「従業員の給与が払えない…」
経営者として、これほど心臓が締め付けられる状況はありませんよね。
「従業員にどう説明すれば…」「このまま会社は倒産してしまうのか…」と、一人で眠れない夜を過ごしているのではないでしょうか。

ご安心ください。資金繰りコンサルタントの佐々木真帆です。元銀行員として数々の苦境を見てきた私には、その絶望的なお気持ちが痛いほどわかります。
【この記事の結論】給与が払えない…経営者が今すぐやるべき3つのこと
従業員の給与が払えない危機的状況では、冷静な判断と誠実な行動が不可欠です。以下の3つのステップを最優先で実行してください。
- 支払いの優先順位を確認する
何よりも「従業員の給与」を最優先に確保します。銀行返済よりも優先すべきです。ただし、不渡りを出すと倒産に直結する「手形・小切手の決済」だけは絶対に行います。 - 従業員へ誠実な説明と謝罪を行う
現状と支払い計画(「いつまでに」「いくら」支払うか)を具体的に説明し、謝罪します。その際、「役員報酬の停止」も宣言し、経営陣の覚悟を示すことが信頼を繋ぎ止める鍵です。 - 緊急の資金調達に動く
従業員との約束を守るため、即座に行動します。「日本政策金融公庫」などの公的融資を第一に検討しつつ、スピードが求められる場合は「生命保険の契約者貸付」や「ファクタリング」も視野に入れます。
本文では、これらの具体的な行動計画と、絶対やってはいけない3つの禁じ手について詳しく解説します。
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従業員の給与が払えない社長が最初に確認すべきことと支払いの優先順位
なぜ給与支払いが最優先なのか?元銀行員が語る本当の理由
「銀行への返済を優先すべきでは?」
真面目な社長ほど、そう考えてしまいがちです。
しかし、私は断言します。
手形の決済を除けば、何よりも給与の支払いを最優先してください。
銀行員だった頃、給与の遅配を起こした会社を何社も見てきました。
その末路は、例外なく事業の縮小か、倒産です。
給与が支払われないと、従業員の士気は一気に下がります。
それだけではありません。
「この会社は危ない」という噂はあっという間に広がり、優秀な人材から辞めていきます。
そうなると、事業の立て直しは不可能に近くなるのです。
銀行への返済が遅れることは、もちろん信用問題になります。
しかし、事前に誠意をもって相談すれば、返済計画の見直し(リスケジュール)に応じてもらえる可能性は十分にあります。
ですが、従業員が離れてしまっては、事業そのものが成り立ちません。
会社を支えているのは「人」である、この大原則を絶対に忘れないでください。
支払いの優先順位を冷静に判断する
では、具体的にどの順番で支払うべきか。
会社の状況によって多少異なりますが、基本は以下の通りです。
1. 手形・小切手の決済
これができないと「不渡り」となり、事実上の倒産に追い込まれます。問答無用で最優先です。
2. 従業員の給与
事業継続の生命線です。会社の心臓を守るための最重要項目です。
3. 仕入代金など事業継続に不可欠な支払い
これが止まると事業が回らなくなります。支払いサイトの延長を交渉できないか検討しましょう。
4. 社会保険料・税金
滞納すると延滞税がかかります。役所に相談すれば、分納に応じてくれる場合があります。
5. 金融機関への借入金返済
必ず事前に金融機関へ連絡し、返済計画の見直しを相談してください。無断での延滞は絶対にNGです。
6. その他の経費(家賃、光熱費など)
こちらも支払いが遅れる場合は、事前に連絡・相談することが重要です。
資金ショートの正確な金額を把握する
感情的にならず、まずは「あといくら足りないのか」「いつまでに必要なのか」を正確に計算しましょう。
手元の預金通帳、これから入金される予定の売上、そして出ていく支払いをすべて書き出してください。
簡単な表で構いません。
入金の部 | 金額 | 支払の部 | 金額 |
---|---|---|---|
A社からの入金 | 50万円 | 給与支払 | 200万円 |
B社からの入金 | 30万円 | 仕入代金 | 80万円 |
入金合計 | 80万円 | 支払合計 | 280万円 |



この場合、200万円が不足している、という事実が明確になります。
金額が分かれば、具体的な対策を立てることができます。
【時系列】給与支払い遅延時に社長が取るべき具体的行動
資金が不足している事実が確定したら、すぐに行動を開始します。
順番を間違えてはいけません。
Step1: 従業員へ誠心誠意の説明と謝罪を行う
これが最も重要で、最も勇気がいるステップです。
銀行員時代、そしてコンサルタントとして多くの経営者を見てきましたが、危機を乗り越える社長は、例外なく従業員に対して誠実です。
伝えるべきポイントは以下の3つです。
- 正直な謝罪:まずは給与の支払いが遅れること、不安な思いをさせてしまうことを、誠心誠意、自分の言葉で謝罪します。
- 現状の説明:なぜこのような事態になったのか、嘘偽りなく、しかし簡潔に説明します。(例:「大口の取引先の入金が遅れており…」など)
- 具体的な支払い計画の提示:「いつまでに」「いくらを」支払うのかを明確に約束します。もし全額が難しい場合でも、「まずは半額を〇日に、残りを〇日までに必ず支払います」と具体的に提示することが不可欠です。
曖昧な言葉や根拠のない楽観論は、従業員の不信感を煽るだけです。
誠実な態度は、必ず従業員に伝わります。
Step2: 役員報酬の減額・停止を即時決断する
従業員への説明の場で、必ず「役員である私の報酬は、全額カットします」と宣言してください。
従業員に痛みを強いる以上、経営陣がそれ以上の覚悟を示すのは当然です。
この姿勢が、従業員の「会社を支えよう」という気持ちを引き出すための、何よりのメッセージになります。
Step3: 緊急の資金調達を実行する
従業員との約束を守るため、すぐさま資金調達に動きます。
次の章で解説する方法の中から、自社の状況に合わせて最も早く、リスクの少ない方法を選択し、すぐに行動に移してください。
元銀行員が徹底解説!緊急時に使える8つの資金調達法
資金調達には様々な方法がありますが、スピード、審査難易度、リスクが異なります。
元銀行員、そして現役コンサルタントの視点から、それぞれの特徴と「私ならこう考える」というポイントを解説します。
資金調達法 | スピード | 難易度 | 金利・手数料 | 佐々木’s コメント |
---|---|---|---|---|
① 公的機関からの融資 | △ 遅い | △ やや高い | ◎ 低い | 最も健全だが緊急時には間に合わないことも。まずは相談を。 |
② 制度融資 | △ 遅い | 〇 やや低い | ◎ 低い | 公庫と並行して検討すべき。地域によって制度が違う。 |
③ ビジネスローン | ◎ 速い | ◎ 低い | × 高い | あくまで「つなぎ」。最後の手段と心得るべき。 |
④ ファクタリング | ◎ 速い | 〇 普通 | × 高い | 融資ではないのがメリット。手数料の高さを許容できるか。 |
⑤ 手形割引 | 〇 普通 | 〇 普通 | △ 普通 | 手形取引があれば有効。不渡りリスクに注意。 |
⑥ 資産の売却 | △ 遅い | – | – | 返済不要の確実な資金。時間がかかるのがネック。 |
⑦ 生命保険の契約者貸付 | ◎ 速い | ◎ 低い | 〇 普通 | 審査不要で最速の可能性。解約返戻金の範囲内。 |
⑧ 経営者・役員からの借入 | ◎ 速い | – | – | 最終手段。個人の生活を守ることも重要。 |
① 日本政策金融公庫などの公的機関からの融資
銀行員時代の経験から言っても、最も健全な方法です。
金利が低く、返済期間も長く設定できます。
「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」など、業況が悪化した際に使える制度があるので、まずは電話で相談してみましょう。
「従業員の給与が払えない」という緊急事態であることを伝えれば、審査を早めてくれる可能性もあります。



審査については「創業融資の審査に落ちる原因と再チャレンジの秘訣【徹底解説】」という記事も参考になりますので、ぜひご覧ください。
② 制度融資(信用保証協会付き融資)
お住まいの地方自治体や信用保証協会が窓口になる融資です。
公庫と同様、金利は低いですが、審査に時間がかかるのが一般的です。
こちらも相談する価値は十分にあります。
③ ビジネスローン
審査が早く、最短即日で融資が実行されることもあります。
しかし、金利が年10%を超えることも珍しくなく、安易に手を出すと将来の資金繰りをさらに圧迫します。
利用するとしても、給与支払い分だけを借りて、公的融資が下りたらすぐに返済する、といった「つなぎ資金」としての利用に限定すべきです。
④ ファクタリング
売掛債権(請求書)を専門業者に買い取ってもらう方法です。
融資ではないため、決算書が赤字でも利用できる可能性があります。
ただし、手数料が非常に高いのがデメリット。
銀行員視点から補足すると、取引先にファクタリングの利用を知られると(3社間の場合)、会社の信用不安を疑われるリスクもあるので注意が必要です。



ファクタリングについては姉妹サイトの「ファクタリング賛否両論」で詳しく紹介しておりますので、こちらもよかったら覗いてみてくださいね。
⑤ 手形割引
受け取った手形を、支払期日前に銀行などで現金化する方法です。
手形取引がある会社にとっては有効な手段ですが、万が一その手形が不渡りになった場合、買い戻しの義務が発生します。
⑥ 資産の売却
社用車や遊休地、不要な機械など、事業に直接影響の少ない資産を売却します。
返済不要の確実な資金ですが、買い手を見つけるのに時間がかかるのが難点です。
⑦ 生命保険の契約者貸付
経営者が会社で加入している生命保険に「契約者貸付制度」が付いていれば、解約返戻金の一定範囲内で、審査なしでお金を借りられます。
これが最も早く資金を確保できる方法かもしれません。一度、保険証券を確認してみてください。
⑧ 経営者・役員からの借入(役員借入金)
経営者個人の預金などを会社に貸し付ける、文字通り最後の手段です。
社長が会社を思う気持ちは痛いほど分かりますが、ご自身の生活やご家族の将来も守らなければなりません。実行する前に、他の方法がないか、もう一度冷静に考えてください。
これだけは絶対ダメ!社長がやってはいけない3つの禁じ手
追い詰められた時ほど、人は誤った判断をしがちです。
しかし、以下の3つだけは、どんなに苦しくても絶対に手を出さないでください。
会社の未来を、そしてあなた自身の人生を壊すことになります。
禁じ手1:従業員に嘘をつく、安易な約束をする
「すぐ払えるから」「来週には大きな入金があるから」
根拠のない嘘やその場しのぎの約束は、一度失った信頼を取り戻すのが最も難しい、最悪の選択です。
銀行員時代、社長の嘘が原因で従業員が一斉に離職し、再起不能になった会社を私は見てきました。
苦しい時こそ、誠実さだけが会社を救います。
禁じ手2:違法な高金利業者(闇金)に手を出す
「審査なし」「即日融資」といった甘い言葉に、絶対に騙されないでください。
闇金に手を出せば、一時的にお金が手に入っても、法外な金利と悪質な取り立てで会社は骨の髄までしゃぶり尽くされ、再起不能になります。
これは資金調達ではなく、破滅への入り口です。
禁じ手3:安易な分割払いや現物支給を提案する
従業員の同意なく、一方的に給与を分割払いにしたり、自社製品を給与代わりに渡す「現物支給」を行ったりすることは、労働基準法違反です。
法的なリスクはもちろん、「従業員の生活を何だと思っているんだ」と、決定的な不信感を与える行為です。
二度と繰り返さないために。資金繰りを根本から改善する習慣
今回の危機を乗り越えたら、二度と同じ轍を踏まないために、会社の財務体質を根本から見直しましょう。
私がコンサルティングで必ずお伝えする、基本の3つをご紹介します。
資金繰り表を作成し、お金の流れを「見える化」する
なぜ資金が足りなくなったのか、原因を把握できていますか?
どんぶり勘定が、資金ショートの最大の原因です。
難しく考える必要はありません。Excelで構わないので、毎月の入出金を記録し、数ヶ月先までの資金の動きを予測する「資金繰り表」を作成しましょう。
これだけで、危険を早期に察知できるようになります。
売掛金の回収サイトと買掛金の支払サイトを見直す
できるだけ「入金を早く、支払いを遅く」するのがキャッシュフロー改善の基本です。
「そんな交渉、取引先にできるわけない」と思われるかもしれません。
しかし、銀行員時代の経験から言うと、普段から良好な関係を築けていれば、意外と相談に乗ってくれるものです。
すべての取引先は難しくても、1社でも交渉できれば、資金繰りは楽になります。



支払いサイトの交渉術については「【支払いサイト交渉術】仕入先との良好な関係を維持しながら資金繰りを改善する方法」という記事で詳しく解説してます。
無駄な経費を洗い出し、コスト削減を徹底する
あなたの会社に、当たり前だと思って支払っている「聖域」はありませんか?
もう一度、すべての経費を見直してみてください。
- 固定費 → 家賃、通信費、リース料など
- 変動費 → 広告宣伝費、接待交際費、消耗品費など
私がコンサルしたある製造業の会社では、使っていない倉庫の賃料を払い続けていることに気づき、解約しただけで年間120万円のコスト削減に成功しました。
よくある質問(FAQ)
Q: 給料の支払いが遅れる場合、何日前までに従業員に伝えればよいですか?
A: 法律で明確な日数は定められていませんが、遅れることが確定した時点で、可及的速やかに伝えるのが鉄則です。私の経験上、少なくとも給与支払日の1週間前には伝え、個別に面談の時間を持つのが望ましいです。誠意ある対応が信頼を繋ぎ止めます。
Q: 給料未払いにはどのような罰則がありますか?
A: 労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、従業員が退職した場合は年率14.6%の遅延損害金を請求されることもあります。刑事罰の対象となる可能性もあり、決して軽視できません。
Q: 社長の給料(役員報酬)を払わずに、従業員の給与を優先しても法的に問題ないですか?
A: はい、問題ありません。むしろ、そうすべきです。役員報酬は労働基準法上の「賃金」とは異なるため、従業員の給与を優先して支払うことは経営者として当然の判断と言えます。多くの再生案件で、まず役員報酬の全額カットから始めています。
Q: 従業員に「給料はいらないから会社を助けたい」と言われました。受け入れても良いですか?
A: 大変ありがたい申し出ですが、慎重な対応が必要です。後々のトラブルを避けるためにも、給与の債権放棄に関する合意書を専門家(弁護士や社労士)のアドバイスのもとで作成すべきです。口約束は絶対に避けてください。
Q: 銀行返済と給料、どちらを優先すべきですか?
A: 迷わず給料です。銀行への返済が遅れると信用情報に傷がつきますが、倒産に直結するわけではありません。銀行には事前に連絡し、返済計画の変更(リスケジュール)を相談しましょう。従業員が離れてしまっては、事業の再建は不可能です。
まとめ
従業員の給与が払えないという事態は、経営者にとって最大の試練です。
そのお気持ちは、痛いほど分かります。



しかし、パニックにならず、一つひとつ誠実に対応することで、道は必ず開けます。
本記事で解説した「取るべき行動」と「やってはいけないこと」を参考に、まずは従業員への説明から始めてください。
そして、決して一人で抱え込まないでください。
銀行員、そしてコンサルタントとして多くの経営者を見てきましたが、危機を乗り越える社長は、必ず早い段階で私のような外部の専門家に相談しています。
あなたの会社と、大切な従業員を守るため、今日から具体的な一歩を踏み出しましょう。
あなたの行動が、会社の未来を創ります。


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