜあなたの事業なのか」という視点が重要です。 競合との違いや、あなたならではの強み(経験、ネットワーク、技術など)を具体的に記載しましょう。
  5. 専門家や支援機関のサポートを受ける
    認定経営革新等支援機関(税理士、中小企業診断士など)や商工会議所の支援を受けると、採択率が高まります。

補助金申請書作成の3つのNG例

┗ 他社の申請書の丸写し(審査員は見抜きます)
┗ 具体性のない抽象的な表現(「業界最高峰」「画期的な」などの根拠なき美辞麗句)
┗ 数値目標や達成手段が不明確な計画(「売上増加を目指す」だけでは不十分)

Q3-3: 注意点は?よくある失敗とその対策

補助金・助成金は「もらえるお金」として魅力的ですが、いくつかの重要な注意点があります。

補助金・助成金活用の4つの注意点

  1. 使途制限を理解する
    補助金は「何にでも使える自由なお金」ではありません。 補助対象経費が明確に定められており、それ以外の用途には使えません。 公募要領で対象経費と対象外経費を必ず確認しましょう。
  2. 後払いに備えた資金計画を立てる
    前述の通り、補助金は基本的に後払いです。 採択されても、事業完了・検査後の入金となるため、その間の資金繰りをどうするかが重要です。
  3. 報告義務・書類保存義務を遵守する
    補助金には厳格な報告義務があります。 中間報告や完了報告の提出が遅れると、最悪の場合、補助金が支給されないこともあります。
  4. 不正受給のリスクを理解する
    補助金の不正受給は違法行為です。 架空発注や水増し請求などの不正行為が発覚すると、補助金の返還だけでなく、加算金の支払いや刑事罰の対象となることもあります。

よくある失敗例とその対策

失敗例具体例対策
申請期限の見落とし準備不足で締切に間に合わず公募情報を常にチェック、余裕を持った準備
対象外経費の計上補助対象外の経費を誤って申請事前に公募要領で対象経費を確認
資金繰り計算ミス後払いの補助金を当てにして資金ショート自己資金・融資も含めた全体の資金計画を立てる
計画変更の未申請勝手に計画内容を変更して実行計画変更が必要な場合は必ず事前に変更申請
💡 補助金を最大限活用するためのテクニック

複数の補助金を組み合わせることも可能です。例えば、設備投資には「ものづくり補助金」、マーケティングには「持続化補助金」というように、用途に合わせて異なる補助金を活用する「ポートフォリオ戦略」も検討しましょう。ただし、同一の経費に対して複数の補助金を充てる「二重取り」は禁止されています。

Q4: VCやエンジェルから「出資」を受けるってどういうこと? ~投資を受ける疑問~

Q4-1: メリット・デメリットは?どんな会社が向いてる?

「テレビで見るスタートアップのように、投資家からお金を集めたい」

そう考える起業家も多いでしょう。

しかし、出資(エクイティ)による資金調達は、融資とは根本的に異なる性質を持っています。

私がコンサルティング会社時代に担当したスタートアップの経営者が言っていた言葉が印象的です。

「融資は『デート』だが、出資は『結婚』だ」と。

それだけ長期的な関係性を構築することになるのです。

出資(VC・エンジェル投資)のメリット

  1. 返済義務がない
    融資と違い、事業が失敗しても返済する必要がありません。 リスクの高い事業や、黒字化までに時間がかかる事業には大きなメリットです。
  2. 大規模な資金調達が可能
    VCからは数千万円~数億円規模の資金調達も可能です。 融資では難しい大型の資金調達ができます。
  3. 経営支援とネットワークの提供
    単なる資金提供だけでなく、経営ノウハウ、業界ネットワーク、次の資金調達支援など、事業成長をサポートしてくれます。
  4. 信用力と認知度の向上
    有名VC・エンジェルからの出資は社会的信用につながり、取引先や採用での優位性を生み出します。

出資(VC・エンジェル投資)のデメリット

  1. 株式(経営権)の一部を手放す
    出資を受けるということは、会社の所有権の一部を投資家に譲渡することです。 持分が希薄化し、大きな決定権が制限される可能性があります。
  2. 経営への関与・制約
    投資家は取締役派遣や定期報告を求めることが多く、経営の自由度が下がります。
  3. 成長圧力と出口戦略の要求
    投資家はリターンを求めるため、急成長へのプレッシャーがかかります。 数年以内のIPO(株式上場)やM&A(企業買収)などの「出口戦略」を求められます。

🔍 出資が向いている企業の特徴
┗ 急成長を目指すビジネスモデル(短期間で数倍〜数十倍の成長を見込める)
┗ スケーラビリティの高さ(追加コストをかけずに売上拡大できる)
┗ 大きな市場規模(数百億円以上の市場を狙える)
┗ イノベーティブな要素(技術やビジネスモデルの革新性)
┗ IPOやM&Aを視野に入れている

一方で、以下のような企業は出資よりも融資が向いているでしょう。

🔍 融資が向いている企業の特徴
┗ 安定的な成長を目指す企業(年率10〜20%程度の成長)
┗ オーナーシップを維持したい場合
┗ 地域密着型の小規模ビジネス
┗ キャッシュフローが安定している業種

Q4-2: どうやって投資家と出会う?何を準備すればいい?

「投資家と出会う機会がない」「何から始めればいいのか分からない」

投資家との出会いの場は年々増えています。

投資家と出会う7つの方法

  1. ピッチイベント・デモデイへの参加
    スタートアップのピッチ(プレゼン)イベントは、投資家との出会いの場として最も一般的です。
  2. アクセラレータープログラムへの応募
    「01Booster」「KDDI∞Labo」「Plug and Play」などのアクセラレータープログラムは、メンタリングとともに投資家紹介も行っています。
  3. 既存の投資家・起業家からの紹介
    最も成約率が高いのが紹介です。 スタートアップコミュニティに積極的に参加し、人脈を広げましょう。
  4. VC・エンジェルへの直接アプローチ
    ホームページやLinkedInから直接コンタクトする方法です。
  5. クラウドファンディング(株式型)の活用
    「FUNDINNO」などの株式投資型クラウドファンディングを利用して、小口投資家から広く資金を集める方法もあります。
  6. コワーキングスペースやインキュベーション施設の活用
    スタートアップが集まる場所には投資家も出入りしています。
  7. 投資家マッチングプラットフォームの利用
    「STARTUP DB」「Creww」などのプラットフォームを活用すると、オンラインで投資家とマッチングできる可能性があります。

投資家アプローチ前の必須準備物

  1. ピッチデック(投資家向けプレゼン資料)
    10〜15枚程度のスライドで、以下の要素を含めましょう。
  • 解決する課題(Pain Point)
  • ソリューション(どう解決するか)
  • 市場規模と成長性
  • ビジネスモデル(収益構造)
  • 競合分析と差別化ポイント
  • トラクション(実績や成長指標)
  • チーム紹介(経験・スキル)
  • 資金調達計画(いくら調達して何に使うか)
  • 成長戦略とExit計画

2.事業計画書(より詳細な計画書)
ピッチデックより詳細な事業計画書も用意しておくと、深掘りの質問に対応できます。

3.デモ・プロトタイプ
可能であれば、製品・サービスの実際のデモやプロトタイプを用意しましょう。

4.エレベーターピッチ(30秒で伝える核心)
ビジネスの本質を簡潔に伝える練習をしておきましょう。

🔍 投資家が重視する4つのポイント
┗ チームの質(実行力、ドメイン知識、情熱、学習能力)
┗ 市場の大きさと成長性(十分なリターンが見込めるか)
┗ トラクション(成長の実績や証拠)
┗ ユニークネス(競合との差別化、参入障壁)

Q4-3: 契約時の注意点は?株を渡しすぎないためには?

「投資家に興味を持ってもらえた!」その後の契約交渉で失敗すると、せっかくのチャンスが台無しになります。

私が関わったある新進気鋭のスタートアップは、初回の資金調達で株式の40%を投資家に渡してしまい、次のラウンドで苦労する事態になりました。

出資契約で確認すべき重要事項

  1. 株式の種類と権利内容
    投資家は通常、普通株ではなく「優先株式」での投資を求めることが多いです。
    優先株式には様々な権利(清算優先権、議決権など)が付帯することがあるため、その内容を理解することが重要です。
  2. 企業価値評価(バリュエーション)
    株式を譲渡する比率を決める基準となる「企業価値」は交渉可能です。高ければ高いほど、同じ資金調達額でも株式の希薄化を抑えられます。
  3. 取締役選任権・拒否権(拒否権条項)
    投資家が取締役を何名派遣できるか、また重要事項(増資、M&A、高額な支出など)に対する拒否権を持つかどうかは、その後の経営の自由度に大きく影響します。
  4. 株主間契約の内容
    株主間の権利関係を定める契約で、「ドラッグアロング条項」(他の株主に株式売却を強制できる権利)や「タグアロング条項」(他の株主の株式売却に参加できる権利)など、複雑な条項が含まれます。

株式を渡しすぎないための5つの対策

  1. 段階的な資金調達(ラウンド制)
    一度に多額の資金を調達するのではなく、事業の成長段階に合わせて段階的に調達する方法です。 企業価値が上がれば、同じ金額でも譲渡する株式比率は下がります。
  2. 資本効率の高い事業戦略
    「小さく生んで大きく育てる」リーンスタートアップの手法を採用し、最小限の資金で最大限の成果を出すことを心がけます。
  3. 融資との組み合わせ
    すべて出資で賄うのではなく、一部を融資で調達することで、株式の希薄化を抑えることができます。
  4. 創業株の設計と株式の種類
    創業時に議決権の強い種類株式を発行することで、少ない持株比率でも経営権を維持できる設計も可能です。
  5. 複数の投資家による分散投資
    1社に大きく依存するのではなく、複数の投資家から小口で資金を調達することで、特定の投資家への過度な権限集中を避けることができます。
⚠️ 出資契約における重要な注意点

契約書は必ず専門家(弁護士)に確認してもらいましょう。特に「拒否権条項」「買取請求権」「優先株式の権利内容」などは、将来の経営に大きな影響を与える可能性があります。数十万円の弁護士費用を惜しんで、数億円の事業価値を損なうリスクを負わないようにしましょう。

Q5: クラウドファンディングや他の方法は? ~多様な選択肢を知る~

Q5-1: クラウドファンディング(購入型/株式型)の仕組みと成功のコツは?

クラウドファンディング(CF)は、近年急速に普及してきた新しい資金調達方法です。

「お客様から直接応援してもらえる」という点で、従来の融資や出資とは異なる魅力があります。

クラウドファンディングには大きく分けて「購入型」と「株式型」があります。

購入型クラウドファンディングの基本

購入型CFは、プロジェクトに賛同した支援者に対し、商品やサービスなどのリターンを提供する方式です。

主なプラットフォームとしては、「Makuake」「CAMPFIRE」「READYFOR」などがあります。

購入型CFのメリット
  1. 資金調達とマーケティングの一石二鳥
    製品の市場性を確認しながら、資金を集められます。 ファンやコミュニティを形成できる点も大きな魅力です。
  2. 審査のハードルが比較的低い
    融資や出資と比べて、事業実績や担保などの条件が緩やかです。 アイデア段階からでも挑戦できます。
  3. 返済義務がない
    リターン(商品・サービス)を提供する義務はありますが、お金を返済する必要はありません。
購入型CFのデメリット
  1. 手数料がかかる
    プラットフォーム手数料(10〜20%程度)と決済手数料がかかります。
  2. 全額調達できないリスク
    多くのプラットフォームは「All or Nothing方式」を採用しており、目標金額に達しなければ1円ももらえません。
  3. リターン提供の負担
    支援者へのリターン製造・配送コストや手間を考慮する必要があります。

株式型クラウドファンディングの基本

株式型CFは、未上場企業の株式を一般の投資家に少額から購入してもらう方式です。

日本では2018年に解禁され、「FUNDINNO」「UNICORN」などのプラットフォームがあります。

クラウドファンディング成功の6つのコツ

  1. 魅力的なストーリーを作る
    単なる商品説明ではなく、「なぜこの商品・サービスを作ったのか」という想いや背景ストーリーが重要です。 共感を呼ぶストーリーが支援につながります。
  2. 視覚的に訴求する
    購入型CFでは特に、魅力的な写真や動画が成否を分けます。
  3. 適切な目標金額を設定する
    達成できないほど高すぎず、かつ必要な資金を確保できる金額設定が重要です。
  4. 充実したリターン設計
    支援金額に見合った魅力的なリターンを用意することが不可欠です。 金額帯別に複数のリターンを用意し、選択肢を提供しましょう。
  5. プレマーケティングを行う
    公開前からSNSやブログで告知し、「公開初日に駆けつけてくれる支援者」を確保することが重要です。 初動の勢いが後の成否を左右します。
  6. コミュニケーションを大切にする
    質問へのレスポンスや、定期的な進捗報告など、支援者とのコミュニケーションを丁寧に行いましょう。 これが追加支援や口コミ拡散につながります。

主要サイトの成功率(2023年データ)

  • CAMPFIRE: 約43%
  • READYFOR: 約70%
  • Makuake: 約85%

Q5-2: ファクタリングやノンバンクローンって使える?

「急に資金が必要になった」「銀行融資は時間がかかりすぎる」

そんな時に検討されるのが、ファクタリングやノンバンクローンといった資金調達手段です。

これらは、従来の銀行融資よりも迅速に資金化できる反面、コストが高くなる傾向があります。

ファクタリングとは

ファクタリングは、企業の売掛金(まだ支払いを受けていない請求書)を買い取ってもらい、即座に現金化する方法です。

例えば、100万円の売掛金(支払期日が2ヶ月後)を90万円で買い取ってもらうことで、すぐに資金を得ることができます。

ファクタリングのメリット
  1. スピーディーな資金調達
    最短即日で資金化できるケースもあり、資金繰りの緊急事態に対応できます。
  2. 貸借対照表に負債が増えない
    売掛金を売却する取引のため、借入とは異なり負債にはなりません。
  3. 審査が比較的柔軟
    企業の信用力よりも、売掛先(取引先)の信用力が重視されるため、創業間もない企業でも利用しやすい面があります。
ファクタリングのデメリット
  1. 手数料が高い
    一般的に売掛金額の5〜15%程度と、銀行融資の金利(年利1〜5%)と比べて大幅に高コストです。
  2. 売掛金が必要
    既に発生している売掛金がなければ利用できません。
  3. 悪質業者のリスク
    業界に参入障壁が低いため、手数料が極端に高い業者も存在します。 信頼できる業者を選ぶことが重要です。

ノンバンクローンとは

ノンバンクローンは、銀行以外の金融機関(消費者金融、信販会社など)から借り入れる方法です。

個人事業主や中小企業向けのビジネスローンとして提供されることが多いです。

ノンバンクローンのメリット
  1. 審査が比較的速い
    最短即日〜数日で融資実行されるケースも多く、銀行融資(2週間〜1ヶ月以上)より速いです。
  2. 審査基準が柔軟
    銀行よりも融資基準が柔軟で、創業間もない企業や、財務状況に課題がある企業でも融資を受けられる可能性があります。
  3. 少額からの借入が可能
    数十万円単位の少額借入にも対応しており、小口の資金需要に便利です。
ノンバンクローンのデメリット
  1. 金利が高い
    年利7〜18%程度と、銀行融資と比べて大幅に高金利です。
  2. 借入限度額が比較的低い
    多くの場合、数百万円〜1,000万円程度が上限で、大型の資金調達には向きません。
  3. 個人保証が基本
    ほぼすべてのケースで経営者の個人保証が必要となります。

ファクタリング・ノンバンクローンの賢い使い方

活用シーン具体例注意点
一時的な資金ショート大口の売掛金の入金が遅れた時あくまで「つなぎ資金」と考える
緊急の資金需要突発的な設備修理、在庫確保コスト計算をしっかり行う
成長機会への投資限定的な商機に対応するための資金リターンが調達コストを上回るか検討
銀行融資の補完銀行融資だけでは足りない部分返済計画を慎重に立てる
佐々木 真帆

ファクタリングやノンバンクローンを利用する際は、必ず「実質年率」で換算して他の資金調達手段と比較しましょう。

例えば、10%の手数料で2ヶ月前倒しの資金化をするファクタリングは、実質年率に換算すると60%以上になることもあります。

短期的な効果と長期的なコストのバランスを考えることが重要です。

Q5-3: 自己資金や知人からの借入はどう考えるべき?

資金調達の選択肢を検討する際、意外と見落とされがちなのが「身近な資金源」です。

自己資金や知人からの借入は、外部からの資金調達の前に、または補完として検討すべき重要な選択肢です。

自己資金の重要性

自己資金は最も基本的な資金源であり、以下のような理由から重視されます。

  1. 信用力の源泉
    融資審査では「自己資金がどれだけあるか」が重要な審査ポイントです。 日本政策金融公庫の創業融資では、必要資金の10〜30%程度の自己資金があると審査有利と言われています。
  2. 意思決定の自由度
    自己資金であれば返済義務もなく、使途も自由です。 経営の自由度を最大限に保ちたい場合、できるだけ自己資金比率を高めることが望ましいです。
  3. 「身の丈」の事業設計
    自己資金の範囲内で始められる事業規模を考えることで、過大な投資リスクを避けられます。

🔍 自己資金を増やす方法
┗ 起業前の貯蓄計画(1〜2年かけて計画的に貯蓄)
┗ 副業収入の活用(本業をしながら副業で資金を貯める)
┗ 不要資産の売却(保有資産の現金化)
┗ 経費削減による捻出(オフィス不要のリモートワーク等)
┗ 個人向けカードローンの活用(低金利商品を選択)

知人・親族からの借入の特徴

知人や親族からの借入(エンジェル的融資)は、以下のような特徴があります。

メリット
  1. 金利・返済条件の柔軟性
    金利ゼロや長期返済など、柔軟な条件で借りられる可能性があります。
  2. 審査・手続きの簡便さ
    融資審査などの手間がなく、迅速に資金を得られます。
  3. 精神的サポート
    単なる資金提供者を超えた応援者になってくれる可能性があります。
デメリット
  1. 人間関係のリスク
    事業が上手くいかなかった場合、大切な人間関係が損なわれるリスクがあります。
  2. 期待値の不一致
    「ただのお金の貸し借り」のつもりが、相手は「経営への発言権」を期待しているなど、認識のズレが生じることも。
  3. 資金額の限界
    知人・親族の資金力には限界があり、大きな資金需要には対応できないケースがほとんどです。

💡 知人・親族からの借入で注意すべきこと

  1. 契約書の作成
    「親しき仲にも礼儀あり」で、借入条件(金額、金利、返済期間など)は必ず書面にしましょう。
  2. ビジネスとプライベートの切り分け
    事業の話と個人的な関係を混同せず、ビジネスの話はビジネスの場で行いましょう。
  3. 期待値のすり合わせ
    お互いの認識(単なる借入金なのか、経営参画を期待しているのか等)を事前に明確にしておきましょう。
  4. 返済計画の共有
    いつ、どのように返済するかの具体的な計画を示し、安心感を与えましょう。

自己資金と知人からの借入は、外部からの資金調達の「土台」となる重要な部分です。

まずはこの部分をしっかり固めた上で、必要に応じて融資や出資などの外部資金調達を検討するという段階的なアプローチをお勧めします。

Q6: 資金調達を成功させるために!共通の「よくある質問」と対策

Q6-1: 結局、どの方法を選べばいいの?判断基準は?

「様々な資金調達方法があって迷ってしまう…」

これは多くの起業家が抱える悩みです。

理想的な資金調達方法は、会社の状況や目標によって大きく異なります。

資金調達手段選択の4つの判断軸

  1. 事業特性との相性
    ビジネスモデルや成長志向によって、適した調達方法は変わります。 例えば、急成長を目指すスケーラブルなビジネスはVC出資が適しており、堅実な成長を目指す地域密着型ビジネスは融資が適しています。
  2. 必要資金額と時間軸
    必要な金額と、その資金をいつまでに調達する必要があるかも重要です。 大型資金には出資や銀行融資、小口・緊急の資金にはクラウドファンディングやファクタリングなど、状況に応じた使い分けが必要です。
  3. 経営の自由度と制約
    資金調達には必ず「対価」があります。 融資なら返済義務、出資なら株式と経営権の一部譲渡、補助金なら使途制限など、それぞれの制約を許容できるかを考えましょう。
  4. 自社の強み・弱み
    自社の状況(信用力、実績、市場性など)によって、通りやすい調達手段は異なります。
調達手段調達規模調達期間経営権への影響返済義務向いている企業
日本公庫融資〜数千万円1〜2ヶ月なしあり(元本+利息)創業期・小規模企業
銀行融資数百万〜数億円1〜3ヶ月なしあり(元本+利息)安定収益のある企業
補助金・助成金数十万〜1,000万円3〜12ヶ月なしなし(用途制限あり)政策テーマに合致する企業
エンジェル投資数百万〜数千万円1〜3ヶ月小〜中なしシード期のスタートアップ
VC投資数千万〜数億円3〜6ヶ月中〜大なし急成長志向のスタートアップ
購入型CF数十万〜数千万円2〜3ヶ月なしなし(リターン提供義務)BtoCの製品・サービス
株式型CF数百万〜1億円2〜4ヶ月なし一般消費者に訴求できる企業
ファクタリング数十万〜数千万円数日〜1週間なしなし(手数料高め)売掛金を持つ企業

実際には、これらの調達手段を組み合わせる「ミックス戦略」が有効なケースも多いです。

🔍 資金調達のミックス戦略例
┗ 「自己資金+日本公庫融資+補助金」の組み合わせ
┗ 「エンジェル投資+少額融資」でバランスを取る
┗ 「購入型クラウドファンディング」で実績を作り「VC投資」へ
┗ 「設備投資は融資」+「開発費は出資」と使い分け

Q6-2: 事業計画書ってどう書けばいい?何が重要?

「事業計画書って難しそう…」

多くの起業家がこのように感じていますが、資金調達において事業計画書は最も重要な武器になります。

銀行融資でも、VC出資でも、補助金申請でも、説得力のある事業計画書は必須です。

事業計画書に盛り込むべき7つの要素

  1. 事業概要(ビジネスモデル)
    何を、誰に、どのように提供するのか? どのようにして収益を上げるのか? ビジネスの全体像を簡潔に説明します。
  2. 市場分析と競合状況
    ターゲット市場の規模と成長性は? 主要な競合は誰で、どう差別化するのか? 市場のニーズや課題をデータで示します。
  3. 商品・サービスの特徴
    提供する価値は何か? 競合と比べた優位性は? 具体的なユーザーメリットを明記します。
  4. 事業運営体制
    チームメンバーの強み・経験は? 事業に必要なリソース(設備・人材など)は? 組織体制や役割分担を説明します。
  5. マーケティング・販売戦略
    どのように顧客を獲得するのか? 販売チャネルや価格戦略は? プロモーション計画を具体的に示します。
  6. 収支計画(財務計画)
    3〜5年間の売上・費用・利益予測 初期投資の内訳と回収計画 資金繰り(キャッシュフロー)計画
  7. リスク分析と対策
    想定されるリスクは何か? それらにどう対応するのか? リスクへの備えを示し、信頼性を高めます。

🔍 事業計画書作成の5つのコツ

  1. 具体的な数字を示す
    「市場は大きい」ではなく「○○億円市場で年率△△%成長中」 「人気がある」ではなく「類似製品の平均単価○円×想定販売数△△個=売上◇◇万円」 具体的な数字は説得力を高めます。
  2. 論理的なストーリーを組み立てる
    なぜその事業に取り組むのか? なぜあなた(のチーム)が成功できるのか? なぜそのタイミングなのか? 一貫したストーリーラインで説明します。
  3. 裏付けとなるデータや根拠を示す
    市場規模のデータ出典 競合分析の情報源 過去の実績や検証結果 根拠を示すことで信頼性が高まります。
  4. 読み手に合わせた内容にする
    銀行向け:返済能力と安定性を強調 VC向け:市場規模と成長性を強調 補助金向け:社会的意義や政策目的との整合性を強調 読み手によって重視するポイントが異なります。
  5. 視覚的にわかりやすくする
    図表やグラフを効果的に使用 箇条書きで要点を整理 適切な見出しと構成 視覚的にわかりやすい資料は印象に残ります。
💡 事業計画書作成のワンポイントアドバイス

事業計画書は「ワードやエクセルで書くもの」と思いがちですが、近年はウェブツールを活用する方法も増えています。「Bizroute」「LivePlan」などのサービスを活用すると、テンプレートに沿って必要事項を入力するだけで、プロ仕様の事業計画書が完成します。初めて作成する方は、こうしたツールも検討してみるとよいでしょう。

Q6-3: 資金調達でよくある失敗トップ3とその対策は?

資金調達の道のりは決して平坦ではありません。

多くの起業家が同じような失敗を繰り返しています。

ここでは、私が数百社の資金調達をサポートしてきた経験から、特に多い失敗事例とその対策を紹介します。

失敗事例1:準備不足で資金ショートする

「資金が底をつきそうになってから慌てて融資を申し込んだが、審査に時間がかかって資金ショートした」

これは最もよくある失敗パターンです。

対策

  • 最低6ヶ月先までの資金繰り表を作成し、常に更新する
  • 資金需要の3〜6ヶ月前から資金調達の準備を始める
  • 予備の資金調達先(クレジットラインなど)をあらかじめ確保しておく
  • 急な資金需要に備えて、常に手元資金を一定額確保しておく

失敗事例2:自社に合わない資金調達手段を選ぶ

「友人がVCから資金調達したからと言って自分も出資を求めたが、自社のビジネスモデルはVC向きではなかった」

「事業拡大期に少額の補助金だけに頼って資金が足りなくなった」

資金調達手段のミスマッチも多く見られます。

対策

  • 自社のビジネスモデルと成長戦略を客観的に分析する
  • 前述の判断基準に基づき、適切な資金調達手段を選ぶ
  • 一つの調達手段に依存せず、複数の手段を組み合わせる
  • 必要に応じて中小企業診断士等の専門家に相談する

失敗事例3:契約内容を十分理解せずに調達する

「融資の返済条件をよく確認せず、返済開始時期に資金不足に陥った」

「出資契約書の細かい条項を読まず、後になって経営の自由度が制限されていることに気づいた」

契約内容の理解不足による後悔も少なくありません。

対策

  • 契約書は必ず隅々まで読み、不明点は質問する
  • 専門用語や法律的な条項は、専門家(弁護士など)に確認する
  • 特に「誓約条項」「期限の利益喪失事由」「拒否権条項」などは要注意
  • 将来の資金需要や事業展開も考慮した上で契約内容を検討する

🔍 資金調達を成功させるための5つの黄金ルール

  1. 早めに動く
    資金が必要になる時期の少なくとも3〜6ヶ月前から準備を始めましょう。
  2. 複数の選択肢を検討する
    一つの方法だけに固執せず、複数の調達方法を並行して検討しましょう。
  3. プロの助けを借りる
    税理士、中小企業診断士、弁護士など、専門家のアドバイスを積極的に取り入れましょう。
  4. 「No」は「今はNo」と理解する
    融資や出資を断られても、それは「永遠のNo」ではありません。 フィードバックを得て計画を改善し、再チャレンジしましょう。
  5. 資金調達はゴールではなくスタート
    資金調達はあくまで事業成功のための手段です。 調達後の資金活用計画と成長戦略が重要です。

Q6-4: 専門家(税理士、コンサル等)にはいつ、何を相談すべき?

資金調達は専門性の高い分野です。

適切なタイミングで専門家の力を借りることで、成功確率を大きく高めることができます。

どんな専門家がいる?

  1. 税理士
    会計・税務のプロフェッショナル。 創業計画書の財務計画部分や、資金調達後の税務対策に強みを持ちます。
  2. 中小企業診断士
    経営コンサルタントの国家資格。 事業計画の策定から資金調達先の選定まで、幅広くサポートします。
  3. 弁護士
    法律の専門家。 特に出資契約書のレビューや、株主間契約書の作成に必須です。
  4. 行政書士
    各種許認可や公的書類作成のプロフェッショナル。 補助金申請書類の作成サポートを得意とする方も多いです。
  5. 金融機関OB/コンサルタント
    私のような元銀行員は、融資審査のポイントや金融機関との交渉術に精通しています。 事前相談から融資実行までをサポートします。

いつ専門家に相談すべき?

各資金調達フェーズでの専門家活用のタイミングを見ていきましょう。

  1. 計画段階
    事業計画の策定時:中小企業診断士、税理士 資本政策の検討時:弁護士、税理士 まだ具体的な計画がない段階でも、方向性のアドバイスを受けられます。
  2. 申請・交渉段階
    融資申込前:金融機関OB/コンサルタント 補助金申請時:行政書士、中小企業診断士 出資交渉前:弁護士(特にタームシート検討時) 書類作成や面談対策など、実務的なサポートが得られます。
  3. 契約段階
    融資契約時:弁護士(特に大型融資の場合) 出資契約時:弁護士(必須) 契約書の内容チェックや交渉のサポートを受けられます。
  4. 調達後のフォローアップ
    資金管理・税務対策:税理士 補助金実績報告:行政書士、税理士 株主対応:弁護士、税理士 調達後の適切な対応でトラブルを防ぎます。

専門家への相談費用の目安

専門家相談内容費用目安
税理士事業計画書(財務計画部分)作成10〜30万円
中小企業診断士事業計画全体のブラッシュアップ10〜50万円
弁護士出資契約書レビュー20〜50万円
行政書士補助金申請書類作成5〜20万円
金融機関OB/コンサルタント融資相談・交渉同行10〜30万円

専門家への費用は「投資」と考えましょう。

例えば、30万円の専門家費用で3,000万円の融資が通れば、十分に元が取れます。

また、多くの専門家は初回相談を無料で受け付けています。

🔍 費用を抑える方法
┗ 商工会議所/商工会の無料相談窓口を活用する
┗ 認定経営革新等支援機関の補助金申請サポート(成功報酬型)を利用する
┗ よろず支援拠点(中小企業庁)の無料相談サービスを利用する
┗ 自治体の創業支援センターを活用する
┗ 複数の専門家から見積もりを取り比較する

専門家によるサポートは「保険」のようなものです。

資金調達に失敗するリスクを大幅に減らすことができますので、ぜひ活用してください。

よくある質問(FAQ)

Q: 自己資金はいくら必要ですか?

A: 一概には言えませんが、日本政策金融公庫の創業融資では、目安として必要資金総額の1/10~1/3程度の自己資金があると審査で有利とされます。

全くゼロだと厳しい場合が多いですが、事業経験や計画次第で認められるケースもあります。

まずは可能な範囲で準備する姿勢が重要です。

Q: 融資の面談ではどんなことを聞かれますか?

A: 主に、①なぜ起業するのか(動機)、②事業内容は何か、③これまでの経験、④自己資金はいくらか、⑤具体的な資金使途、⑥売上・利益の見込みとその根拠、⑦返済計画などを聞かれます。

熱意と計画の具体性、誠実な受け答えが重要です。

Q: 補助金は本当に返さなくていいのですか?

A: はい、原則として返済は不要です。

ただし、定められたルール(目的外使用の禁止、報告義務など)を守ることが条件です。

違反した場合は返還を求められることもありますので、注意が必要です。

Q: 赤字でも資金調達できますか?

A: 状況によります。

創業初期の赤字は計画通りであれば問題視されないことも多いです(特にVC出資)。

ただし、融資の場合は返済能力が重視されるため、赤字が続く見込みだと審査は厳しくなります。

赤字の理由と今後の黒字化計画を明確に説明できるかが鍵です。

Q: 希望額を調達できなかったらどうすればいいですか?

A: まずは計画を見直し、コスト削減や事業規模の縮小が可能か検討します。

それでも不足する場合は、他の資金調達手段(別の融資制度、追加出資、クラウドファンディングなど)を試す、あるいは段階的に資金調達を行う計画に変更するなどの対応が考えられます。

諦めずに複数の選択肢を探ることが大切です。

まとめ

初めての資金調達、多くの疑問や不安があったと思いますが、この記事を通して少しでも解消されたでしょうか?

資金調達には融資、補助金、出資など様々な方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

大切なのは、ご自身の事業計画や状況に合わせて最適な手段を選び、しっかりと準備を進めることです。

佐々木 真帆

特に事業計画の作り込みと、必要に応じた専門家への相談は成功の鍵となります。

資金調達はゴールではなく、事業を成長させるためのスタートです。

この記事で得た知識を元に、まずは事業計画の作成や情報収集といった具体的な一歩を踏み出してみましょう。

もし迷ったら、いつでもこの記事を読み返してください。

あなたの挑戦を心から応援しています!

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この記事を書いた人

佐々木真帆は、資金繰りコンサルタントとして活躍する金融のプロフェッショナルである。大手銀行での融資審査経験から独立コンサルタントとしての現在まで、一貫して「企業の生命線である資金繰り」に焦点を当て、その知見を惜しみなく共有している。

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