「会社の成長資金、銀行から借りるべきか、誰かに出資してもらうべきか…」
もしあなたがこの究極の選択に悩んでいるなら、どうかこの記事を5分だけ読んでください。
元銀行員として数々の融資稟議書を書き、現在は資金繰りコンサルタントとして多くの経営者を支援してきた私には、断言できることがあります。
それは、資金調達の「選択ミス」が、素晴らしい技術やサービスを持つ企業の未来をいとも簡単に奪ってしまうという、あまりにも悔しい現実です。

銀行員時代、将来性ある企業の稟議書に「否決」の印を押さなければならなかった時の、あの経営者の無念の表情が今も忘れられません。
だからこそ、この記事では単なる用語解説はしません。銀行とコンサルの両面から現場を見てきたプロとして、「デット」と「エクイティ」それぞれの本当のメリット・デメリット、そしてあなたの会社の”今”と”未来”にとっての最適解を導き出すための全てをお伝えします。
【この記事の結論】デットファイナンスとエクイティファイナンスの主な違い
比較項目 | デットファイナンス(融資など) | エクイティファイナンス(出資など) |
---|---|---|
資金の性質 | 負債(他人資本) | 資本(自己資本) |
返済義務 | あり(元本+利息) | なし |
経営権への影響 | なし(経営の自由度は維持) | あり(持株比率に応じて経営権が希薄化) |
資金調達スピード | 比較的早い傾向 | 時間がかかる傾向 |
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デットファイナンスとエクイティファイナンス、根本的な違いとは?
まずは基本を押さえましょう。
言葉は難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。
デットファイナンス:「他人のお金」でレバレッジをかける
「デット=負債」、つまり「借金」のことです。
銀行融資や社債発行が代表例ですね。
返済義務と利息が発生しますが、経営の自由度は保たれます。
具体的に言うと、他人資本を使って自己資金以上の事業展開を目指す、レバレッジを効かせる考え方です。
エクイティファイナンス:「仲間のお金」で事業を育てる
「エクイティ=資本」、つまり「出資」です。
新株発行による増資が代表的です。
返済義務はありませんが、会社の株式(一部)を渡すため、経営権が希薄化する可能性があります。
事業の成長を共有するパートナーを迎え入れるイメージ、と考えると分かりやすいかもしれません。
【比較表で一目瞭然】メリット・デメリットを元銀行員が本音で解説
言葉の意味がわかったところで、両者のメリット・デメリットを比較してみましょう。
私が現場で見てきた「本音」のコメントも加えています。
比較表:デット vs エクイティ
比較項目 | デットファイナンス(融資など) | エクイティファイナンス(出資など) |
---|---|---|
返済義務 | あり(元本+利息) | なし |
経営権への影響 | なし(経営の自由度は維持) | あり(持株比率に応じて経営権が希薄化) |
資金調達コスト | 支払利息(金利) | 配当、専門家への手数料など(資本コスト) |
信用力への影響 | 借入が増えると財務が悪化したように見える | 自己資本が増えるため財務が安定して見える |
調達スピード | 比較的早い(ビジネスローンなど)〜中程度(銀行融資) | 時間がかかる傾向(投資家との交渉) |
佐々木の本音 | 計画通り返済できれば、銀行との信頼関係が築け、次の融資に繋がります。 | 資金だけでなく、出資者の持つ経営ノウハウや販路も得られる「事業パートナー」を見つける視点が重要です。 |
デットのメリット:経営権の維持と節税効果
最大のメリットは、なんと言っても経営権を100%維持できることです。
私が銀行員時代にお会いした多くの中小企業のオーナー社長は、この点を最も重視していました。
「自分の城は自分で守る」という気概ですね。
また、支払利息は経費として計上できるため、法人税の節税効果も期待できます。
エクイティのデメリット:経営の自由度が下がるリスク
返済不要なのは大きな魅力ですが、新たな株主を迎えることで経営方針に口出しされる可能性があります。
特に議決権の比率には細心の注意が必要です。
会社の重要な意思決定(役員選任や事業譲渡など)に、他の株主の承認が必要になるケースもあります。
資本政策の失敗は、後からでは取り返しがつきません。
元銀行員が語る!デットファイナンス(融資)審査のリアルな裏側
「銀行は、どうせ晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げるんだろう?」
そう思っていませんか?
半分は正解ですが、半分は違います。
銀行員も鬼ではありません。貸したお 金が返ってこないのが一番怖いだけなのです。
では、審査担当者だった私が「この会社なら大丈夫だ」と判断したポイントはどこだったのか。こっそりお教えします。
銀行員は「事業計画書」のココを見ている



売上予測の数字そのものよりも、「その数字に至る客観的な根拠」を私たちは重視します。
例えば、「来年は売上が20%アップします」とだけ書かれていても、心の中では「本当かな?」と疑ってしまいます。
しかし、
「新規顧客A社との取引が具体的に決まっており、その契約書もあります。さらに、Web広告の費用対効果がこれくらいなので、広告費をこれだけ増やせば、これくらいの新規顧客が見込めます」
と、具体的なアクションプランとデータが示されていれば、話は全く別です。
経営者の「希望的観測」ではなく、「実現可能な計画」が見たいのです。
「自己資金」と「信用情報」がすべてを語る
これは厳しい現実ですが、非常に重要です。
自己資金をコツコツ貯めてきた通帳の履歴は、計画性の何よりの証明になります。
逆に、資金繰りが苦しくなってから慌てて作ったような見せ金は、すぐに見抜かれてしまいます。
また、経営者個人の信用情報も必ず確認します。
クレジットカードやローンの支払遅延、そして特に税金や社会保険料の滞納は、それだけで「お金にルーズな人」というレッテルを貼られ、マイナス評価になるので絶対に避けてください。
銀行との上手な付き合い方:「平時」からの関係構築
資金が逼迫してから「助けてください!」と駆け込むのは、最悪のタイミングです。
業績が良い時から、定期的に試算表などを持って銀行の担当者と情報交換をしておくことが、いざという時の命綱になります。
私が担当していたある製造業の社長は、毎月必ず雑談がてら業績報告に来てくれました。
だからこそ、コロナ禍でサプライチェーンが混乱した際も、私の方から「何かお困りではないですか?」と声をかけ、迅速な融資に繋げることができたのです。
普段からの関係構築が、何よりの「信用」という担保になります。
コンサルタントが見る!エクイティファイナンス成功の鍵
次に、コンサルタントとして多くの企業の出資による資金調達を支援してきた立場から、成功の鍵をお話しします。
投資家は銀行員とは全く違う視点であなたの会社を見ています。
投資家が評価するのは「市場の成長性」と「経営チーム」
投資家が最も重視するのは「誰がやるのか」です。
もちろん、革新的なビジネスモデルは重要です。
しかし、それ以上に「この人たちなら、どんな困難があってもこの事業を成功させてくれるだろう」と信じられるか。
経営チームの経歴、専門性、そして何より事業への情熱を見ています。
また、あなたの事業が、今後大きく伸びていく成長市場にあることも非常に重要な要素です。
どんなに優れた製品でも、縮小していく市場では大きなリターンは期待できないからです。
「出口戦略(EXIT)」を明確に示せるか
ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家は、ボランティアではありません。
彼らの目的は、IPO(株式公開)やM&A(企業の合併・買収)によって、投資した資金を回収し、大きな利益(キャピタルゲイン)を得ることです。
そのため、事業計画の中では、将来的にどのような形でEXITを目指すのか、具体的な道筋を提示することが不可欠です。
「5年後に市場シェアNo.1になり、業界最大手のA社への売却を目指します」といった具体的なビジョンが求められます。
IPOを目指す起業家の方は以下の記事も参考になります。
資本政策の重要性:最初の失敗が命取りに



資本政策の失敗は、後からでは絶対に取り返せません。
最初の資金調達で株式を安易に渡しすぎてしまうと、後のラウンドで主導権を失ったり、最悪の場合、経営権を失うという事態を招きます。
私がコンサルタントとして、経営者に最も強く注意を促すのがこの点です。
エクイティファイナンスを検討する際は、必ず事前に専門家へ相談してください。
最初のボタンの掛け違いが、数年後に取り返しのつかない事態を招くのです。
【事業ステージ別】あなたの中小企業に最適な資金調達はどっち?
では、あなたの会社は今、どのステージにいて、どの方法を選ぶべきでしょうか?
一つの目安として参考にしてください。
創業期・シード期:まずは公的融資とエンジェル投資家
事業実績がまだないこの時期は、民間の銀行融資はハードルが高いのが現実です。
まずは、日本政策金融公庫などの公的融資を検討しましょう。
特に2024年4月から創業融資制度が拡充され、自己資金要件が撤廃されるなど、創業者にとって追い風が吹いています。
エクイティであれば、事業の将来性に共感し、個人的に応援してくれるエンジェル投資家からの出資が主な選択肢となります。
成長期・アーリー期:デットとエクイティのミックスも視野に
売上が立ち始め、事業が軌道に乗ってきたら選択肢が広がります。
デットファイナンスでは、信用保証協会付きの融資や、実績次第では銀行からの直接融資も視野に入ります。
エクイティファイナンスでは、ベンチャーキャピタル(VC)からの本格的な出資(シリーズA)を目指すステージです。
事業拡大のスピードを一気に上げるため、両方を組み合わせる「デットとエクイティのミックス」という戦略も非常に有効です。
安定期・成熟期:プロパー融資や事業会社との連携
安定した黒字経営ができていれば、銀行からの信用も厚くなっています。
保証協会を通さない、銀行からの直接融資であるプロパー融資も可能になるでしょう。
さらなる成長を目指すなら、自社事業との相乗効果(シナジー)が見込める事業会社からの出資(CVC)も有力な選択肢です。
相手の販路や技術を活用させてもらうなど、資金以上のメリットが期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q: 赤字決算だと、銀行からの融資は絶対に無理ですか?
A: 必ずしも無理ではありません。私が銀行員だった時も、赤字の理由が一時的な設備投資など前向きなもので、かつ具体的な改善計画が示されていれば、融資を実行したケースはあります。重要なのは、赤字の背景と今後の返済可能性を合理的に説明できるかです。
Q: エクイティで調達した資金の使い道に制限はありますか?
A: 原則として、デットファイナンスより資金使途の自由度は高いです。 ただし、出資を受ける際に提出した事業計画に沿った使い方をすることが投資家との信頼関係の基本です。計画と大きく異なる使い方をする場合は、株主への説明責任が生じます。
Q: どちらの資金調達方法が、より早く資金を手にできますか?
A: ケースバイケースですが、一般的にはデットファイナンスの中でもビジネスローンなどが早い傾向にあります。ただし、金利は高めです。銀行融資は審査に数週間から1ヶ月以上かかることもあります。エクイティファイナンスは、投資家との出会いから交渉、契約まで数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。
Q: 経営権に影響が出ない範囲で出資を受けることは可能ですか?
A: 可能です。例えば、議決権のない種類株式を発行する方法があります。ただし、投資家側にとってはリスクが高くなるため、条件交渉はよりシビアになります。資本政策は非常に専門的なので、必ず専門家のアドバイスを受けてください。
Q: 金利や手数料など、トータルコストが低いのはどちらですか?
A: 一般的にはデットファイナンス(特に銀行融資)の方が、エクイティファイナンスにおける配当コストや専門家への手数料に比べて、直接的なコストは低い傾向にあります。 ただし、エクイティは返済不要という大きなメリットがあるため、単純なコスト比較だけでは判断できません。
まとめ
デットファイナンスとエクイティファイナンス。
どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。



会社の心臓部である「資金繰り」を考える上で最も大切なのは、自社の事業ステージや将来のビジョンに合った方法を選択することです。
元銀行員、そして現役のコンサルタントとして私が断言できるのは、「備えあれば憂いなし」ということです。
資金が必要になってから慌てるのではなく、常に自社の財務状況を把握し、いつでも最適な選択ができるよう準備しておくことが、持続的な成長の鍵となります。
まずは、この記事を参考に自社の現状を冷静に分析することから始めてみてください。
あなたの会社の未来を、資金調達で諦める必要はどこにもないのですから。


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