「借入金が返済できない、もう無理だ」と諦める前に。倒産を回避した社長がやった3つのこと

「借入金の返済ができない…もう無理かもしれない」

出口の見えないトンネルの中で、眠れない夜を過ごす社長の姿を、私は銀行員として、そして財務コンサルタントとして数えきれないほど見てきました。素晴らしい技術があるのに、資金繰りだけで全てを諦めてしまうのは、あまりにも悔しいことです。

ご安心ください。絶望の淵からV字回復を遂げた経営者には、共通する「最初の一手」があります。

佐々木 真帆

彼らは特別な魔法を使ったわけではありません。「正しい順番で、やるべきこと」を冷静に実践しただけなのです。

本記事では、元銀行の融資担当という経験も踏まえ、倒産の危機を乗り越えた社長たちが実践した「3つの具体的なアクション」を徹底解説します。

【この記事の結論】借入金が返済できない時に取るべき3つの行動

「借入金が返済できない…」と追い詰められた時、正しい手順で複数の選択肢を検討することが倒産回避の鍵です。取るべき行動は以下の3つです。

  • 行動1:現状を数字で正確に把握する
    まず「資金繰り表」を作成し、「いつ、いくら資金が不足するのか」を明確にします。これが全ての対策の出発点となります。
  • 行動2:資金繰りを改善する選択肢を検討する
    状況に応じて、以下の選択肢を検討・実行します。
    • 銀行への相談(リスケ): 返済が苦しくなる前に金融機関へ相談し、返済計画の見直し(リスケジュール)を依頼します。
    • ファクタリングの活用: 保有する「売掛金」を売却し、最短即日で運転資金を調達します。融資ではないため、緊急時に有効な手段です。
  • 行動3:経営の抜本的な改善を行う
    資金繰りに時間的な余裕を作りつつ、聖域なきコスト削減(役員報酬の見直し等)や売上・利益率の改善など、根本的な経営改善を断行します。

本文では、それぞれの具体的な進め方や、交渉・手続きを有利に進めるためのポイントを詳しく解説します。

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目次

借入金が返済できない時にまずやるべき現状把握:「資金繰り表」の作成

なぜ今、資金繰り表が不可欠なのか?

「感覚的には、来月の支払いが厳しい気がする…」
この「感覚」こそが、最も危険なサインです。

私が銀行員だった頃、再生のご相談に来られた社長に必ず最初にお願いしたのが資金繰り表の作成でした。
なぜなら、私たち銀行員は、損益計算書(PL)の利益以上に、「会社の血液である現金(キャッシュ)が、いつ、どれくらい入ってきて、いつ、どれくらい出ていくのか」を最も重要視するからです。

利益が出ていても、売掛金の回収が遅れれば会社は倒産します(黒字倒産)。
逆に赤字でも、手元に現金があれば事業は継続できます。

資金繰り表は、この現金の流れを可視化する唯一のツール。
それは、暗闇の航海における「羅針盤」であり、後述する銀行交渉に不可欠な「武器」になるのです。

3ヶ月先まで見通す「かんたん資金繰り表」の作り方

専門的な会計ソフトは必要ありません。
Excelやスプレッドシートで、今すぐ作れます。
大切なのは、シンプルでもいいから「現金の出入り」を正確に把握することです。

【かんたん資金繰り表の基本構成】

スクロールできます
項目今月来月再来月
①前月繰越10050▲20
②収入(入金)
売上(現金)505050
売掛金回収100120110
収入合計150170160
③支出(出金)
仕入・外注費809085
人件費505050
家賃・光熱費303030
借入金返済404040
支出合計200210205
④翌月繰越(①+②-③)50▲20▲65

ポイント:

  • 前月繰越:月初の手元現預金残高です。
  • 収入:売上が発生した日ではなく、「実際に入金される日」で計上します。
  • 支出:費用が発生した日ではなく、「実際に支払いをする日」で計上します。
  • 翌月繰越:この数字がマイナスになる月が「資金ショート」する月です。

具体的に言うと、月末締めの翌々月末払いという取引条件なら、1月の売上は3月にならないと入金されません。
このズレを正確に把握することが、資金繰り管理の第一歩です。

資金繰り表から見える「問題の根本原因」

資金繰り表を作成すると、漠然とした不安が具体的な課題に変わります。

  • 売上が減っているのか?
  • 特定の経費が膨らんでいるのか?
  • 売掛金の回収が遅れていないか?
  • 借入金の返済負担が重すぎるのか?

私がコンサルしたある製造業のA社は、売上は好調なのに常に資金繰りが苦しい状態でした。
資金繰り表を作成したところ、大手取引先からの入金が4ヶ月後である一方、材料の仕入れは翌月払いで、この「ズレ」が原因だと一目で判明しました。

原因が分かれば、打つべき手が見えてきます。

次に金融機関へ動く:元銀行員が教える「リスケジュール交渉」5つの鉄則

資金繰り表で「このままでは資金がショートする」と分かったら、次に行うのは金融機関への相談です。
「銀行に相談したら、もう貸してもらえなくなるのでは…」と不安に思う気持ちは痛いほど分かります。
しかし、行動が遅れるほど状況は悪化します。

元銀行員の視点から、交渉を有利に進めるための「5つの鉄則」をお伝えします。

鉄則1:絶対にやってはいけない!連絡なしの延滞

これは鉄則中の鉄則です。
返済日当日になって、連絡もなく引き落としができない。
これは、銀行との信頼関係を根底から破壊する行為です。

銀行員も人間です。
一番困るのは、状況が全く分からないこと。
例えるなら、お金を貸した友人から返済日に何の連絡も来ないのと同じです。
誠意ある対応が、交渉の第一歩です。

鉄則2:「現状報告」と「改善の意思」をセットで伝える

銀行へは、必ず作成した資金繰り表を持参してください。
そして、現状を正直に、数字で説明します。

「申し訳ありません。売上が落ちていて、来月の返済が厳しい状況です」

これだけでは、「ただ苦しい」という報告でしかありません。
重要なのは、ここに「改善の意思」を加えることです。

「こちらが現状の資金繰り表です。このままでは来月資金ショートするため、現在〇〇というコスト削減に着手しています。つきましては、返済計画のご相談をさせていただけないでしょうか」

この前向きな姿勢が、銀行に「この経営者は本気で会社を立て直そうとしている」と感じさせ、交渉のテーブルについてもらうための鍵となります。

鉄則3:実現可能な「経営改善計画書」を提出する

口頭での説明に加え、具体的な「経営改善計画書」を提出できれば、交渉は格段にスムーズになります。

経営改善計画書に盛り込むべきポイント
  1. 現状分析:なぜ資金繰りが悪化したのか(資金繰り表を基に説明)
  2. 具体的な改善策:コスト削減、売上向上策などを「いつまでに」「何を」「どれくらい」やるのかを数字で示す。
  3. 数値計画:改善策を実行した結果、収支や資金繰りがどう改善していくのかを予測した計画表(プロジェクション)
  4. お願いしたいこと:上記の計画を達成するために、銀行に何をお願いしたいのか(例:半年間の元本返済猶予)

「売上をV字回復させます!」といった根拠のない計画は「絵に描いた餅」だと思われます。
例えば、「まずは役員報酬を20%カットし、交際費を月5万円以内に抑えます。これで月々〇〇円のキャッシュが改善できます」といった、確実性の高いアクションから示すことが信頼に繋がります。

鉄則4:希望する条件(元本返済の猶予など)を明確に伝える

「しばらく返済を待ってほしい」といった曖昧な依頼はNGです。
銀行側も、どう対応していいか分かりません。

「半年間、元本の返済を猶予していただき、その間に〇〇と△△を実行して収益を改善します。半年後には、まず利息のみの支払いを再開させてください」

このように、「期間」と「条件」をセットで具体的に提案することで、銀行側も稟議書が書きやすくなり、前向きに検討してくれる可能性が高まります。

鉄則5:メインバンクに最初に相談する

複数の金融機関から借入がある場合、必ず最も取引額が大きく、付き合いの長いメインバンクに最初に相談してください。

メインバンクは、いわばあなたの会社の「主治医」のような存在です。
他の金融機関も、リスケジュールに応じるかどうかを判断する際に、メインバンクの対応を参考にすることが非常に多いのです。
メインバンクを味方につけられるかどうかは、再生の行方を大きく左右します。

最後に事業を立て直す:資金繰りコンサルタントが実践する経営改善策

銀行との交渉と並行して、事業そのものの立て直し、つまり「稼ぐ力」と「キャッシュを守る力」を取り戻すアクションを断行しなければなりません。

キャッシュを生み出す①:聖域なきコスト削減

まずは、出血を止めることが最優先です。
会社の経費を固定費と変動費に分け、聖域なく見直します。

費用の種類具体例削減のポイント
固定費家賃、人件費、リース料、保険料・家賃交渉 ・業務効率化による残業代削減 ・不要な保険の解約
変動費仕入費、外注費、広告宣伝費、交際費・仕入先の見直し、価格交渉 ・広告費の費用対効果の検証 ・交際費の上限設定
佐々木 真帆

私がこれまで見てきた再生事例で、社長が必ず手をつけていたのが「役員報酬の削減」です。
社長自らが身を切る覚悟を示すことで、社員の士気が高まり、銀行からの信頼も得られます。
苦しい時こそ、トップの姿勢が問われるのです。

キャッシュを生み出す②:売上・利益率の向上策

コスト削減だけでは、事業は縮小均衡に陥ってしまいます。
新たな投資をせずとも、今ある資産で売上・利益を改善する方法を考えましょう。

  • 既存顧客へのアプローチ:顧客単価を上げるためのクロスセルやアップセルを提案する。
  • 利益率の高い商品への注力:自社の商品・サービスの中で、最も利益率の高いものは何かを分析し、そこに営業リソースを集中させる。
  • 価格交渉:提供価値に見合った価格になっているかを見直し、勇気を持って値上げ交渉を行う。

私がコンサルした飲食店では、メニュー構成を見直し、原価率が低く注文数の多い「看板メニュー」に絞ってアピールした結果、客単価と利益率を同時に改善することに成功しました。

キャッシュを守る:売掛金の早期回収と買掛金の支払い延長交渉

資金繰り表で見えたキャッシュフローの問題点を、直接的に改善するアクションです。

  • 売掛金の早期回収:入金サイトの短縮を取引先にお願いする。難しい場合は、請求書の発行を早めるだけでも効果があります。
  • 買掛金の支払い延長交渉:仕入先や外注先に、支払いサイトの延長をお願いする。

もちろん、これらの交渉は取引先との関係性が重要になります。
「ただお願いする」のではなく、「弊社は今、こういう状況で経営改善に取り組んでいます。つきましては、一時的にご協力いただけないでしょうか」と、誠意をもって事情を説明することが大切です。

緊急時の切り札:ファクタリングという選択肢

そして、もう一つ。
銀行融資を待てない緊急時に、「入金待ちの売掛金を、即座に現金化する」という強力な選択肢があります。
それが「ファクタリング」です。

ファクタリングは、売掛金(請求書)を専門会社に買い取ってもらうことで、最短即日で資金を調達できるサービスです。
私がコンサルした黒字倒産の危機にあったIT企業も、この方法で急場をしのぎました。

ただし、便利な反面、手数料が銀行金利より高めなのが一般的です。
だからこそ、複数の会社を比較し、最も有利な条件を選ぶことが鉄則です。

その際に役立つのがファクタリングベスト」のような一括査定サービスです。
一社ずつ問い合わせる手間を省き、一度の入力で複数の優良企業から見積もりを取れるため、時間がない中でも冷静に最良の選択ができます。
緊急時だからこそ、賢く情報を集め、手元に残る現金を最大化してください。

よくある質問(FAQ)

Q: 会社の借入金が返済できない場合、社長個人の資産(自宅など)はどうなりますか?

A: 経営者様が会社の借入に対して「連帯保証人」になっているかどうかで大きく異なります。連帯保証人になっている場合、会社が返済できなければ社長個人に返済義務が生じ、個人の資産が差し押さえの対象となる可能性があります。まずは融資契約書を確認し、ご自身の保証状況を正確に把握することが重要です。

Q: 銀行に相談したら、すぐに融資を止められたりしませんか?

A: 誠実な姿勢で、具体的な資料(資金繰り表や改善計画)を持って相談すれば、いきなり取引停止となるケースは稀です。金融機関も貸したお金が回収不能になる(貸し倒れ)のが最も避けたい事態です。そのため、再生の可能性がある企業に対しては、支援を検討するのが一般的です。何も相談せずに延滞する方が、はるかに心証を悪化させます。

Q: 税金や社会保険料も滞納してしまっています。どちらを優先すべきですか?

A: 非常に難しい問題ですが、一般的に税金や社会保険料の滞納は差し押さえまでのスピードが早く、強制力も強いため優先度が高いと言えます。ただし、事業継続のための資金が枯渇しては元も子もありません。税務署や年金事務所にも分割納付の相談が可能ですので、金融機関への相談と並行して、必ず関係各所に相談してください。

Q: 専門家(コンサルタントや弁護士)に相談するタイミングはいつが良いですか?

A: 「少しでも不安を感じた時」が最適なタイミングです。状況が悪化すればするほど、打てる手が少なくなります。特に、資金が完全にショートする(支払いができなくなる)前に相談することが極めて重要です。多くの専門家は初回無料相談を実施していますので、まずは現状を話してみることをお勧めします。

Q: 「ファクタリング」というサービスを聞きましたが、利用しても大丈夫ですか?

A: ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる有効な資金調達手段の一つです。ただし、手数料が融資に比べて高めに設定されていることが多いため、利用は計画的に行う必要があります。緊急時のつなぎ資金として有効ですが、恒常的に利用すると利益を圧迫する可能性があります。利用する際は、手数料や契約内容を十分に比較検討してください。

まとめ

借入金の返済問題は、経営者にとって最も重く、孤独な戦いの一つです。

しかし、今日お伝えした3つのアクションは、倒産の淵から会社を救った多くの社長が実際に踏み出した、確かな一歩です。

  1. 現状把握(資金繰り表作成)
  2. 金融機関への相談(リスケ交渉)
  3. 経営改善の実践

大切なのは、一人で問題を抱え込み、思考停止に陥らないこと。
そして、パニックにならず、冷静に、正しい順番で行動を起こすことです。

この記事が、あなたの会社の未来を照らす小さな光となれば、これに勝る喜びはありません。

もし、自分一人では難しいと感じたら、いつでも専門家を頼ってください。
諦めるのは、すべての手を尽くしてからでも決して遅くはありません。

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この記事を書いた人

佐々木真帆は、資金繰りコンサルタントとして活躍する金融のプロフェッショナルである。大手銀行での融資審査経験から独立コンサルタントとしての現在まで、一貫して「企業の生命線である資金繰り」に焦点を当て、その知見を惜しみなく共有している。

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