「売上は伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない」
「税金や社会保険の支払いが毎月ギリギリで、眠れない夜が続いている」
そんな声を、私はこれまで数え切れないほど耳にしてきました。
そして多くのケースで、経営者の方々は「まさか自分の会社が…」という思いとともに、ある日突然、資金ショートの崖っぷちに立たされてしまうのです。
黒字なのに倒産してしまう――いわゆる“黒字倒産”の背景には、必ず「キャッシュフロー管理の甘さ」という共通点があります。
しかもこの資金繰りの悪化には、必ずと言っていいほど前兆があるのです。

実際、黒字倒産の8割以上は、資金繰り表を作っていなかった、税金や社会保険料を後回しにしていた、売掛金の回収が滞っていた……といった兆候を早期に見落としていたケースです。
私は元銀行員として、そして今は中小企業の財務コンサルタントとして、資金繰りに苦しむ経営者の方々を数多く支援してきました。
その中で得た知見から断言できることがあります。
資金繰り悪化は、必ず“兆候”として現れるということ。
そしてその兆候を早期に把握し、手を打てるかどうかが、生き残れるか否かの分かれ道になるということです。
この記事では、そんな資金繰り悪化の“サイン”を10項目のチェックリストにまとめ、それぞれについて「なぜ危ないのか」「どう対処すべきか」を具体的に解説します。
- 日々の資金繰りに不安を抱えている方
- 財務管理を見直したいと考えている経営者の方
- いまは順調でも「備え」をしておきたい方
そんな皆さんに、今日からすぐ活かせる“経営の健康診断”として、この記事をお役立ていただければと思います。


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資金繰り悪化の兆候チェックリスト10項目
資金繰りが危うくなっている企業には、いくつかの共通した“サイン”が現れます。
以下の10項目をもとに、自社の状態を冷静にチェックしてみてください。
1. 資金繰り表を作成していない
🔍「現金がどれくらい残っているのか」「いつ資金が不足しそうか」を把握していない状態は、まさに経営の“盲目運転”です。
資金繰り表とは、現預金の入出金予定を見える化した「キャッシュの予報表」です。
これがないと、資金ショートのリスクに気づかず、突然の支払不能に陥る恐れがあります。
対策:
- まずはExcelで簡単な月次資金繰り表を作成しましょう(テンプレートの提供も可能です)
- 3か月先、6か月先までの予測を立て、赤字月がないかを確認することが第一歩です


2. 売掛金の回収が遅れている
⚠️売上を計上しても、それが現金になるまでに時間がかかっていると、資金繰りはどんどん圧迫されます。
特に掛け取引が中心の業種では、売掛金回収サイトが長くなると、運転資金を借入で補う構造になりがちです。
対策:
- 回収期限を設けていない取引先がないかを見直しましょう
- 必要であれば、ファクタリングなどの手段も検討を(ただし手数料や契約条件には要注意)
3. 支払い遅延や仕入条件の変更が生じている
🛑「現金払いから手形払いへ変更」「支払いを1週間遅らせてほしい」などが頻発するようであれば、既に信用低下が始まっている証拠です。
こうした動きは、取引先や仕入先の間で「資金繰りが厳しい会社」としての印象を与えてしまい、今後のビジネスにも悪影響を及ぼします。
対策:
- 遅延が慢性化する前に、原因を見極めましょう(売掛・在庫・固定費増など)
- 仕入先との交渉では、誠実な情報開示と計画的な返済スケジュール提示が信頼回復の鍵です
4. 在庫の過剰や資産売却に依存している
🧯「在庫が余って倉庫がパンパン」「古い機械を売って現金を確保」…これらは資金繰りの綱渡りが始まっている兆候です。
在庫は現金を“寝かせている”状態と同義。特に回転率の悪い在庫が増えると、キャッシュフローは急速に悪化します。
対策:
- 在庫管理の徹底(ABC分析などで不良在庫を特定)
- 資産売却は緊急避難であり、常態化させないこと
5. 税金・社会保険料を滞納している
🚨「消費税の納付ができない」「社会保険料を翌月に繰り越した」——これは極めて深刻なサインです。
一度滞納をすると、延滞税や加算金で負担が増し、税務署や年金事務所からの督促も入ります。さらに、金融機関にも情報が伝わり、信用を大きく損ねます。
対策:
- 早めに所轄税務署や年金事務所に相談し、分納などの制度を活用しましょう
- 根本的には「資金繰りの計画性」が最優先です
6. 借入金の返済が厳しい
🔻「今月の返済、口座残高で足りるかな…」と毎月のように悩む状態は、資金繰り余力が限界に近づいている証拠です。
借入金返済の原資は「利益」ではなく「現金」です。売上があってもキャッシュがなければ返済できず、延滞やリスケ(条件変更)の可能性が出てきます。
対策:
- 利息・元本の負担が重くなっていないかを確認しましょう
- 必要なら金融機関にリスケジュール(返済条件の変更)を早めに打診すること
- 放置せず、事前相談が信用維持のカギになります
7. 金融機関との関係が悪化している
📉「追加融資を断られた」「決算書の提出を求められている」などの動きは、金融機関側が“危険信号”を察知している可能性大です。
融資継続の可否は、実は“借りる時”ではなく“借りた後”の報告姿勢で判断されます。
対策:
- 金融機関には決算後の早期報告と定期的な資金繰り表の提出を習慣にしましょう
- 悪い情報ほど、早く・正直に伝えることが信用維持に繋がります
8. 利益が減って現金が残らない
📊「売上は上がっているのに、なぜか手元に現金が残らない」——成長している企業ほど、このジレンマに陥りがちです。
原因は、仕入や外注費の増加、利益率の低下、回収サイトの伸長などさまざま。
いわゆる“成長倒産”の典型パターンです。
対策:
- 利益だけでなく、営業キャッシュフローを毎月確認しましょう
- 売上の伸びと支出のバランスが取れているかを分析する必要があります


9. 手元資金が乏しい
⚠️「いざという時の現金がない」状況は、たった1件の入金遅れや予期せぬ支払いで即ショートにつながります。
安全圏の目安としては、最低でも2〜3ヶ月分の固定費に相当する現金残高を確保することが理想です。
対策:
- 日常的な資金残高の確認をルーティン化しましょう
- 利益が出た月は留保を意識し、必要以上の役員報酬や過剰投資を控えること
10. 報酬カットや給与遅配が発生している
🚨社長や社員の給与に影響が出始めた時点で、すでに「自転車操業」に近づいています。
この状態では、社員の士気が下がり、優秀な人材流出や社内混乱を招きます。内部崩壊が進む前に抜本的な見直しが必要です。
対策:
- 感情ではなく、数字に基づいた財務分析と支出削減計画を優先しましょう
- 業績連動型報酬や、給与の一部を賞与に回すといった柔軟な制度も検討を
🔎 チェックリストのまとめ
これまでの10項目を、以下のように一覧表にまとめました。
チェック項目 | 危険信号 | 対策のポイント |
---|---|---|
資金繰り表なし | 資金状況が不透明 | 予測付き資金繰り表の作成 |
売掛金回収遅延 | キャッシュ不足 | 回収サイト短縮、ファクタリング活用 |
支払い遅延等 | 信用低下 | 取引先との早期交渉 |
在庫・資産売却依存 | 自転車操業の兆候 | 在庫管理の見直し |
税金滞納 | 信用リスク | 分納相談、計画納付 |
借入返済困難 | 債務超過リスク | リスケの早期相談 |
銀行との関係悪化 | 融資拒否の兆し | 定期報告と信頼関係構築 |
利益減+現金減少 | 成長倒産の兆候 | CF中心の管理体制へ |
手元資金不足 | ショート危機 | キャッシュの安全率確保 |
給与遅配・カット | 経営崩壊の一歩手前 | 緊急支出見直しと再建計画 |
資金繰り悪化の原因と改善策
資金繰りの悪化は、単なる「現金不足」ではなく、企業経営全体のバランスの乱れから生じます。
ここでは、特に中小企業でよく見られる3つの根本的な原因と、それに対する実践的な改善策を紹介します。
1. 売上減少・依存先の偏り
📉「一つの大口取引先に頼っていたら、突然の契約終了で売上が半減…」これは中小企業では非常によくある話です。
売上の集中リスクが高いほど、外部要因(景気・政策・相手の経営悪化)に左右されやすくなり、資金繰りが一気に厳しくなります。
改善策:
- 販路の分散:既存顧客の維持と並行して、新たな販売先の開拓を意識
- 商品・サービスの複線化:単一事業モデルから脱却し、収益源の複線化を図る
- クラウド営業支援ツールの導入で、営業プロセスの効率化と可視化を進める
2. 成長スピードに見合わない支出の増加
🚀「売上は伸びているのに、いつもお金がカツカツ」それは“成長倒産”の典型パターンかもしれません。
売上増に伴って人件費や仕入、外注費が先行的に増えると、キャッシュアウトが利益創出よりも早く進行してしまいます。
改善策:
- 売上計画と運転資金計画の連動:成長に必要な資金量をあらかじめ予測する
- 固定費と変動費の見直し:特に固定費の増加には慎重な判断が必要
- 月次でのキャッシュフロー分析:PLだけでなく、現金収支ベースでのチェックを習慣化
3. 財務管理体制の甘さ
🧮「税理士任せで毎月の資金状況が把握できていない」という声も少なくありません。
資金繰りは、経理処理や決算書作成とは別物です。リアルタイムでの現金の流れを掴む“経営判断”のツールであり、社長自身が主導すべき分野です。
改善策:
- 財務を“見える化”する仕組み作り:Excelベースでも構わないので、資金繰り表や損益シミュレーションを自社で作成
- 経理担当者との定期ミーティング:月1回は社長が自ら数字をチェック
- 支出基準の明文化:役員報酬や交際費など、経営判断に直結する項目はルール化する
✅【改善ポイント早見表】
原因 | 起こりやすい現象 | 具体的な対策 |
---|---|---|
売上の偏り | 売上急減で資金ショート | 販路分散・商品複線化 |
支出先行 | 売上増でもキャッシュ不足 | 運転資金計画の事前策定 |
管理の甘さ | 現金の動きが見えない | 資金繰り表の導入と習慣化 |
このように、資金繰り悪化の背景には「売上」「支出」「管理体制」のいずれか、もしくは複合的な要因が存在します。
そして、何より大切なのは「数字を見て気づく習慣」を日常的に取り入れること。
財務管理に強くなることは、会社を守る最大の防御力となります。
公的支援制度の活用法
資金繰りの悪化に直面したとき、「もう打つ手がない」と感じてしまう経営者も少なくありません。
しかし実は、国や自治体は中小企業を支えるために、さまざまな支援制度を用意しています。
これらを知っているか否かが、経営再建の明暗を分けることもあるのです。
ここでは、私が実務でもよく活用を勧めている代表的な制度を4つ紹介します。
1. 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
✅取引先が倒産して売掛金が回収できなくなったときに、最大8,000万円までの貸付を受けられる制度。
正式には「中小企業倒産防止共済制度」と呼ばれ、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
毎月の掛金(5,000円〜20万円)は損金(経費)算入でき、解約時は全額戻るため、実質的な“積立式の資金繰り保険”ともいえます。
主な特徴:
- 掛金は40か月以上納付すれば、解約時に100%戻る
- 共済金貸付の審査は通常の融資よりスピーディー
- 一時的なキャッシュ不足にも使える柔軟性
2. セーフティネット保証制度
💡突発的な売上減少が起きた場合に、信用保証協会が通常とは別枠で保証してくれる制度。
例えば、取引先の倒産や自然災害、経済環境の急変(コロナ禍など)によって売上が減少した企業に対して、金融機関からの融資を受けやすくする制度です。
ポイント:
- 条件を満たせば「信用保証枠の別枠付与」が可能
- 1号〜8号までの区分があり、状況に応じて適用される(例:8号は売上減少型)
- 事前に市区町村での認定取得が必要なので、早めの準備が鍵
3. 政府系金融機関の融資(日本政策金融公庫など)
🏦通常の金融機関よりも低金利・長期返済の融資が受けられる、中小企業の味方。
日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関は、経営安定資金や挑戦支援資金などの目的別融資を数多く用意しています。
活用のヒント:
- 事業計画や資金使途の明確化が必要ですが、審査は柔軟
- 民間銀行の借入金よりも返済条件に融通がきく
- 利息補助などの特例措置も随時発表されるため、定期チェックを
4. 中小企業再生支援協議会のサポート
🆘債務過多や資金繰り行き詰まりに直面したとき、再建支援を受けられる“公的な再生支援窓口”。
各都道府県に設置されており、弁護士や中小企業診断士、元金融機関出身者などの専門家チームが、債務整理や再建計画の立案をサポートします。
注目ポイント:
- 相談は無料、かつ守秘義務あり
- 金融機関との調整(リスケ含む)も支援してくれる
- 単独では難しい“再建の道筋”を一緒に描ける安心感がある
💬 利用にあたっての共通アドバイス
- どの制度も「早期相談」がカギになります。追い込まれてからでは選択肢が狭まります。
- 必要書類(決算書、資金繰り表、売上データなど)はあらかじめ整えておきましょう。
- 最寄りの商工会議所や信用金庫のビジネスサポート窓口での相談が、初動としておすすめです。
よくある質問(FAQ)
経営者の皆さんから日々いただく資金繰りに関する悩みには、共通するポイントがあります。
ここでは、実際の現場でも頻繁に問われる代表的な質問とその解決策を、具体的にご紹介します。
Q1:売上が伸びているのに資金繰りが苦しいのはなぜ?
A:売掛金の回収遅れ、利益率の低下、在庫の増加など、キャッシュフローを悪化させる要因が潜んでいる可能性があります。
例えば、3ヶ月サイトの掛取引が増えれば、その間は「売上が増えても現金が入ってこない」状態になります。さらに、利益が薄い商材ばかりを売っていたり、原価が上昇している場合も要注意です。
🔎 チェックポイント:
- 営業キャッシュフロー(CF)は黒字か
- 売掛回収サイトと支払サイトのバランス
- 在庫が増えすぎていないか
Q2:資金繰り表はどう作ればよい?
A:まずは月単位での「入金予定」と「支出予定」をExcelで一覧にするだけで十分です。
複雑な仕組みは必要ありません。重要なのは、“これからの現金の動き”を見える化することです。
🧩 作成のステップ:
- 過去3ヶ月分の通帳をもとに、入出金を分類(売上、仕入、家賃、人件費など)
- 未来の予定を月ごとに記入
- 毎月更新し、最低3ヶ月先までの資金残高を予測



私の事務所でも実際に使っている「資金繰り表テンプレート(Excel)」が欲しい方は、お気軽にお声がけください。
Q3:借入金の返済が厳しいときの対策は?
A:まずは金融機関に正直に現状を伝えた上で、返済条件の見直し(リスケ)を相談しましょう。
返済ができなくなってから連絡するのでは遅く、“できなくなりそうな段階”で相談することが肝心です。誠実な姿勢は信頼維持に直結します。
📌 相談時のポイント:
- 最新の試算表、資金繰り表を準備して説明
- リスケ希望期間中の「返済可能額」を試算
- 今後の改善計画(売上、支出、経費削減など)を提示する
Q4:支援制度はどこに相談すればいい?
A:まずは商工会議所や「よろず支援拠点」、取引金融機関の支援窓口を活用しましょう。
いずれも無料で相談が可能で、制度利用のための書類作成や制度選定までサポートしてくれます。
📍 主な窓口:
- 商工会・商工会議所(地域に密着した経営支援あり)
- よろず支援拠点(全国に設置された経営相談のハブ)
- 信用金庫・政府系金融機関のビジネスサポート部門
Q5:黒字倒産を防ぐには何を優先すべき?
A:とにかくキャッシュフロー管理の徹底です。
「利益より現金」が資金繰りの鉄則です。月次で現金収支を把握し、短期・中長期の資金計画を常にアップデートする習慣が大切です。
🛠️ 実践アクション:
- 月1回の資金繰りミーティング(経理担当+経営者)
- キャッシュフローが悪化した原因の振り返り
- 売上・利益だけでなく、現金の出入りを可視化
まとめ
資金繰りの悪化は、決して突然訪れるものではありません。
それは、毎月の通帳の動き、売掛金の回収状況、取引先とのやり取り、そして社員の表情など、無数の“サイン”としてすでに現れているのです。
私はこれまで、多くの中小企業経営者とともに、資金繰りの修羅場を乗り越えてきました。
その経験からはっきりと言えるのは、「気づいた時に行動できた企業は、必ず立ち直れる」ということです。



この記事で紹介したチェックリスト10項目は、言わば“経営の健康診断”です。
以下の3つのステップで、ぜひ今日から実行してみてください。
今日からすぐに始められる行動指針
- 自社の状態をチェックリストで点検
→ 客観的に見て1つでも該当する項目があれば、すでに黄色信号です。 - 資金繰り表を作成する
→ 特別なツールは不要。まずはExcelや手書きでも構いません。 - 必要に応じて、早めに支援制度や専門家を活用する
→ 商工会議所やよろず支援拠点では無料で相談できます。
外部の力を借りることは「弱さ」ではなく「賢さ」です。
売上は企業の“筋肉”、利益は“骨格”だとしたら、資金繰りはまさに“血液”であり、絶えず流れ続けてこそ会社は生きていけます。
たとえ赤字でもキャッシュがあれば再建できますが、いかに黒字でもキャッシュが尽きれば、その瞬間に倒産です。
だからこそ、資金繰りこそが経営者の最重要課題。
その第一歩が「兆候に気づくこと」なのです。
この記事が、あなたの経営の視野を少しでも広げ、明日をより健全に迎えるきっかけとなれば幸いです。


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