こんにちは。
中小企業の資金繰りコンサルタント、佐々木真帆です。
東京で独立し、日々多くの経営者の方々からご相談をいただく中で、痛いほど感じる想いがあります。
それは、「事業を続けたい、従業員や家族を守りたい。でも、銀行からの借入返済がもう限界だ…」という、出口の見えないトンネルの中にいるような切実な悩みです。
資金繰りの悪化、鳴り止まない督促の電話…。
夜も眠れないほどのプレッシャーを、たった一人で抱え込んでいませんか?

銀行員時代、私は融資をお断りせざるを得なかった経営者の悔しそうな表情を何度も見てきました。
そのたびに、「もっと直接的に、経営者の再起を後押しできる存在になりたい」という想いを強くしてきました。
もしあなたが今、同じような状況にいるのなら、ぜひ知ってほしい選択肢があります。
それが、今回ご紹介する「特定調停」です。
これは単なる借金整理の手続きではありません。
裁判所という公的な機関を介して、事業とあなたの生活を守りながら再起を目指すための「公式な交渉の場」なのです。
この記事を最後まで読めば、特定調停のメリット・デメリットから具体的な手続き、そして経営者だからこそ知っておくべき成功の秘訣まで、その全てが分かります。
あなたが今、取るべき最善の一手が見つかるはずです。


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👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所
平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)
特定調停とは?【基本を3分で理解する】裁判所を利用した“話し合い”の全貌
まずは「特定調停」が一体どのような制度なのか、基本から押さえていきましょう。
難しく考える必要はありません。
本質はとてもシンプルです。
裁判所が仲裁役!特定調停は「公的な任意整理」
特定調停とは、簡易裁判所が公平な第三者として仲立ちし、借金の返済に困っている人(債務者)と、お金を貸した側(債権者)との話し合いをサポートしてくれる制度です。
最終的に、双方が納得できるような無理のない返済計画を立て、生活や事業の再建を目指します。
「なんだ、結局は話し合いか」と思われるかもしれません。
しかし、「裁判所が間に入る」という点が決定的に重要です。
銀行員だった頃の経験から言えることですが、金融機関との交渉は、経営者にとって精神的に非常に大きな負担となります。
しかし、裁判所が選任した「調停委員」という専門家が間に入ることで、冷静かつ対等な立場で話し合いを進めることが可能になるのです。
いわば、「裁判所を利用して行う任意整理」と考えるとイメージしやすいでしょう。
どんな人に向いてる?特定調停が有効なケース、不向きなケース
特定調停は万能ではありませんが、特定の状況にある方にとっては非常に有効な手段となり得ます。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 弁護士費用をかけずに、自分で手続きを進めたい人
- 借金の総額が比較的少なく、将来の利息をカットすれば3〜5年程度で返済できる見込みがある人
- 平日昼間に、数回程度なら裁判所に行く時間を確保できる人
- 取引先との関係は維持しつつ、金融機関からの借入だけを整理したい個人事業主や中小企業経営者
- 安定した収入はあり、返済の意思もしっかり持っている人
逆に、借金が多額すぎて返済の目処が全く立たない場合や、そもそも収入が不安定な場合は、他の手続き(個人再生や自己破産)を検討した方が良いかもしれません。
【元銀行員が本音で解説】特定調停のメリット・デメリット
どんな制度にも光と影があります。
ここでは、私が多くの現場を見てきた経験から、特定調停のリアルなメリットと、知っておかないと後悔するデメリットを本音で解説します。
本当に得する?費用を抑えて事業資産を守れるメリット
特定調停には、経営者にとって見逃せない多くのメリットがあります。
メリット1:費用が圧倒的に安い
最大の魅力は、その費用の安さです。弁護士に依頼する場合と比較してみましょう。
手続きの種類 | 費用の目安(債権者5社の場合) |
---|---|
特定調停(本人申立) | 約5,000円~(収入印紙・郵便切手代のみ) |
任意整理(弁護士依頼) | 約25万円~50万円(着手金+成功報酬) |
このように、専門家への報酬が不要なため、手元の資金が厳しい状況でも利用しやすいのが特徴です。
メリット2:最短即日で取り立てがストップする
裁判所に申立てが受理されると、裁判所から債権者へ通知が送られ、それ以降の取り立て行為(電話や訪問など)が法律で禁止されます。精神的な平穏を取り戻せるのは大きなメリットです。
メリット3:資産を手放さずに済む可能性がある
自己破産のように、事業用の機械や車、自宅などを強制的に処分されることはありません。事業の基盤を守りながら再建を目指せます。
メリット4:一部の借金だけを整理できる柔軟性
「この仕入先との取引は続けたい」「事業用のリース契約は維持したい」という場合、それらの債権者を対象から外し、金融機関からの借入だけを整理するといった柔軟な対応が可能です。
ここが落とし穴!知っておくべきデメリットとリスク
一方で、良い話ばかりではありません。
以下のデメリットを理解した上で、慎重に判断することが重要です。
❌デメリット1:債権者の同意が必須で、不成立のリスクがある
調停はあくまで話し合いです。債権者のうち一社でも合意しなければ成立しません。特に、強硬な姿勢の債権者がいると、交渉が難航し不成立に終わるリスクがあります。
❌デメリット2:元本の減額はほぼ期待できない
特定調停で目指すのは、主に将来発生する利息のカットや、返済期間の延長(リ・スケジュール)です。借金の元本そのものが大幅に減るわけではありません。
❌デメリット3:手続きの手間が大きい
申立書の作成から債権者一覧の整理、財産状況の報告まで、すべての書類を自分で準備する必要があります。相応の手間と時間がかかることは覚悟しなければなりません。
❌デメリット4:信用情報(ブラックリスト)に載る
特定調停を利用すると、信用情報機関に事故情報として約5年間登録されます。この期間は、新たな借入れやクレジットカードの作成が原則としてできなくなります。
💡 【これだけは押さえたいポイント】調停委員は「あなたの味方」ではない
よくある誤解ですが、調停委員はあなたの代理人ではありません。あくまでも公平・中立な第三者です。
もちろん親身に話を聞いてくれますが、最終的にはあなたが提示する返済計画に説得力があるか、債権者が納得できる内容かで判断します。
「裁判所に行けば何とかしてくれるだろう」という甘い考えでは、有利な条件を引き出すことは難しいと心に留めておいてください。
あなたに最適なのは?他の債務整理(任意整理・個人再生)との違いを徹底比較
特定調停が自分に合っているか判断するには、他の債務整理手続きと比較するのが一番です。
ここでは、代表的な4つの手続きを比べてみましょう。
比較表で一目瞭然!「費用」「減額効果」「手続き難易度」「期間」の違い
項目 | 特定調停 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|---|
元本減額 | 原則なし | 原則なし | 大幅に可能 | 全額免除 |
費用目安 | ◎ 安い | △ 専門家費用 | × 高い | × 高い |
手続き期間 | ○ 2~3ヶ月 | ◎ 最も早い | × 半年~1年 | × 半年~1年 |
資産の処分 | 原則なし | 原則なし | 残せる可能性あり | 原則処分 |
保証人への影響 | 影響あり | 影響あり | 影響あり | 影響あり |
官報掲載 | なし | なし | あり | あり |
手続きの主体 | 裁判所・本人 | 弁護士等 | 裁判所・弁護士等 | 裁判所・弁護士等 |
【経営者のための選択基準】事業への影響で選ぶ債務整理
この表を見て、経営者のあなたは「事業をどうしたいか」という視点で考える必要があります。
- 事業を続けたい、取引先に知られたくない場合
┗ 任意整理 or 特定調停 が第一候補です。官報に載らず、整理する債権者を選べるため、事業への影響を最小限に抑えられます。 - 借金が多額だが、事業(自宅)は手放したくない場合
┗ 個人再生 を検討します。元本を大幅に圧縮しつつ、住宅ローン特則などを使えば自宅を守れる可能性があります。 - 事業の継続が困難で、リセットしたい場合
┗ 自己破産 が最終手段となります。法人の破産と同時に手続きを進めることが多いです。



資金繰りコンサルタントの視点から言えば、「手元のキャッシュを温存しつつ、まずは自力での再建を目指す」という意味で、任意整理か特定調停を最初に検討するのが経営の定石と言えるでしょう。
【完全ロードマップ】特定調停の申立てから解決までの全手順
では、実際に特定調停を利用する場合、どのような流れで進むのでしょうか。
ここからは、あなたが一人でも行動できるよう、具体的な手順をロードマップ形式で解説します。
Step1: 準備編 – 必要書類の入手と「返済計画案」の作成
まずは準備からです。ここが最も重要と言っても過言ではありません。
1. 必要書類を集める
以下の書類を準備します。様式は管轄の簡易裁判所の窓口や、Webサイトからダウンロードできます。
- 特定調停申立書
- 債権者一覧表(権利関係者一覧表)
- 財産状況等明細書
- 収入印紙、郵便切手
- (法人の場合)商業登記簿謄本(現在事項全部証明書)
2. 「返済計画案」を作成する
これが調停の成否を分ける心臓部です。
会社の資金繰り表や個人の家計簿をもとに、「毎月いくらなら、何年間で返済できるのか」を具体的に、そして現実的に示します。
「これだけしか返せません」ではなく、「これだけの経費削減努力をし、売上をこう回復させるので、毎月この金額を捻出して必ず返済します」という、再建への強い意志と根拠を示すことが重要です。
Step2: 申立編 – 裁判所への提出と調停期日の決定
書類が準備できたら、いよいよ申立てです。
管轄の簡易裁判所へ提出
原則として、相手方(債権者)の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。債権者が複数いる場合は、そのうちの一つの裁判所にまとめて申し立てることができます。
費用の納付
申立書に収入印紙を貼り、連絡用の郵便切手と共に納付します。費用は債権者の数によりますが、数千円から1万円程度で済むことがほとんどです。
調停期日の決定
申立てが受理されると、約1ヶ月後に第1回の調停期日が指定され、あなたと債権者の双方に通知(呼出状)が送られます。
Step3: 調停編 – 調停委員との面談と債権者との交渉
いよいよ、話し合いのテーブルに着きます。
第1回調停期日(事情聴取)
この日は主に、調停委員があなたから借入れの経緯や現在の生活・事業の状況、返済計画案について詳しく話を聞きます。債権者は出席しないことも多いです。ここでいかに誠実に窮状と再建意欲を伝えられるかが、後の交渉に影響します。
第2回以降の調停期日(調整期日)
調停委員があなたの返済計画案をもとに、各債権者と個別に交渉し、合意点を探っていきます。あなたと債権者が直接顔を合わせることは少なく、調停委員が間に入って調整を進めてくれます。
調停成立 or 不成立
全ての債権者が返済計画に合意すれば「調停成立」です。その内容をまとめた「調停調書」が作成されます。
合意に至らなければ「不成立(不調)」となり、手続きは終了します。
【関連】調停手続について
【本記事の核心】個人事業主・経営者が特定調停を成功させる秘訣
さて、ここからは他ではあまり語られない、本記事の核心部分です。
個人事業主や経営者のあなたが、特定調停を単なる借金整理で終わらせず、事業再生の武器として戦略的に活用するための秘訣をお伝えします。
事業計画と連動した「説得力のある返済計画」を提示する
個人の家計簿レベルの収支計画では、金融機関は納得しません。
銀行員は「なぜその金額を返済できるのか?」というロジック(論理)を最も重視します。
- 具体的な売上回復策(新規顧客開拓、新サービスなど)
- 徹底した経費削減の具体策(固定費の見直しなど)
- それらを反映した、少なくとも3年分の詳細な事業計画・収支計画
これらを提示し、「感情論」ではなく「数字」で語ることが、交渉を有利に進める絶対の鉄則です。
「経営者保証ガイドライン」と「事業再生型スキーム」を知る
近年、特定調停は新たな形で注目されています。
経営者保証ガイドラインとの連携
「会社が倒産したら、社長個人が保証人として全責任を負う」という経営者保証の慣行を見直す動きがあります。このガイドラインの考え方を活用し、特定調停の場で経営者個人の保証債務を整理し、再起に必要な資産(自宅など)を残せる可能性があります。
事業再生型特定調停スキーム
これは、日本弁護士連合会などが提唱する、まさに事業再生のための特定調停です。
中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)などの専門機関と連携し、金融機関と一体となって事業の再生計画を立て、その仕上げとして特定調停で法的なお墨付きを得る、という高度な活用法です。
これらの専門的なスキームの存在を知っておくだけでも、交渉の選択肢が大きく広がります。
【関連】中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)
交渉相手を見極める – 対象にする債権者の戦略的選定
特定調停の「一部の債権者だけを対象にできる」というメリットを、戦略的に使いましょう。
例えば、
- 事業継続に不可欠な仕入先やリース会社は、これまで通り取引を続けるため対象から外す。
- 交渉の相手を、金融機関からの借入だけに絞る。
このように交渉相手を絞り込むことで、事業へのダメージを最小限に食い止めながら、財務の健全化を図ることが可能になります。
ただし、特定の債権者だけを優遇しすぎると、他の債権者から「不公平だ」と反発を招く可能性もあるため、調停委員とよく相談しながら進めることが重要です。
よくある質問(FAQ)
最後に、ご相談でよくいただく質問にお答えします。
Q: 保証人になっている家族や友人に迷惑はかかりますか?
A: はい、原則として迷惑がかかります。特定調停はあくまであなたと債権者の話し合いであり、保証人の返済義務はなくなりません。債権者は保証人に請求することができます。保証人問題も同時に解決したい場合は、弁護士に相談し、保証人を含めた交渉(任意整理など)を検討する必要があります。
Q: 特定調停をすると、いわゆる「ブラックリスト」には何年載りますか?
A: はい、信用情報機関に事故情報として登録されます。期間は、調停成立後に返済が完了してから約5年間が目安です。この期間中は、新たな借入れやクレジットカードの作成が困難になります。
Q: 税金や社会保険料の滞納も特定調停で整理できますか?
A: いいえ、できません。税金や社会保険料などの公租公課は特定調停の対象外です。これらは別途、管轄の役所(税務署や年金事務所など)と相談し、分納計画などを立てる必要があります。
Q: 失敗して調停不成立になったら、どうすればいいですか?
A: 不成立で手続きが終了した場合、次は任意整理や個人再生、自己破産といった別の手続きを検討することになります。そうならないためにも、申立て前に「そもそも特定調停で解決できる見込みがあるのか」を、弁護士などの専門家の無料相談などを利用して、一度客観的に判断してもらうことも非常に重要です。
まとめ
特定調停は、利用件数こそ全盛期に比べて減少していますが、「事業を守りながら、低コストで再起を図りたい」と願う経営者や個人事業主にとって、今なお強力な選択肢の一つであることに変わりはありません。
成功の鍵は、ただ制度に頼るのではなく、専門家のアドバイスも参考にしつつ、実現可能な再建計画を自らの手で作り上げるという強い意志にあります。
借金問題で悩むのは、決して恥ずかしいことではありません。
むしろ、それだけ真剣に事業と向き合ってきた証です。
この記事が、暗いトンネルの中にいるあなたの足元を照らす、一筋の光となれば幸いです。
一人で抱え込まず、まずは今日、お近くの簡易裁判所のWebサイトを覗いてみてください。
それが、あなたの会社の未来を切り開く、新たな一歩になるはずです。


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