「新工場を建てたいが、銀行から借りるべきか、投資家に入れるべきか…」
中小企業の経営者として、このような重大な岐路に立った経験はありませんか?
私は銀行員時代、多くの経営者が資金調達で悩む姿を目の当たりにしてきました。
融資(借金)と出資(資本)は、会社に資金をもたらす両輪ですが、その性質は全く異なります。
選択を誤れば、経営の自由を失ったり、返済に追われ事業が立ち行かなくなるリスクさえあります。
この記事では、あなたの会社の未来を守るため、融資と出資の根本的な違いから、税金や手続きといった実務的な側面まで、元金融マンの視点で徹底的に比較・解説します。
最後まで読めば、あなたのビジネスに最適な「正解」が必ず見つかります。

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👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所
平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)
そもそも融資と出資はどう違う?
お金は「返す」か「返さない」か?これが最大の違い
融資と出資の最も本質的な違いは、「返済義務の有無」にあります。
融資は「返済義務のある借金」です。
例えば、銀行から1,000万円を借りたら、利息を含めて必ず返さなければなりません。
出資は「返済義務のない自己資本」です。
投資家から1,000万円の出資を受けても、それを返す必要はありません。

私がよくお客様に説明する例えがあります。「融資はレンタカー、出資は結婚」です。
レンタカーは借りた車を必ず返却しなければなりませんが、使っている間は自由に運転できます。
一方、結婚は相手と財産を共有し、重要な決定は二人で行います。別れるのも簡単ではありません。
この比喩が示すように、融資は一時的な関係、出資は永続的なパートナーシップなのです。
会社の財産はどう変わる?バランスシートで見る立ち位置
財務の専門用語を使うと少し難しく感じるかもしれませんが、バランスシート(貸借対照表)上の位置づけを理解することは重要です。
【バランスシートにおける位置づけ】
項目 | 融資 | 出資 |
---|---|---|
計上される場所 | 負債の部 | 純資産の部 |
会社の財務への影響 | 負債比率が上昇 | 自己資本比率が上昇 |
財務健全性の評価 | マイナス影響 | プラス影響 |
具体的に言うと、融資を受けると会社の「借金」が増えるため、財務健全性を示す指標が悪化します。
一方、出資を受けると「自己資本」が増えるため、財務基盤が強化されたと評価されます。
銀行員時代、私たちが企業の信用力を判断する際、この自己資本比率を重視していました。
自己資本比率が30%を超えていれば「健全」、50%を超えていれば「優良」と判断していたのを覚えています。
【徹底比較】メリット・デメリット一覧表|結局どっちが得?
融資のメリット:経営の自由とコスト管理のしやすさ
融資の最大のメリットは、経営権に一切干渉されないことです。
銀行はお金を貸しても、あなたの会社の経営方針に口を出すことはありません。
返済さえきちんとしていれば、新商品開発も、人事も、すべて経営者の判断で決められます。
さらに、見逃せないメリットがもう一つあります。
利息が経費として認められるため、節税効果があるのです。
例えば、年間100万円の利息を支払った場合:
- 法人税率30%なら、30万円の節税効果
- 実質的な利息負担は70万円に軽減
また、審査に通れば確実に資金を得られる計画性の高さも魅力です。
私が銀行員だった頃、事業計画がしっかりしていて、返済能力が認められれば、ほぼ確実に融資は実行されていました。
【融資のメリットまとめ】
- 経営の自主性を100%維持できる
- 利息の損金算入による節税効果
- 審査基準が明確で計画が立てやすい
- 金利が事前に確定するため、コスト管理が容易
融資のデメリット:返済義務と個人リスクという重圧
しかし、融資には避けて通れない厳しい現実があります。
毎月の返済がキャッシュフローを圧迫するという点です。
売上が順調な時は問題ありませんが、コロナ禍のような予期せぬ事態で売上が激減しても、返済は待ってくれません。
実際、私のクライアントでも、月商1,000万円から300万円に落ち込んだ飲食店が、返済に苦しんだケースがありました。
さらに深刻なのが、「経営者保証」という個人リスクです。
中小企業の場合、ほとんどのケースで社長個人が連帯保証人になることを求められます。
つまり、会社が返済できなくなれば、社長の個人資産(自宅、預金など)で弁済しなければなりません。
ただし、希望の光もあります。
2022年12月に「経営者保証改革プログラム」が策定され、創業時の経営者保証は原則不要となる方向に動いています。
2024年4月からは、保証料を少し上乗せすれば、経営者保証なしでの融資も選択できるようになりました。


出資のメリット:返済不要の成長資金と強力なパートナーシップ
出資の最大の魅力は、返済義務がないことです。
これにより、赤字先行の事業投資が可能になります。
例えば、IT企業が新サービス開発に3年かかる場合、その間は売上ゼロでも返済の心配をする必要がありません。
さらに、出資者は単なる資金提供者ではありません。
経営を支援するパートナーになり得るのです。
実際のケースを紹介しましょう。
- あるAIスタートアップは、ベンチャーキャピタルから出資を受けた際、元Google幹部を社外取締役として迎え入れました
- その結果、技術開発だけでなく、大手企業との提携も実現し、わずか2年で売上10倍を達成
このような「ハンズオン支援」は、お金以上の価値があることも多いのです。
出資のデメリット:経営権の希薄化と高い調達ハードル
しかし、出資には重大なデメリットがあります。
経営権の希薄化です。
株式を渡すということは、会社の所有権の一部を手放すことを意味します。
出資比率が高まれば高まるほど、創業者の発言力は弱まります。
さらに、魅力的な事業計画がなければ1円も集まらないという現実もあります。
銀行融資なら、担保があれば多少事業計画が甘くても借りられることがありますが、出資の場合はそうはいきません。
投資家を納得させる「成長ストーリー」が必要不可欠なのです。
経営者が最も恐れる「経営権」への影響を深掘り
なぜ出資を受けると「会社が乗っ取られる」可能性があるのか?
株式会社では、株式の保有比率が議決権の比率となります。
重要な意思決定に必要な議決権の比率を見てみましょう。
【議決権比率と行使できる権限】
議決権比率 | 行使できる権限 | 具体例 |
---|---|---|
3分の1超(33.4%〜) | 特別決議の拒否権 | 定款変更、合併などを単独で阻止可能 |
過半数(50%超) | 普通決議の可決権 | 取締役の選任・解任が可能 |
3分の2以上(66.7%〜) | 特別決議の可決権 | 定款変更、会社の解散などが可能 |



つまり、出資者が過半数の株式を持てば、社長を解任することさえ可能なのです。
実際のシミュレーションをしてみましょう。
- 創業時:創業者100%保有
- 第1回資金調達:2,000万円の出資で30%の株式を譲渡(創業者70%)
- 第2回資金調達:5,000万円の出資で40%の株式を譲渡(創業者42%)
- 結果:創業者は過半数を失い、経営の主導権を失う
このような事態を避けるための対策が必要です。
【専門家が伝授】経営権を守りながら出資を受ける防衛策
私がコンサルタントとして、クライアントに必ずアドバイスする防衛策を3つご紹介します。
1. 複数の投資家から少しずつ調達する
一人の投資家に大きな比率を渡すのではなく、5〜10%ずつ複数の投資家から調達することで、特定の投資家に支配されるリスクを回避できます。
2. 議決権制限種類株式の活用
これは私の「秘密兵器」とも言える手法です。
配当は通常通り受け取れるが、議決権がない(または制限される)株式を発行することで、資金は調達しつつ経営権は守れます。
3. 株主間契約で重要事項の拒否権を確保する
たとえ持株比率が下がっても、「代表取締役の選任には創業者の同意が必要」といった条項を株主間契約に盛り込むことで、実質的な経営権を維持できます。
これらの対策を組み合わせることで、出資を受けながらも経営の自主性を保つことが可能になります。
見落としがちな「税金」と「コスト・手続き」のリアル
知らないと損する!融資の「利息」と出資の「配当」の税務上の違い
ここは元銀行員として、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
同じ100万円を支払うなら、税務上は利息の方が会社のキャッシュは残ります。
なぜでしょうか?簡単な計算で示しましょう。
<融資の利息として支払う場合>
- 利息支払額:100万円
- 節税効果(法人税率30%):30万円
- 実質負担額:70万円
<出資の配当として支払う場合>
- 配当金額:100万円
- 節税効果:なし(税引後利益から支払うため)
- 実質負担額:100万円
つまり、同じ金額でも30万円もの差が生じるのです。
これは配当が「税引後利益」から支払われるのに対し、利息は「経費」として処理できるためです。
この違いを理解していない経営者が意外と多いので、ぜひ覚えておいてください。
時間と費用はどっちがかかる?実務手続きの徹底比較
資金調達にかかる時間は、事業計画に大きく影響します。
<融資の場合>
- 申込書類の準備(1週間)
- 審査(2〜3週間)
- 契約手続き(3日〜1週間)
- 融資実行(即日〜3日)
→ トータル:1〜2ヶ月
<出資の場合>
- 投資家探し(1〜6ヶ月)
- 初回面談・プレゼン(1〜2ヶ月)
- デューデリジェンス(1〜2ヶ月)
- 条件交渉(2週間〜1ヶ月)
- 契約・登記手続き(2週間)
→ トータル:3ヶ月〜1年
さらに、出資の場合は以下の追加コストも発生します。
- 弁護士費用:50〜200万円
- 登記費用:出資額の0.7%
- デューデリジェンス対応の人件費
急いで資金が必要な場合、融資の方が圧倒的に早いことがわかります。
あなたの会社はどっち?最適な資金調達方法の選び方
【融資向きの企業】安定収益があり、経営の自由を重視する会社
長年、中小企業の資金調達を支援してきた経験から言えることは、融資が適している企業には明確な共通点があるということです。
まず最も重要なのは、安定した収益基盤があることです。
具体的に言うと、月次の売上変動が20%以内に収まっており、営業利益率5%以上を継続的に維持できている企業です。
このような企業は、銀行から見て「返済能力が高い」と判断され、有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。
次に重視すべきは、経営の自主性へのこだわりです。
例えば、3代続く老舗企業の社長から「うちの経営理念は譲れない」という言葉をよく聞きます。
このようなオーナー企業や家族経営を続けたい企業にとって、出資による外部の経営参画は受け入れがたいものでしょう。
さらに、融資に向いている企業の特徴として、以下の点も挙げられます。
- 設備投資の金額と期待効果が明確に計算できる
- 返済原資となる売上増加のシナリオが現実的
- 過去の実績から将来予測の精度が高い
典型的な例としては、製造業の町工場、地域に根ざした老舗飲食店、固定客を持つ美容室やクリニックなどが該当します。
これらの業種は、事業の予測可能性が高く、融資による資金調達との相性が良いのです。
【出資向きの企業】急成長を目指す、赤字先行のスタートアップ
一方、出資による資金調達が適している企業は、融資向きの企業とは全く異なる特徴を持っています。
最大の特徴は、大きな市場機会を狙う野心的なビジネスモデルを持っていることです。
私がこれまで支援してきたスタートアップの多くは、1,000億円以上の市場規模を持つ領域で、年率30%以上の急成長を目指していました。
このような高い成長目標は、通常の銀行融資では評価されにくいものですが、ベンチャーキャピタルにとっては魅力的な投資対象となります。
また、ビジネスの性質上、先行投資期間が長いことも出資向き企業の特徴です。
例えば、AI技術の開発に2年、市場投入後の認知獲得にさらに1年かかるような企業では、その間の資金繰りを融資で賄うことは現実的ではありません。
返済義務のない出資だからこそ、じっくりと事業を育てることができるのです。
出資が有効な企業の条件をまとめると、
- 技術開発やプラットフォーム構築に時間がかかる
- ネットワーク効果で指数関数的な成長が見込める
- 業界のキーパーソンからの支援が成功の鍵となる
実際、私が関わったバイオベンチャーは、著名な大学教授を顧問に迎えることで信頼性を高め、大手製薬会社との提携に成功しました。
このような外部リソースの活用は、出資ならではのメリットと言えるでしょう。
究極の選択ではない!融資と出資の「ハイブリッド戦略」
実は、融資と出資は「どちらか一方」を選ぶ必要はありません。
私が財務アドバイザーとして推奨する「ハイブリッド戦略」をご紹介します。
第1段階:少額の出資で自己資本を充実
- 1,000万円程度の出資を受け、自己資本比率を30%に
- 銀行から見た信用力が大幅に向上
第2段階:信用力を活かして低利の融資を獲得
- 日本政策金融公庫から無担保で3,000万円調達
- 金利1%台の有利な条件を獲得
第3段階:実績を積んで本格的な成長資金を調達
- 売上実績を基に、より大きな出資または融資を選択
- 事業の成長段階に応じて最適な方法を選ぶ
このように、両者の長所を組み合わせることで、リスクを抑えながら成長資金を確保できるのです。
よくある質問(FAQ)
Q: 返済義務がないなら、出資の方が絶対に有利ではないのですか?
A: 必ずしもそうではありません。
出資は経営の自由度を失う大きなリスクを伴います。
会社の将来の利益の一部を渡すことでもあり、長期的に見るとコストが高くつく可能性もあります。
例えば、将来上場して時価総額100億円になった場合、30%の株式を渡していれば30億円分の価値を失うことになります。
一方、融資なら利息を含めても数千万円の負担で済んだかもしれません。
会社の支配権を維持したいなら、融資が有利です。
Q: 赤字決算だと、融資は絶対に受けられないのでしょうか?
A: 赤字でも融資を受けられる可能性はあります。
重要なのは「なぜ赤字なのか」「いつ黒字化するのか」を明確に説明できることです。
以下のケースなら、赤字でも融資の可能性があります。
- 新規事業立ち上げによる一時的な赤字
- 設備投資による減価償却費の増加
- 明確な黒字化計画と実現可能性がある
特に日本政策金融公庫の創業融資は、将来性を重視する傾向があります。
2025年3月からは「新規開業・スタートアップ支援資金」として、より柔軟な審査が期待できます。
諦めずに専門家に相談することが重要です。


Q: 融資と出資、手続きが簡単なのはどちらですか?
A: 一般的には融資の方が手続きはシンプルで定型化されています。
<融資の手続き>
- 必要書類がほぼ決まっている
- 審査基準が明確
- 1〜2ヶ月で完了
<出資の手続き>
- 投資家ごとに要求が異なる
- デューデリジェンスが複雑
- 6ヶ月〜1年かかることも
特にベンチャーキャピタルからの出資は、事業計画の作り込みから始まり、法務・財務・ビジネスすべての面で詳細な調査(デューデリジェンス)を受けます。
契約交渉も複雑で、弁護士なしでは対応が困難です。
まとめ
融資と出資、どちらを選ぶかは、あなたのビジネスの「未来像」をどう描くかという経営判断そのものです。
経営の主導権を握り着実に成長したいなら「融資」、リスクを取ってでも飛躍的な成長を遂げたいなら「出資」が有力な選択肢となるでしょう。
しかし、今日の知識で選択肢が広がったはずです。
経営者保証改革により融資のハードルは下がり、種類株式の活用で出資のリスクも軽減できます。
さらに、両者を組み合わせる「ハイブリッド戦略」という第三の道もあります。
まずは自社の財務状況と事業計画をもう一度見直し、「自社がどちらのタイプか」を判断することから始めてみてください。
そして、一人で悩まず、日本政策金融公庫や地元の信用保証協会、あるいは私のような専門家に相談する一歩を踏み出しましょう。
その小さな行動が、あなたの会社の未来を大きく拓くはずです。
資金調達は、事業成長の「手段」であって「目的」ではありません。
あなたの事業が社会に価値を提供し、持続的に成長していくことを心から応援しています。


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