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【完全ガイド】ファクタリングと手形割引の違い徹底解説|資金調達の最適解とは

売掛金や手形を早期に現金化して資金繰りを改善したい。

そんな悩みを抱える中小企業経営者の方々にとって、ファクタリングと手形割引は有力な選択肢です。

しかし、「どちらが自社に適しているのか」「リスクや費用はどう違うのか」と迷われている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、銀行での法人融資担当を経てファクタリング専門会社に転職し、長年この業界に携わってきた経験から、ファクタリングと手形割引の違いを徹底解説します。

コストやスピード、リスク負担の違いなど、意思決定に必要な情報をわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

ファクタリングの基本仕組み

ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して早期に現金化する資金調達方法です。

通常、売掛金は取引先からの入金を待つ必要があり、支払期日まで30~60日程度かかるのが一般的です。

しかし、ファクタリングを利用すれば、この入金を待たずに売掛金を現金化できるため、資金繰りの改善に役立ちます。

ファクタリングの基本的な流れは以下のとおりです。

STEP
企業がファクタリング会社に売掛金を売却する申し込みを行う
STEP
ファクタリング会社が売掛先企業の信用力や債権の内容を審査
STEP
審査通過後、契約を締結
STEP
ファクタリング会社から売掛金額から手数料を差し引いた金額が入金される
STEP
支払期日に売掛先企業からファクタリング会社へ支払いが行われる

ファクタリングには大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。

2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社のみで契約を行うため、売掛先企業に知られることなく利用できるメリットがあります。

一方、3社間ファクタリングは、利用企業・ファクタリング会社・売掛先企業の3者で契約を結びます。

売掛先への通知が必要になりますが、2社間と比べて手数料が抑えられる傾向にあります。

🔍現場からの視点

実際の現場では、中小企業が抱える売掛金の支払サイトが長期化するケースが増えています。特に大企業との取引では60日以上の支払条件を求められることも珍しくありません。そうした中で、ファクタリングは資金繰りの「橋渡し役」として機能し、事業継続を支える重要なツールとなっています。

ファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

メリット

  • 迅速な資金調達が可能
    審査から入金まで最短即日~数日と、スピーディーな資金化ができます。
  • 貸借対照表に負債が増えない
    売掛債権の売却であるため、融資とは異なり負債として計上されません。
  • 売掛金回収リスクの軽減
    ノンリコース型(償還請求権なし)の場合、売掛先企業の倒産リスクを回避できます。
  • 担保や保証人が不要
    売掛債権自体が資金化の対象となるため、原則として担保や保証人は不要です。
  • 銀行融資の審査に通らない場合でも利用可能
    売掛先企業の信用力が重視されるため、自社の財務状況が厳しくても利用できる可能性があります。

デメリット

  • 手数料が比較的高い
    2社間ファクタリングでは8~18%、3社間ファクタリングでも2~9%程度の手数料がかかります。
  • 悪質業者のリスク
    法定上限金利の規制外となるため、過剰な手数料を請求する業者も存在します。
  • 取引先との関係性への影響
    3社間ファクタリングでは売掛先企業への通知が必要となり、資金繰りに不安があると思われる可能性があります。
  • 対象となる売掛金に制限
    売掛先企業の信用力によっては買取を断られることもあります。

銀行での法人営業を担当していた時代、融資審査に通らなかった企業がファクタリングを活用して乗り切ったケースを何度も見てきました。

特に印象に残っているのは、建設業のA社のケースです。

大型公共工事を受注したものの、下請けへの支払いと入金のタイミングにずれがあり、資金繰りに窮していました。

銀行融資は直近の赤字決算のため難しい状況でしたが、官公庁向け売掛金をファクタリングで現金化することで、無事に工期を守り事業を継続できました。

手形割引の基本仕組み

手形割引とは

手形割引とは、企業が取引先から受け取った約束手形を銀行や金融機関に持ち込み、満期日前に割引料(利息に相当)を差し引いた金額で現金化する方法です。

約束手形とは、取引先が「一定期日に一定金額を支払う」と約束した有価証券であり、満期日まで保有していれば額面通りの金額を受け取れますが、資金需要がある場合は手形割引を利用して早期に現金化できます。

手形割引の基本的な流れは以下のとおりです。

STEP
企業が取引先から約束手形を受け取る
STEP
企業が銀行や金融機関に手形割引の申し込みを行う
STEP
銀行や金融機関が手形振出人の信用力や手形内容を審査
STEP
審査通過後、手形金額から割引料を差し引いた金額が入金される
STEP
満期日に銀行や金融機関が振出人から支払いを受ける

手形取引は昔から日本の商慣行として広く利用されてきましたが、近年はその利用が減少傾向にあります。

また、2024年11月以降は支払いサイトが60日を超える手形の交付に対して行政指導が行われるなど、制度面での変化も進んでいます。

手形割引の利用条件

手形割引を利用するには以下の条件が必要です。

  • 約束手形を保有していること
  • 割引を行う金融機関との取引実績があること
  • 手形振出人の信用力が一定以上あること
  • 手形の形式や要件が満たされていること

手形割引のメリット・デメリット

続いて、手形割引のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

  • 低コストでの資金調達
    銀行での割引料は年利1~5%程度と、ファクタリングより低コストな場合が多いです。
  • 取引先に知られない
    手形を割り引いても振出企業には通知されないため、資金調達の事実を知られずに済みます。
  • 確立された資金調達方法
    長年の商慣行として定着しており、銀行との関係強化にもつながります。
  • 計画的な資金繰りが可能
    手形期日をもとにした資金計画が立てやすく、安定した財務管理ができます。

デメリット

  • 手形取引があることが前提
    手形による決済を行っていない業種や取引では利用できません。
  • 不渡りのリスク
    手形が不渡りになった場合、受取企業(割引利用企業)に返済義務が生じます。
  • 貸借対照表上は負債扱い
    会計上は借入金として処理されるため、財務指標に影響します。
  • 銀行審査が必要
    自社の財務状況や信用力によっては審査に通らないことがあります。
  • 手続きに時間がかかる
    銀行での審査や手続きにより、即日資金化は難しい場合が多いです。

銀行勤務時代、製造業のB社では、大口取引先からの入金が120日サイトの手形だったため、恒常的に資金繰りに苦労していました。

通常の手形割引に加え、銀行との関係を構築してスムーズに割引を受けられる体制を整えたことで、安定した運転資金を確保できるようになりました。

一方、C社のケースでは、振出人の倒産により手形が不渡りとなり、割引分の返済に追われる事態も経験しました。

手形割引は低コストではあるものの、このようなリスクも理解しておく必要があります。

ファクタリングと手形割引の比較ポイント

資金化のスピードとコスト

ファクタリングと手形割引では、資金化のスピードとコストに大きな違いがあります。

資金化スピード比較

資金調達方法資金化までの期間必要書類審査基準
ファクタリング(2社間)最短即日~3日程度請求書・売掛金明細・企業概要売掛先企業の信用力が重視
ファクタリング(3社間)2日~1週間程度請求書・売掛金明細・企業概要・債権譲渡通知売掛先企業の信用力が重視
手形割引(銀行)3日~2週間程度手形・決算書・登記事項証明書など自社と手形振出人の信用力が重視
手形割引(専門業者)最短即日~3日程度手形・企業概要手形振出人の信用力が重視

コスト比較

資金調達方法コスト(手数料・割引料率)計算方法実質年率換算
ファクタリング(2社間)8~18%売掛金額に対する定率月2~6%相当
ファクタリング(3社間)2~9%売掛金額に対する定率月0.5~3%相当
手形割引(銀行)年1~5%手形金額×割引率×(満期日までの日数÷365日)年1~5%
手形割引(専門業者)年5~20%手形金額×割引率×(満期日までの日数÷365日)年5~20%

実務上、資金化スピードを重視する場合はファクタリングや専門業者による手形割引が有利ですが、コストを抑えたい場合は銀行での手形割引が低コストです。

ただし、銀行での手形割引は審査基準が厳しいことも念頭に置いておく必要があります。

具体的な費用感を比較する

例えば、100万円の売掛金/手形を1ヵ月早く資金化する場合:

  • 2社間ファクタリング(手数料10%):10万円の手数料
  • 3社間ファクタリング(手数料5%):5万円の手数料
  • 銀行での手形割引(年率3%):約2,500円の割引料
  • 専門業者での手形割引(年率10%):約8,300円の割引料

明らかに銀行での手形割引が最も費用は低くなりますが、利用条件や審査の厳しさを考慮する必要があります。

リスク分担と保証の仕組み

ファクタリングと手形割引では、債権回収不能時のリスク分担が大きく異なります。

ファクタリングの場合(ノンリコース型)

  • 売掛先企業が倒産した場合、そのリスクはファクタリング会社が負う
  • 利用企業は既に資金を受け取っており、返済義務は発生しない
  • そのため企業間の連鎖倒産リスクを回避できる

手形割引の場合

  • 手形振出人が倒産し不渡りになった場合、割引を利用した企業に返済義務が生じる
  • 実質的には「裏書人」として支払いの責任を負う
  • 取引先の倒産リスクから自社を守ることはできない

この違いは非常に重要です。

ファクタリングでは、その高めの手数料の中にリスクヘッジのコストも含まれていると考えられます。

一方、手形割引は低コストである分、リスクは自社で負うことになります。

事例から見るリスク管理

過去にファクタリング会社で担当したD社のケースでは、顧客である大手小売チェーンの経営状態が急速に悪化したため、ノンリコース型のファクタリングを利用することで、その後の倒産リスクを回避することができました。

逆に、手形割引を利用していたE社は、振出人のF社が破産したため、60日サイトの手形(500万円)の支払い義務を負うことになり、一時的に資金繰りが悪化しました。

このように、取引先の信用リスクをどう評価し、どちらが負担するかを明確に理解しておくことが重要です。

資金調達の最適解を見極めるためのチェックリスト

事業規模や取引先の信用力を把握する

最適な資金調達方法を選ぶ際、まずは自社の事業規模や取引先の信用力を正確に把握しましょう。

★★チェックポイント★★

✔️ 自社の規模と業種

  • 年商規模(小規模事業者ほどファクタリングの審査基準が緩いことがある)
  • 業種特性(建設業や製造業など手形取引が一般的な業種か)
  • 事業歴(創業間もない企業は銀行審査が厳しい傾向にある)

✔️ 取引先の信用力

  • 売掛先/手形振出人の規模(大企業か中小企業か)
  • 上場企業か非上場企業か
  • 過去の支払い遅延などのトラブル有無
  • 業界内での評判や最近の経営状況

✔️ 債権の性質

  • 約束手形か売掛金か
  • 支払いサイト(30日、60日、90日など)
  • 債権金額(大口か小口か)
  • 継続的な取引かスポット取引か

取引先信用力とリスク管理の視点

売掛先や手形振出人が上場企業や官公庁である場合、信用力は高く評価されるため、比較的有利な条件でファクタリングや手形割引が利用できる可能性が高まります。

一方、中小企業や業績不安定な企業が取引先の場合は、ファクタリング会社が買取を断ったり、高めの手数料を提示されることがあります。

このような場合、むしろリスク回避の観点から、ノンリコース型のファクタリングを選択する価値が高まるとも言えます。

手数料・割引料の総額と利用期間のバランス

資金調達コストを正確に把握するためには、手数料・割引料の総額と利用期間のバランスを検討することが重要です。

★★コスト試算のポイント★★

✔️ 単発利用か継続利用か

  • 一時的な資金需要なら低コストの手形割引
  • 継続的な資金繰り改善ならファクタリングの安定性も考慮

✔️ 資金調達の頻度

  • 月1回程度の頻度なら割引料の低い手形割引
  • 複数回・高頻度なら手続きが簡便なファクタリング

✔️ 資金化のタイミング

  • 即日資金化が必要なら2社間ファクタリング
  • 数日の余裕があれば手形割引も視野に

実例による比較:1,000万円の資金を30日間前倒しする場合

【ケースA】2社間ファクタリング(手数料10%)
 コスト:1,000万円 × 10% = 100万円
 実質年率:約120%

【ケースB】3社間ファクタリング(手数料5%)
 コスト:1,000万円 × 5% = 50万円
 実質年率:約60%

【ケースC】銀行での手形割引(年率3%)
 コスト:1,000万円 × 3% × (30日÷365日) = 約2.5万円
 実質年率:3%

【ケースD】専門業者での手形割引(年率12%)
 コスト:1,000万円 × 12% × (30日÷365日) = 約10万円
 実質年率:12%

この試算から、単純なコスト比較では明らかに銀行での手形割引が有利です。

しかし、審査の厳しさや時間的制約、リスク負担の違いなども総合的に判断する必要があります。

銀行での手形割引と3社間ファクタリングのコスト差が大きいのは明らかですが、銀行取引がない場合や自社の財務状況が芳しくない場合は、ファクタリングが現実的な選択肢となります。

金融機関との取引実績・担保状況

最適な資金調達方法を選ぶ際、金融機関との取引実績や担保状況も重要な判断材料になります。

★★チェックポイント★★

✔️ 金融機関との取引状況

  • メインバンクとの関係性(融資実績や取引歴)
  • 手形割引枠の有無と残高
  • 信用保証協会の保証枠の利用状況

✔️ 既存融資や担保の状況

  • 既存借入金の残高と返済状況
  • 不動産などの担保設定状況
  • 経営者の個人保証の状況

融資枠とのバランス

銀行からの借入枠を既に多く使っている場合、手形割引も融資の一種とみなされるため、追加の割引が難しくなることがあります。

一方、ファクタリングは債権売却という性質上、融資枠とは別枠で利用できるメリットがあります。

事例:製造業G社のケース

取引先である大手電機メーカーからの受注増に伴い、運転資金が必要になったG社。

既に銀行借入が多く、追加融資や手形割引枠の拡大が難しい状況でした。

そこで3社間ファクタリングを活用し、大手電機メーカー向けの売掛金を現金化することで、銀行融資枠に影響を与えることなく必要資金を確保できました。

リスク分散の視点

また、資金調達手段を複数持つことはリスク分散の観点からも重要です。

銀行融資、手形割引、ファクタリングをバランスよく組み合わせることで、一つの調達手段に依存するリスクを軽減できます。

専門家が語る活用事例・失敗例

成功事例:受注増に合わせたファクタリング活用

ファクタリング会社に転職後まもなく担当したH社の事例は、まさにファクタリングの効果的な活用例と言えます。

建設資材卸売業H社(年商2億円)のケース

都市再開発プロジェクトに伴い、大手ゼネコンからの受注が急増したH社。

しかし、支払サイトが60日と長く、仕入先への支払いとのタイミングのずれから資金繰りが急速に悪化していました。

対応策と結果

  • 大手ゼネコン向け売掛金(約3,000万円)を3社間ファクタリングで現金化
  • 手数料率5%(150万円)でしたが、資金ショートの危機を乗り切る
  • その後も継続的に利用することで、安定的な資金繰りを実現
  • 結果として売上高が前年比40%増加、会社の成長につながる

このケースから学べるポイントは、「成長資金としてのファクタリング活用」です。

単なる資金繰りの悪化対策ではなく、事業拡大の機会を逃さないための戦略的な資金調達として活用した点が成功の鍵でした。

戦略的資金調達のポイント

┗ コストだけでなく「機会損失」も考慮する
┗ 成長のための投資と資金調達タイミングを合わせる
┗ 一時的なコスト増より中長期的な成長を優先する
┗ 複数の資金調達手段を組み合わせてリスク分散する

失敗例:手形割引による資金繰り悪化

一方で、手形割引の活用には注意すべき事例もあります。

中古車販売業I社(年商1億円)のケース

自動車部品メーカーJ社からの約束手形(600万円、90日サイト)を銀行で割引し、仕入資金に充てていたI社。

割引料も年率2.5%と低コストで、安定した資金調達手段として定着していました。

トラブルの発生

しかし、J社が突如として経営危機に陥り、手形の不渡りが発生。

I社は銀行から手形金額の返済を求められましたが、既に資金を使っていたため返済できず、取引銀行との関係悪化を招きました。

さらに、不渡り情報が信用情報機関に登録されたことで、他の金融機関からの新規借入も困難になりました。

この事例から学ぶべきこと

  • 手形振出人の信用調査を定期的に行う重要性
  • 一社への依存度を下げるリスク分散の必要性
  • 不測の事態に備えた資金的バッファーの確保
  • リスク低減のために一部をファクタリングに切り替えるなどの方策

この事例は、コスト面だけを重視して手形割引を選択することのリスクを示しています。

特に取引先の経営状況に不安がある場合は、多少コストが高くともノンリコース型のファクタリングでリスクヘッジするという選択肢も検討すべきでしょう。

よくある質問(FAQ)

ファクタリングと手形割引は同時に利用できますか?

A: はい、同時に利用することは可能です。

実際、私が担当した企業の中にも、取引先からの入金方法によって使い分けているケースがありました。

例えば、手形取引のある得意先に対しては手形割引を利用し、請求書決済の得意先に対してはファクタリングを活用するといった方法です。

ただし、両方の資金調達手段を併用する場合は、以下の点に注意が必要です。

  • それぞれの契約条件や利用目的を明確にしておく
  • 資金調達の総額が過大にならないよう管理する
  • 同一債権を重複して現金化しないよう管理を徹底する
  • それぞれの手数料や割引料を含めた総コストを把握する

特に中小企業では、季節的な資金需要の波に対応するため、複数の資金調達手段を組み合わせることで柔軟性を確保できるメリットがあります。

ファクタリングを利用すると取引先に知られてしまいますか?

A: 契約形態によって異なります。

2社間ファクタリングの場合は、利用企業とファクタリング会社のみで契約を結ぶため、原則として取引先(売掛先企業)に知られることはありません。

請求書の支払先は変わらず、取引先は通常通り利用企業に支払いを行います。

一方、3社間ファクタリングの場合は、売掛先企業にも債権譲渡の通知を行い、承諾を得る必要があります。

そのため、ファクタリングを利用している事実は取引先に伝わります。

実務上、取引先への印象を気にする企業は2社間ファクタリングを選ぶことが多いですが、手数料率は3社間より高くなる傾向があります。

なお、ファクタリング契約においては「取引先への通知の有無」について事前に確認しておくことが重要です。

契約書の細則によっては、2社間契約でも一定条件下で取引先への通知がありうるケースもあるからです。

手形割引の割引率はどのように決まりますか?

A: 手形割引の割引率(金利)は以下の要素を総合的に判断して決定されます。

  1. 手形振出人の信用度
    大企業や優良企業が振り出した手形ほど低い割引率になる傾向があります。
  2. 割引依頼企業の信用度
    手形の裏書人となる企業(割引を依頼する企業)の財務状況や返済能力も考慮されます。
  3. 満期日までの期間
    期間が長いほど割引率が高くなる傾向があります。30日のものと90日のものでは差が出ます。
  4. 市場金利の水準
    市場の金利動向に連動して変動することがあります。
  5. 取引実績
    金融機関との取引実績や関係性によっても変わってきます。
  6. 割引機関の種類
    銀行の場合は年率1~5%程度が一般的ですが、手形割引専門業者では5~20%と高めになります。

例えば、私が銀行勤務時代に扱ったある製造業の事例では、大手自動車メーカーが振り出した手形(60日サイト)の割引率は年1.8%でした。

一方、中小企業が振り出した手形(同じく60日サイト)では年3.5%と約2倍の差がありました。

手形割引をお考えの場合は、複数の金融機関から見積もりを取り、比較検討されることをおすすめします。

ファクタリングは銀行の融資より不利ではありませんか?

A: 単純なコスト比較では確かにファクタリングは銀行融資より高コストですが、以下のような状況では有利になる場合があります。

ファクタリングが有利になるケース

  1. 銀行融資が受けられない場合
    創業間もない企業や、赤字決算が続いている企業など、銀行融資の審査に通りにくい状況でも利用できる可能性があります。
  2. 迅速な資金化が必要な場合
    銀行融資は審査に数週間かかることもありますが、ファクタリングは最短即日で資金化できます。
  3. 担保や保証人を提供できない場合
    銀行融資では担保や保証人を求められることが多いですが、ファクタリングでは原則不要です。
  4. 貸借対照表への影響を抑えたい場合
    ファクタリングは債権の売却であるため、融資のように負債として計上されません。
  5. 売掛金回収リスクを回避したい場合
    ノンリコース型ファクタリングでは、売掛先企業の倒産リスクをヘッジできます。

実際に、私が関わったあるIT企業は、銀行融資では融資枠の関係で追加借入が難しかった際に、ファクタリングを活用することで大型案件の開発資金を確保できました。

手数料はやや高かったものの、大型案件を逃さずに受注できたことで、最終的には会社の業績向上につながりました。

コストだけでなく、スピード、柔軟性、リスクヘッジといった観点も含めて総合的に判断することが大切です。

不渡りリスクを避けたい場合、どちらがおすすめですか?

A: 不渡りリスク(売掛先・手形振出人の支払い不能リスク)を回避したい場合は、ノンリコース型のファクタリングが明確に有利です。

ノンリコース型ファクタリングでは、いったん売掛債権を売却すれば、たとえ売掛先企業が倒産しても、ファクタリングを利用した企業に返済義務は発生しません。

これに対し手形割引では、手形が不渡りになった場合、割引を利用した企業(手形の裏書人)に支払い義務が生じます。

ただし、ノンリコース型ファクタリングのデメリットとして、以下の点には注意が必要です。

  • リスクヘッジの分、手数料率が高めになる傾向がある
  • 売掛先企業の信用力が低い場合、買取りを断られる可能性がある
  • 多くの場合、3社間契約形式となるため売掛先企業への通知が必要になる

私の経験では、特に以下のようなケースでノンリコース型ファクタリングが有効でした。

  • 取引先の経営状況に不安がある場合
  • 売掛金額が自社の資金繰りに大きな影響を与える大口案件の場合
  • 自社の資本力が小さく、不測の事態に対する耐性が弱い場合
  • 業界全体が景気変動の影響を受けやすい状況にある場合

とはいえ、各社の状況は異なりますので、自社の財務状況と取引先の信用状況を総合的に判断して選択されることをおすすめします。

ファクタリング利用時に注意すべき悪質業者の特徴は?

A: ファクタリング市場は拡大していますが、残念ながら悪質な業者も存在します。以下のような特徴がある場合は注意が必要です。

悪質業者の見分け方

⚠️ 異常に高額な手数料

  • 業界相場を大きく上回る手数料(20%以上など)を請求する
  • 手数料以外に「事務手数料」「審査料」などの名目で追加費用を求める

⚠️ 契約内容の不透明さ

  • 契約書の内容が複雑で理解しづらい
  • 口頭での説明と契約書の内容が異なる
  • 重要事項の説明が不十分または曖昧

⚠️ 過度な事業拡大の約束

  • 「継続的に利用すれば融資のような枠を設定する」など非現実的な約束をする
  • 「他社より絶対に有利」などの断定的な表現を多用する

⚠️ 登録や実績の不足

  • 金融庁または地方財務局に「第二種金融商品取引業者」としての登録がない
  • 会社設立から間もなく実績が乏しい
  • オフィスの実態がなかったり、連絡手段が限られている

⚠️ 強引な勧誘

  • 即決を強く迫る
  • キャンセルや解約に応じない
  • 担当者が頻繁に変わる

実際に私が知るケースでは、契約書に「一定条件下での買戻し義務」が小さな文字で記載されており、実質的には高金利融資と変わらない契約だったというトラブルがありました。

まとめ

ファクタリングと手形割引は、どちらも売掛債権を早期に現金化する資金調達手段として有効ですが、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。

ファクタリングのポイント

  • 迅速な資金調達が可能
  • 貸借対照表に負債が増えない
  • ノンリコース型なら売掛金回収リスクを回避できる
  • 手数料は比較的高め(2社間で8~18%、3社間で2~9%程度)
  • 銀行融資の審査に通らなくても利用できる可能性がある

手形割引のポイント

  • 低コストでの資金調達(銀行で年利1~5%程度)
  • 取引先に知られずに資金調達できる
  • 不渡りリスクは利用企業が負う
  • 貸借対照表上は負債として計上される
  • 手形取引がある企業のみ利用可能

これらを踏まえ、最適な選択をするためのポイントは以下の通りです。

自社と取引先の状況を正確に把握する

  • 自社の財務状況や信用力
  • 取引先の信用力と支払い履歴
  • 資金化したい債権の性質(手形か売掛金か)

資金ニーズを明確にする

  • 必要額と必要なタイミング
  • 一時的な資金需要か継続的な需要か
  • どの程度の緊急性があるか

リスク許容度を評価する

  • 取引先の倒産リスクをどの程度負えるか
  • 不測の事態に対する資金的バッファーはあるか
  • 財務諸表への影響をどの程度許容できるか

総合的なコストを検討する

  • 手数料・割引料の絶対額
  • 実質年率に換算した場合のコスト
  • 間接的なコスト(事務手続き、時間的コストなど)

長年の経験から言えることは、単純な「どちらが良い」という答えはなく、各企業の状況や目的に応じて最適な選択は変わるということです。

手形割引の低コスト性を活かしつつ、リスクの高い取引先に対してはファクタリングも併用するなど、複数の手段をバランスよく組み合わせることも有効な戦略です。

自社の資金繰りを安定させ、成長の機会を逃さないための戦略的な資金調達を行うためにも、両方の仕組みをしっかり理解し、状況に応じて最適な選択をしていただければと思います。

資金調達は経営の根幹を支える重要な要素です。迷ったときは専門家に相談するなど、慎重に検討することをおすすめします。

⏱ 法人の資金繰り課題をスピード解決

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この記事を書いた人

ファクタリング業界に3年以上携わり、日々ファクタリング会社の現場責任者や役員と情報交換を行っています。

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