「最近、スタートアップの資金調達が厳しくなった」。
そんな声を耳にし、自社の将来に不安を感じていませんか?
こんにちは。
財務コンサルタントの佐々木真帆です。
佐々木 真帆独立コンサルタントとして、多くの中小企業やスタートアップの資金繰りを支援していますが、最近、切実なご相談が後を絶ちません。
事実、市場は確かに厳しい局面を迎えています。
しかし、いたずらに悲観する必要はありません。
この記事を読めば、なぜ今資金調達が厳しいのかという現実から、明日からすぐに使える具体的な回避策、そして厳しい時代だからこそ価値が高まる「攻めの財務戦略」まで、すべてを理解できます。
【この記事の結論】ダウンラウンドを回避する3つの戦略
ダウンラウンド(前回ラウンドより低い評価額での資金調達)は、スタートアップの士気や信用に悪影響を及ぼします。これを回避し、万が一発生した場合に備えるための戦略は以下の通りです。
- 過剰評価を避ける:
初期ラウンドで評価額を上げすぎると、次回の調達ハードルが高まります。「実力に見合った評価額」での着実な成長を目指しましょう。 - 代替資金調達を検討する:
エクイティファイナンスに固執せず、「ブリッジファイナンス」や「ベンチャーデット」など、評価額に直接影響しない調達方法も選択肢に入れましょう。 - 投資家との関係を構築する:
平時から既存投資家と密にコミュニケーションを取り、事業の進捗や課題を共有しておくことが、「いざという時の信頼」につながります。


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なぜ今「ダウンラウンド」が急増?2026年に向けたスタートアップ資金調達の現実
まずは、今の市場環境を正しく理解することから始めましょう。
「冬の時代」と言われる背景には、客観的なデータと、そこから生まれる特有のプレッシャーが存在します。
2024年の衝撃データ:ダウンラウンドIPOという事実
「ダウンラウンド」とは、前回の資金調達時よりも低い企業価値(バリュエーション)で、新たな資金調達を行うことです。
これは、企業の成長が市場の期待に追いついていない、という厳しい評価の表れでもあります。
特に衝撃的だったのは、IPO(新規株式公開)市場のデータです。
2024年に上場した企業86社のうち、実に13社がダウンラウンドでのIPOでした。
これは、これまで高い評価額で資金調達してきたスタートアップが、上場という公の場で厳しい評価を受けたことを意味します。
この現実は、未上場のスタートアップ経営者にとって、決して他人事ではありません。
「ダウンラウンド」が企業に与える3つの深刻な影響
私が銀行員だった頃、ある技術系のスタートアップがダウンラウンドに陥りました。
その時に目の当たりにしたのは、単なる資金調達の失敗では済まされない、深刻な影響でした。
1. 既存株主との関係悪化
高い価値を信じて投資してくれた既存株主(VCやエンジェル投資家)の持ち株比率が希薄化し、資産価値が下がります。これは信頼関係に大きな亀裂を生む可能性があります。
2. 従業員のモチベーション低下
ストックオプションを夢見て頑張ってきた従業員にとって、企業価値の低下は、将来の報酬が目減りすることを意味します。優秀な人材の流出にも繋がりかねません。
3. 採用や取引における信用の低下
「あの会社は価値が下がっている」という評判は、採用活動や新たな取引先との交渉において、確実に不利に働きます。
ダウンラウンドは、財務諸表の数字以上に、会社の「人」と「信用」を蝕む危険性をはらんでいるのです。
必ずしも悪ではない?Facebookも経験したダウンラウンドの乗り越え方
しかし、ダウンラウンドが必ずしも「失敗」の烙印というわけではありません。
かの有名なFacebook(現Meta)も、リーマンショックの煽りを受け、ダウンラウンドを経験しています。



重要なのは、なぜダウンラウンドになったのかを冷静に分析し、その後の成長戦略を力強く示すことです。
市場環境の悪化など、自社の努力だけではどうにもならない要因も大きいのです。
過度に悲観せず、これを機に事業と財務を磨き上げるチャンスと捉えることが、未来への道を切り拓きます。
【資金繰りのプロが伝授】ダウンラウンドを回避する5つの財務戦略
では、どうすればこの厳しい状況を乗り越え、ダウンラウンドを回避できるのでしょうか。
私がこれまで数々の企業を支援してきた経験から、明日からすぐに実践できる5つの戦略をお伝えします。
戦略1:コスト構造の徹底見直しと「ランウェイ」の再計算
まず、真っ先に手をつけるべきは、自社の「体力」を正確に把握することです。
「ランウェイ」という言葉をご存知ですか?
手元の現金を毎月のコスト(キャッシュバーン)で割ったもので、「あと何ヶ月、会社が存続できるか」を示す非常に重要な指標です。
ランウェイの計算式
ランウェイ(月) = 現在の現金預金 ÷ 月々の現金支出(ネットバーン)
私がコンサルティングで最初に行うのは、このランウェイを1円単位で正確に計算し直すことです。
特に見落としがちなのが、使っていないSaaSの契約や、効果の薄い広告費です。
聖域を設けず、全てのコストにメスを入れ、ランウェイを1ヶ月でも長く延ばす努力が、次の一手を打つための時間を稼いでくれます。
戦略2:売上を前倒しで確保するキャッシュフロー改善術
コスト削減と同時に行いたいのが、キャッシュフローの改善です。
特にSaaSビジネスなどを展開しているなら、顧客に「年払い割引」を提案するのは非常に有効な手段です。
例えば、月額1万円のサービスを、年払いにすれば10万円(2万円割引)にする、といった具合です。
顧客にはメリットがあり、自社は1年分の売上を前倒しで確保できます。
これは、VCからの調達に頼らず、自社の事業でキャッシュを生み出す「自己資本」による成長戦略の第一歩です。
関連: 「資金繰り」と「キャッシュフロー」は何が違う?初心者でもわかる基礎解説
戦略3:既存投資家との対話:キャップなしJ-KISSという選択肢
資金調達が厳しい時ほど、最も頼りになるのは、これまであなたを信じて投資してくれた既存投資家です。
平時から月次のレポートなどで誠実なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いておくことが何よりも重要です。
その上で、次のエクイティラウンドまでの「つなぎ融資(ブリッジファイナンス)」が必要になった場合、「J-KISS」という選択肢があります。
J-KISSは、Coral Capitalが提供するテンプレート化された投資契約書で、迅速に資金調達できるのが特徴です。



特に厳しい局面では、バリュエーションの上限(キャップ)を設けずにJ-KISSで調達するという交渉も考えられます。
これは、次のラウンドの評価額で株価が決まるため、投資家にとってもリスクが低く、支援を得やすい場合があります。
戦略4:エクイティだけではない「ベンチャーデット」という第三の道
「資金調達=エクイティ(株式発行)」と考えていませんか?
実は今、第三の選択肢として「ベンチャーデット」が急速に市場を拡大しています。
ベンチャーデットとは、融資(デット)とエクイティの性質を併せ持った資金調達手法です。
銀行からの融資でありながら、新株予約権をセットにすることで、通常の融資が難しい赤字のスタートアップでも利用できる可能性があります。
| 調達方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| エクイティ | ・返済義務がない ・多額の調達が可能 | ・経営権が希薄化する ・株主への責任が発生する |
| 通常の融資 | ・経営権が希薄化しない | ・審査が厳しい(黒字が前提) ・担保や保証人が必要 |
| ベンチャーデット | ・経営権の希薄化を最小限に抑えられる ・エクイティより迅速な場合がある | ・金利が比較的高め ・新株予約権の付与が必要 |
元銀行員の視点から見ても、このベンチャーデットは非常に画期的な仕組みです。
日本の市場規模は今後5年で10倍以上に拡大するとも予測されており、あおぞら銀行、みずほ銀行、りそな銀行といったメガバンクも積極的に取り組み始めています。
エクイティ調達が難しい今こそ、検討すべき強力な選択肢です。
参考: UPSIDER Capital、ベンチャーデット市場規模が5年以内に10倍以上、最大2兆円規模に拡大すると予測
戦略5:安易なバリュエーション交渉は禁物!「40%ルール」で自社の実力を示す
投資家との交渉の場で、ただ「お願いします」と頭を下げていませんか?
厳しい時だからこそ、客観的なデータで自社の実力を示す必要があります。
そこで役立つのが「40%ルール」や「バーンマルチプル」といった経営指標です。
- 40%ルール: 「売上成長率 + 営業利益率」が40%を超えているか?成長と収益性のバランスを示す指標です。
- バーンマルチプル: 新規ARRを1円稼ぐのに、何円のコストを燃やした(バーンした)か?事業の効率性を示します。
これらの指標を用いて、
「我々は赤字ですが、それは高い成長率を維持するためです(40%ルール)。そして、投下した資金は効率的に売上に変わっています(バーンマルチプル)」
と説明できれば、交渉のテーブルで対等に話ができます。
数字は、何より雄弁な味方なのです。
それでもダウンラウンドが避けられない場合の交渉術と法的防衛策
あらゆる手を尽くしても、ダウンラウンドが避けられないケースもあります。
その場合は、ダメージを最小限に抑えるための「交渉」と「防衛」の知識が不可欠です。
交渉の前に知るべき「希薄化防止条項」の2つのタイプ
投資契約書には、ほぼ間違いなく「希薄化防止条項」という項目が入っています。
これは、ダウンラウンド時に既存投資家の不利が大きくなりすぎないように、転換価格を調整するルールです。
これには大きく2つのタイプがあります。
フルラチェット方式
既存投資家の転換価格を、今回の低い発行価格と「同じ」にする方式。投資家にとっては最も有利ですが、経営者の持ち株比率は大幅に下がります。
加重平均方式
既存の発行価格と今回の低い発行価格を、株数を考慮して「平均化」する方式。フルラチェットより経営者へのダメージは少なくなります。
自社の投資契約書がどちらの方式になっているか、交渉の前に必ず確認してください。
これが交渉の出発点になります。
経営者のダメージを最小限に抑えるための交渉戦略
ダウンラウンド交渉は、ゼロか百かの戦いではありません。
新規投資家、既存投資家、そして経営陣の三者が、それぞれの痛みを分かち合いながら、会社を存続させるための着地点を探るプロセスです。
例えば、新規投資家には優先的な条件を提示する代わりに、既存投資家には希薄化防止条項の全面的な適用を一部緩和してもらう、といったクリエイティブな交渉が求められます。
重要なのは、この苦境を乗り越えた先の、未来の成長ストーリーを全員で共有することです。
専門家(弁護士・会計士)に相談する適切なタイミング
投資契約書のレビューや、複雑な交渉シミュレーションは、経営者一人で抱え込むべきではありません。
私がコンサルタントとして常にお伝えしているのは、「専門家を適切なタイミングで頼ることも経営者の重要なスキル」だということです。
具体的には、
- ダウンラウンドの可能性が浮上した段階で、財務アドバイザーや会計士に相談し、財務シミュレーションを行う。
- 投資家との具体的な交渉が始まる前に、スタートアップ法務に強い弁護士に契約書レビューを依頼する。
早めの相談が、より多くの選択肢と、より有利な交渉結果に繋がります。
よくある質問(FAQ)
Q: 資金調達の「冬の時代」はいつまで続きますか?
A: 明確な予測は困難ですが、2025年上半期の調達額は横ばいで推移しており、厳しい状況は続くと見られます。 ただし、AI分野への投資集中など「優勝劣敗」は鮮明化しており、楽観はできません。重要なのは、外部環境に左右されない強固な財務体質を構築することです。
Q: ベンチャーデットは、どの銀行に相談すれば良いですか?
A: 日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関のほか、近年はあおぞら銀行、みずほ銀行、りそな銀行などがスタートアップ向け融資に積極的です。 まずは取引のある銀行に相談し、並行してスタートアップ支援に特化した金融機関にもアプローチすることをお勧めします。
Q: J-KISSと転換社債(CB)の違いは何ですか?
A: どちらも将来の株式転換を前提とした資金調達手段ですが、J-KISSはCoral Capitalが提供するテンプレートがあり、迅速かつ低コストで実行できるのが特徴です。 一方、転換社債はより柔軟な設計が可能ですが、契約交渉が複雑になる傾向があります。シード期ならJ-KISS、それ以降のブリッジファイナンスでは転換社債も選択肢となります。
Q: 投資家への報告(IR)は、どのくらいの頻度で行うべきですか?
A: 少なくとも月次でのレポーティングが望ましいです。良いニュースだけでなく、悪いニュースも迅速かつ誠実に共有することが信頼関係構築の鍵です。特に資金繰りが厳しい局面では、より頻繁なコミュニケーションで投資家の不安を払拭し、支援を引き出す努力が不可欠です。
Q: 自分の会社の適正なバリュエーションが分かりません。
A: 類似企業の調達事例や、DCF法などの評価手法がありますが、スタートアップの価値算定は非常に難しい問題です。信頼できるCFOや財務アドバイザー、VCなど複数の専門家に意見を求め、客観的な視点で自社の価値を評価することが重要です。高すぎる評価は、将来のダウンラウンドリスクを高めることを忘れないでください。
まとめ:冬の時代は、真に強い企業へ生まれ変わる好機
スタートアップの資金調達における「冬の時代」は、単なる危機ではありません。
それは、自社の財務と事業モデルを根本から見つめ直し、真に強い企業へと生まれ変わるための好機です。
本記事で解説したコスト削減、キャッシュフロー改善、そしてベンチャーデットやJ-KISSといった多様な選択肢を駆使すれば、ダウンラウンドは決して避けられない運命ではありません。



私自身、多くの経営者が資金繰りの知恵で苦境を乗り越え、以前よりも筋肉質な、素晴らしい会社を創り上げていく姿をこの目で見てきました。
まずは、あなたの会社の「ランウェイ」を正確に把握することから始めてみてください。
それが、未来への第一歩です。
そして、もし一人で悩んでいるなら、決して抱え込まないでください。
あなたの挑戦を、心から応援しています。


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