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プロパー融資って何?銀行が重視する審査基準を徹底解説

「佐々木さん、銀行に相談したら『今回は保証協会付きでお願いします』と言われてしまって…。正直、悔しいです」

こんにちは。中小企業の資金繰りを支援する財務コンサルタントの佐々木 真帆です。
これは、私がクライアントである経営者の方から、本当によくお聞きする言葉です。

あなたも、プロパー融資の壁にぶつかり、悔しい思いをされたことはありませんか?
「うちはまだ信用がないのか…」と、半ば諦めてしまっているかもしれません。

佐々木 真帆

でも、大丈夫です。
プロパー融資は、決して乗り越えられない壁ではありません。

プロパー融資は、いわば銀行から「一人前の経営者」と認められた証です。
この証を手に入れることは、会社の信用力を飛躍的に高め、次の成長ステージへの扉を開く鍵となります。

私は大手銀行で法人営業として貸付審査を担当していた経験から、銀行がどこを見て、何を評価するのか、その「本音」を知っています。

この記事では、私の経験と最新の情報を基に、

  • プロパー融資の本当の意味とメリット
  • 銀行員が審査で絶対に見る「7つの心臓部」
  • 明日から始められる、プロパー融資獲得への具体的なロードマップ

を、包み隠さずお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたはプロパー融資への漠然とした不安が消え、「何をすべきか」が明確になっているはずです。さあ、一緒にその壁を越える準備を始めましょう。

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🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

株式会社ウェブブランディング(運営会社)

資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

プロパー融資とは?信用保証協会付き融資との決定的違いを1分で理解

まず、プロパー融資の基本から押さえましょう。言葉は聞いたことがあっても、その本質を正しく理解することが第一歩です。

そもそもプロパー融資とは何か?

一言でいうと、プロパー融資とは「銀行が100%自己責任で、企業に直接お金を貸すこと」です。

間に誰も挟まず、銀行が自らの判断だけで「この会社なら大丈夫だ」と信じて融資するわけですね。
ちなみに「プロパー(proper)」とは、英語で「本来の、正規の」といった意味。つまり、銀行にとってこれこそが「本来の融資の形」なのです。

私自身の銀行員時代を振り返っても、プロパー融資の稟議(りんぎ)書を書くときは、保証協会付き融資とは比較にならないほどの緊張感がありました。
まさに、企業の真の実力を見極める真剣勝負の場。だからこそ、承認されたときの喜びは、経営者の方と分かち合えるほど大きなものでした。

【図解】保証協会付き融資との構造的な違い

では、多くの中小企業が利用する「信用保証協会付き融資」とは何が違うのでしょうか。
下の図と表を見れば、一目瞭然です。

▼融資の仕組み比較

  • プロパー融資
    • 企業 ⇔ 銀行 (直接融資)
    • 万が一返済できなくなったら… → 銀行が100%損失を被る
  • 信用保証協会付き融資
    • 企業 ⇔ 銀行 ⇔ 信用保証協会 (協会が保証)
    • 万が一返済できなくなったら… → 信用保証協会が銀行に立て替え払い(代位弁済)する

ポイント
保証協会付き融資では、信用保証協会が「保証人」の役割を果たしてくれます。
そのため銀行はリスクを大幅に軽減できるので、創業間もない企業や業績が不安定な企業にも融資をしやすくなるのです。

両者の違いを、より具体的に比較してみましょう。

比較項目プロパー融資信用保証協会付き融資
責任の所在銀行が100%負う信用保証協会が保証
審査の厳しさ非常に厳しい比較的緩やか
金利低い傾向(年1~3%程度)やや高い傾向
保証料不要必要(年0.5~2%程度)
融資限度額形式上の上限なし上限あり(無担保8千万円等)
審査スピード早い傾向(2~4週間)時間がかかる傾向(1~2ヶ月)
プロパー融資と信用保証協会付き融資の比較

なぜ企業はプロパー融資を目指すべきなのか?

「保証協会付きで借りられるなら、それでいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、プロパー融資を目指すことには、資金調達以上の大きな意味があります。

それは、「企業の信用力の証明」になるからです。

私のコンサルティング経験上、これは断言できます。
「あの会社は、あの厳しい〇〇銀行からプロパーで借りているらしい」
この事実は、他の金融機関や、あなたの会社の仕入先、取引先からの評価を確実に引き上げます。

会社の成長ステージが一つ上がった証として、ビジネスのあらゆる場面で有利に働く、強力なブランドとなるのです。

【元銀行員が本音で語る】プロパー融資のメリット・デメリット

物事には必ず光と影があります。
ここでは、元銀行員としての私の本音を交えながら、プロパー融資のメリットと、乗り越えるべきデメリットを率直にお話しします。

圧倒的なメリット:コスト削減と信用力向上

プロパー融資には、主に4つの強力なメリットがあります。

1. 保証料が不要で、総コストが下がる

これが最も分かりやすいメリットでしょう。
例えば、1,000万円を5年間借りる場合、保証料率1%だとしても数十万円の保証料がかかります。プロパー融資なら、これがゼロになるのです。この差は経営にとって決して小さくありません。

2. 金利が低くなる可能性がある

銀行が「優良企業」と認めた証ですから、金利も低く設定される傾向にあります。保証料と合わせると、トータルコストで大きな差が生まれます。

3. 融資限度額に縛られない

保証協会付き融資には制度上の上限がありますが、プロパー融資にはありません。企業の成長に合わせて、億単位の大きな資金調達も可能になります。

4. 企業のブランド価値が向上する

先ほども触れましたが、これが最大の無形資産かもしれません。
「あの会社は〇〇銀行からプロパーで借りている」という事実は、何よりの信頼の証になります。優秀な人材の採用や、新規取引先の開拓にもプラスに働くでしょう。

最大の壁:審査の厳しさと求められる条件

一方で、誰もが簡単に利用できないのがプロパー融資です。
覚悟しておくべきデメリット(というよりハードル)は以下の通りです。

1. 審査が圧倒的に厳しい

これが最大の壁です。銀行は全リスクを負うため、少しでも懸念があれば融資は実行しません。
具体的に言うと、決算書の内容が少しでも悪いと、担当者レベルで「これは難しいですね」と、話すら聞いてもらえないことも日常茶飯事です。

2. 実績のない企業や赤字企業はほぼ不可能

創業して間もない企業や、直近の決算が赤字の企業がプロパー融資を受けるのは、極めて困難です。まずは保証協会付き融資で実績を積むのが定石となります。

3. 経営者保証や担保を求められるケースが多い

銀行のリスクヘッジとして、経営者個人の連帯保証や、本社不動産などの物的担保を求められることが依然として多いのが現実です。(ただし、この点には最近変化の兆しがあります。詳しくは後述します)

審査の心臓部!銀行が絶対に見る7つの審査基準

お待たせしました。ここがこの記事の最も重要な部分です。
私が銀行で貸付審査をしていた時、企業のどこを、どのように見ていたのか。
その「7つの視点」を具体的にお話しします。ご自身の会社に当てはめながら読み進めてください。

① 損益計算書(PL):黒字は当たり前、利益の「質」が問われる

まず、会社の成績表である損益計算書(PL)です。

🔍銀行員の視点
「最低でも直近決算が黒字であることは大前提。できれば2期連続、3期連続の黒字だと、安定性が高いと判断し、稟議書が格段に書きやすくなります」

しかし、ただ黒字であれば良いわけではありません。私たちは利益の「質」を見ています。
特に重視するのは、本業の儲けを示す「営業利益」です。
不動産の売却益などの「特別利益」で一時的に黒字になっていても、本業が赤字では評価されません。

② 貸借対照表(BS):自己資本比率と債務超過のチェック

会社の財産状況を示す貸借対照表(BS)は、会社の体力測定です。

🔍銀行員の視点
「まず、純資産がマイナスの『債務超過』は論外です。融資の土俵にすら上がれません。次に、純資産が年々増えているか、つまり稼いだ利益をしっかり会社に蓄積(内部留保)できているかを見ています」

一つの目安として「自己資本比率」があります。
総資産のうち、返済不要の純資産がどれくらいあるかを示す指標で、これが高いほど財務が安定していると評価されます。

佐々木 真帆

業種にもよりますが、中小企業であれば10%以上、20%を超えていれば優良と見なされることが多いでしょう。

③ 取引実績と事業継続年数:一朝一夕には築けない「信用の貯金」

「どこの馬の骨とも分からない人には、お金は貸せない」
これは銀行も同じです。

長年の取引で築いた関係性は、数字には表れない重要な審査項目です。

  • 給与振込や家賃の支払いに使っているか
  • 売上の入金口座になっているか
  • 定期的に担当者とコミュニケーションを取っているか

こうした日々の取引が「信用の貯金」となります。
そして、長く黒字経営を続けている業歴の長い企業は、それだけで大きなプラス評価となります。

④ 資金使途と希望額の妥当性:「何にいくら必要か」を明確に語れるか

「運転資金で3,000万円お願いします」
これだけでは、銀行員は「なぜ3,000万円なのですか?」と必ず質問します。

🔍銀行員の視点
「資金使途が曖昧だと、『他の銀行への返済や、実は赤字の穴埋めに使うのではないか?』と疑ってしまいます。設備投資なら見積書、運転資金なら具体的な仕入計画など、希望額の根拠を明確に示してもらうことが不可欠です」

必要な金額を、論理的に説明できるか。経営者の手腕が問われるポイントです。

⑤ 返済計画の確実性:夢物語ではない、現実的な返済プラン

銀行が最も恐れるのは「貸したお金が返ってこないこと」です。
そのため、返済計画は非常に厳しくチェックします。

🔍銀行員の視点
「私たちは『税引後利益+減価償却費』で、年間の返済額を十分に賄えるかを見ています。これを債務償還年数と言います。重要なのは、売上が計画通りいかなかった場合など、『最悪のケース』を想定しても返済できる計画かどうかです。楽観的な計画は全く信用されません」

夢を語るだけでなく、足元の現実を踏まえた堅実な計画こそが、銀行の信頼を得るのです。

⑥ 事業計画と経営者のビジョン:会社の未来を語れるか

決算書などの定量的な情報だけが全てではありません。
特に中小企業では、経営者自身の資質が審査に大きく影響します。

面談の場で、

  • 自社の強みや弱みは何か?
  • 競合と比べてどこが優れているのか?
  • この融資で会社をどう成長させたいのか?

こうした問いに、経営者自身の言葉で、情熱と論理をもって語れるか。
私たちは、その姿から会社の未来を判断しようとします。

⑦ 担保・保証の提供可能性:最後の砦としての役割

「いろいろ言っても、結局は担保や保証人がないとダメなんでしょ?」
そう感じられるかもしれません。半分は正解です。

銀行にとって、不動産などの物的担保や経営者保証は、万が一の際の回収手段であり、リスクを軽減する最後の砦です。
これらを提供できる場合、審査のハードルが大きく下がるのは紛れもない事実です。

しかし、諦めるのはまだ早いです。
時代の流れは、少しずつ変わり始めています。次の章で、その希望の光についてお話しします。

プロパー融資獲得への実践的ロードマップ【5ステップ】

審査基準がわかったところで、次はいよいよ実践です。
「では、具体的に何をすればいいのか?」
その答えを、今日から始められる5つのステップにまとめました。

ステップ1:まずは保証協会付き融資で「返済実績」を積む

いきなりホームランを狙う必要はありません。
特に創業期や業績がまだ安定しない段階では、まず保証協会付き融資を申し込み、そして「期日通りにきちんと返済する」こと。

これが何より重要です。
地味に見えるかもしれませんが、この「約束を守る」という行動の積み重ねが、あなたの会社の「信用のクレジットヒストリー」を築き上げます。銀行はそれをちゃんと見ています。

ステップ2:決算書と事業計画書を「銀行目線」で磨き上げる

あなたの会社の決算書、胸を張って銀行に見せられますか?
顧問の税理士さんと協力し、「銀行が見たときにどう評価されるか」という視点で書類を磨き上げましょう。

  • 不良在庫を処分してBSをスリムにする
  • 回収不能な売掛金を整理する
  • 事業計画書に具体的な数値目標と達成戦略を盛り込む

こうした一手間が、審査における評価を大きく左右します。

ステップ3:メインバンクとの関係を深化させる

銀行も、結局は「人」です。
担当者にあなたの会社のファンになってもらうくらいの気持ちで、関係を深めましょう。

  • 売上の入金口座をメインバンクに集約する
  • 四半期に一度は試算表を持って業況を報告しに行く
  • 担当者が異動しても、後任にしっかり引き継ぎをしてもらう

こうした地道なコミュニケーションが、いざという時に「あの社長のためなら何とかしたい」という担当者の気持ちを引き出すのです。

ステップ4:万全の準備で銀行面談に臨む

面談は一発勝負のプレゼンの場です。
行き当たりばったりで臨むのは絶対にやめましょう。

💡準備のポイント
「なぜ、今この融資が必要なのか?」
「その資金で、会社は5年後どうなっているのか?」
「最悪の事態(売上未達など)が起きた場合、どう対応するのか?」

こうした想定質問に対する答えを、あなた自身の言葉で語れるように、何度もリハーサルをしてください。自信のある態度は、それだけで信頼感を与えます。

ステップ5:【2025年最新】「経営者保証なし」の交渉カードを切る

最後に、最新の動向を踏まえた強力な交渉カードです。
国の方針として、安易に経営者保証に頼らない融資慣行が推進されています。

これが「経営者保証に関するガイドライン」です。
一定の条件(法人の資産と経営者の資産が明確に分離されている、財務基盤が健全である等)を満たせば、経営者保証なしで融資を受けられる可能性が十分にあるのです。

佐々木 真帆

実際に、地方銀行を中心に「原則、経営者保証を求めない」と宣言する銀行も増えてきています。

「ガイドラインの要件は満たしていると考えています。保証なしでのご検討は可能でしょうか?」
この一言が、あなたの未来を大きく変えるかもしれません。ぜひ、交渉のカードとして持っておいてください。

プロパー融資獲得への5ステップ

よくある質問(FAQ)

最後に、多くの経営者が抱える疑問に、Q&A形式でお答えします。

Q: 個人事業主でもプロパー融資は受けられますか?

A: 可能性はゼロではありませんが、非常に低いのが現実です。
銀行は融資の際、事業の継続性を重視しますが、個人事業は法人に比べて代表者の交代などで事業が途絶えるリスクが高いと見られがちだからです。事業がある程度の規模になってきたら、信用力向上のためにも法人化を検討することが、プロパー融資への近道となります。

Q: 一度プロパー融資を断られたら、もう無理でしょうか?

A: 全くそんなことはありません。諦めるのは早すぎます。
最も重要なのは、「なぜ断られたのか」その理由を銀行担当者に正直に聞き、分析することです。例えば「赤字決算」が理由なら、次の決算で黒字化を達成した上で、「前期はご指摘の通り赤字でしたが、このように改善し黒字化しました」と再挑戦すれば、銀行の見方は全く変わります。

Q: 代表者個人のクレジットカードの延滞なども審査に影響しますか?

A: はい、影響する可能性は十分にあります。
特に経営者保証を求める場合、保証人となる代表者個人の信用情報は当然、審査対象となります。法人格と個人は別、と頭では分かっていても、銀行員心理としては「個人のお金の管理がルーズな人が、会社のお金をしっかり管理できるだろうか?」と見てしまいます。法人の代表として、個人の信用も常にクリーンに保つことが経営の基本です。

まとめ

プロパー融資とは、単なる資金調達の手段ではありません。
それは、あなたの会社が積み上げてきた「信用の結晶」であり、経営の健全性と将来性を示す「通信簿」のようなものです。

ここまで読んでくださったあなたは、プロパー融資の審査基準、そして獲得までの具体的な道のりを、深く理解できたはずです。

この記事で紹介した7つの審査基準と5つのロードマップは、小手先のテクニックではありません。
これらに取り組むこと自体が、外部環境の変化に負けない「強い会社を作るための経営改善そのもの」なのです。

さあ、まずは机の引き出しから、あなたの会社の決算書を取り出してみてください。
そして、この記事を片手に、自社の「通信簿」を見直すことから始めてみませんか?

その一歩が、プロパー融資という大きな信頼を勝ち取り、会社の未来を切り拓く、確かな始まりになるはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。

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この記事を書いた人

佐々木真帆は、資金繰りコンサルタントとして活躍する金融のプロフェッショナルである。大手銀行での融資審査経験から独立コンサルタントとしての現在まで、一貫して「企業の生命線である資金繰り」に焦点を当て、その知見を惜しみなく共有している。

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