MENU

資金繰り表の作成方法と活用術:3ヶ月先まで見通す経営者のための実践ガイド

「うちは黒字だから大丈夫だと思っていたのに、今月の支払いが間に合わないかもしれない」
こんな声を、私はこれまで何度も中小企業の経営者の方々から聞いてきました。

決算書上は利益が出ているのに、なぜか手元の現金が足りない──これは経営の現場で非常に多く見られる“資金繰りの罠”です。

実際、黒字倒産という言葉が示すように、利益が出ていても資金がショートしてしまえば企業は継続できません。
この現金の見通しを「見える化」し、未来の不安を“今”からコントロールする手段が「資金繰り表」です。

佐々木 真帆

資金繰り表は、会社の“未来の現金”を映し出す経営の天気図。
曇りや雨の兆しを早期に察知し、傘を差す(=対策を講じる)ための必須ツールです。

本記事では、私が20年以上の現場経験を通じて見てきた実務ノウハウをもとに、初心者でも今日から使える資金繰り表の作成方法と活用術を詳しく解説します。

「なんとなく不安」を「数字で安心」に変えるための第一歩を、今ここから一緒に踏み出しましょう。

💰 企業の資金繰り改善を最短ルートで実現

┗ 最短3時間での資金調達が可能
┗ 経営状況に合わせた最適な調達方法を提案
┗ 専門アドバイザーによる無料相談サービス

【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金調達の選択肢を広げる

目次

資金繰り表とは?基礎知識と押さえるべきメリット

資金繰り表で見える「利益」と「現金」のズレ

まずは「資金繰り表とは何か?」を明確にしましょう。
資金繰り表とは、会社の現金の出入り(キャッシュイン・キャッシュアウト)を一定期間にわたって一覧にした表です。

「損益計算書があれば経営状態はわかるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな誤解。
損益計算書は“発生主義”に基づいており、実際にお金が動いたかどうかとは関係がないのです。

例えば──

  • 月末に100万円の売上を計上しても、実際に入金されるのは翌月末
  • 一括で支払った仕入れが、売上として反映されるのは数ヶ月先

このように、帳簿上の利益と実際の現金の動きにはタイムラグがあります。
そのズレを放置したままでは、「黒字なのに資金ショート」という事態に陥るリスクが高まるのです。

佐々木 真帆

資金繰り表は、「いま手元にいくら残っていて、いつ・どこで足りなくなるのか?」を明確にする羅針盤。
会計ソフトには出せない、“リアルな現金の未来”を自分で描くことができます。

特に売上や仕入れに季節変動がある業種では、このズレが経営に与える影響は想像以上に大きいものです。

利益と現金のズレを理解する

3ヶ月予測の重要性と適切な期間設定

「資金繰り表はどれくらい先まで作るべき?」というご質問もよくいただきます。
実務で最も多く使われている期間は、13週=約3ヶ月です。

この期間設定には、明確な理由があります。

  • 1ヶ月では短すぎて先手が打てない:借入や支払条件の交渉には時間が必要です
  • 6ヶ月以上は精度が落ちやすい:売上や経費の前提がぶれやすく、現実離れした予測になることも

📊13週は、現金収支の動きを週単位で把握しつつ、3ヶ月先の資金計画を立てるのにちょうど良い長さ
銀行との融資交渉でも、13週資金繰り表を提示できると信頼度が上がります

ちなみに、経営が逼迫している局面では、日繰り(毎日の資金繰り)管理が求められることもあります。
一方、安定期に入った企業は、月次の簡易資金繰り表を継続管理するスタイルでもOKです。

資金繰り表がもたらす4大メリット

資金繰り表の真価は、作って終わりではなく「運用して初めて発揮される」点にあります。
具体的には、以下のような4つの実用的メリットがあります。

  • 資金ショートの予防ができる
     →不足する時期を前もって把握し、事前に借入や支払調整が可能に
  • 経営判断のスピードが上がる
     →「来月の残高が厳しいから広告費は抑えよう」といった即時対応が可能に
  • 金融機関との信頼関係を強化できる
     →資金繰り表を提示することで、経営管理能力をアピールできる
  • 社員の危機意識が共有される
     →「今月は回収を早めよう」「発注を少し遅らせよう」など全社で行動が変わる

特に中小企業では、社長が数字に強いこと自体が最大のリスク管理になります。

初心者でもできる!資金繰り表作成6ステップ

資金繰り表の効果はわかっていても、「作るのが難しそう…」と感じている方は多いものです。
ですがご安心ください。実は資金繰り表は、正しい順序で進めれば専門知識がなくても作成可能です。

ここでは、これまで数多くの企業と作成してきた中で見えてきた、再現性の高い6つのステップをご紹介します。

Step1|📁必要資料の準備とチェックリスト

最初にやるべきは、必要な情報をそろえること。
手元にある資料を集めるだけで、かなり精度の高い資金繰り表が作れます。

🔍まず揃えるべき代表的な資料は以下のとおりです。

  • 現金出納帳(現金の動きを日々記録している帳簿)
  • 預金通帳(メインバンクと資金移動口座)
  • 月次試算表(勘定科目別の経営成績)
  • 売掛金・買掛金の管理表(請求書台帳でも可)
  • 借入返済予定表(元本・利息のスケジュール)
  • クレジットカード支払予定や手形期日一覧(該当あれば)

特に重要なのは、「実際にいつ現金が入って・出ていくか」を把握できる資料です。
資料が揃ったら、次はいよいよExcelを開きましょう。

Step2|📊Excelフォーマットの組み立て方

資金繰り表の基本構造は、「時間 × 項目」の二次元表です。
縦方向(行)に取引内容、横方向(列)に日付や週・月を並べていきます。

💡初心者向けのおすすめレイアウト例

区分科目5/15/25/31小計
収入売上入金
借入金入金
支出仕入支払
人件費
家賃・水道光熱
借入金返済
合計当日残高

📌ポイントは、「実際の入出金タイミング」に合わせた表示。
勘定科目を大まかにしすぎると行動につながりませんが、細かすぎると入力負担が重くなります。
おすすめは「売上」「仕入」「人件費」「固定費」など8〜10項目前後にまとめること。

なお、資金繰り表のテンプレートは金融機関(例:京都銀行・日本政策金融公庫など)やクラウド会計サービスでも配布されており、初心者の方は活用を検討してもよいでしょう。

Step3|🧮現金主義で数値を入力するコツ

資金繰り表では、「発生主義」ではなく「現金主義」で記録することが大前提です。
つまり、「請求した日」や「費用が発生した日」ではなく、実際にお金が動いた日を入力します。

例えば、

  • 4月1日に売上100万円を計上 → 実際に入金されるのは5月31日 → 5月31日に記録
  • 3月末に仕入100万円 → 支払は4月末 → 4月30日に記録
佐々木 真帆

コツは、「売掛金・買掛金の回収・支払サイト」をしっかり反映させること。
入金・出金予定がいつになるのかを把握し、ずれ込む時期に注意しましょう。

なお、カード決済やネットバンクの振込日などはタイムラグが数営業日あることもあるので、余裕を持った記録が安心です。

Step4|⚠️自動計算式&残高警報ルール設定

Excelで資金繰り表を活用する際に、ぜひ取り入れてほしいのが「自動計算」と「アラート機能」です。
これにより、転記ミスや見落としによる資金ショートのリスクを大幅に減らせます。

🔧おすすめのExcelテクニック

  • 残高自動計算式
     → =前日残高 + 入金合計 - 出金合計
     → 各日の残高を自動で算出し、未来の資金状況が一目でわかる
  • IF関数×条件付き書式で警報機能
     → 例:=IF(残高セル<500000,"要注意","")
     → 残高が50万円未満ならセルを赤く表示して警告
  • SUM関数+グラフ化
     → 各週・各月の収支差額や累積残高をグラフにすれば、経営会議でも可視化しやすい

このような工夫を加えることで、表を“生きた情報”に変えることができるのです。

Step5|🔍入力チェックと3ヶ月横並び検証

資金繰り表が一通りできたら、必ず行いたいのが実績値との突き合わせチェックです。

✅チェックすべき3つのポイント:

  • 預金通帳との残高一致確認
     → 前月繰越残高と、月初の通帳残高が一致しているかを確認
  • 入出金のタイミング誤差チェック
     → 特に売上や支払いのズレが起きやすい項目に注意(例:土日を挟んだ支払、月末振込)
  • 3ヶ月分の横比較で傾向を見る
     → 収支バランスが悪化していないか、残高が先細りしていないかをチェック

資金繰り表は予実管理の第一歩でもあります。月次決算と同様に、予測と実績を照らし合わせて改善に活かすことが大切です。

Step6|📂完成→運用準備:テンプレ保存とバージョン管理

いよいよ資金繰り表が完成したら、“作って終わり”ではなく“使い続ける”ことが大切です。
そのために以下の運用準備をおすすめします。

💡運用を継続しやすくする工夫:

  • クラウド保存で関係者と共有
     → GoogleスプレッドシートやDropbox、OneDriveなどを活用し、社長・経理・顧問税理士がアクセスできるようにする
  • 月別フォルダ+日付つきファイル名でバージョン管理
     → 例:「資金繰り表_2025年5月版.xlsx」「資金繰り表_2025年5月第2週更新.xlsx」
  • 週次でローリング更新
     → 毎週末に翌週分を更新することで、精度が保たれ、判断スピードが落ちません
佐々木 真帆

資金繰り表は「社長しかわからない」状態ではなく、チームで見て動く道具にすることが成功のカギです。

3ヶ月先を読み切る!シナリオ別キャッシュフローシミュレーション

資金繰り表は「現状の見通しを可視化する」だけでなく、未来の変化に備える“シナリオ思考”にも活用できるのが大きな利点です。

ここでは、「ベース」「楽観」「悲観」という3つのシナリオを想定した実践的なキャッシュフローシミュレーションの作り方と活かし方をご紹介します。

シナリオ別|ベース/楽観/悲観の作り方

まず最初にやるべきことは、「現実的な基準となるベースシナリオ」を作ること。
これは、通常どおりの売上・仕入・固定費が想定通りに進んだ場合の見通しを指します。

そのうえで、前提条件を変えて2つの代替シナリオを加えます。

🔄シナリオ設計の例:

  • ベースシナリオ
     → 売上:前月比±0%、固定費も通常運転
  • 楽観シナリオ
     → 売上:前月比+20%、入金サイトも短縮(例:月末入金→20日入金)
  • 悲観シナリオ
     → 売上:前月比−20%、回収遅延あり(例:入金30日遅延)、仕入支払は据え置き

各シナリオごとに資金繰り表をコピーし、条件だけを変更して「3パターンの未来」を見える化するのがポイントです。

佐々木 真帆

特に悲観シナリオは、現実に起こるとしたら“どの月・どの週に”資金が不足するか?を把握するための重要な準備です。

結果の可視化と判断基準

3つのシナリオを作ったら、次にやるべきはグラフ化と分析です。
数字だけでは見えにくい傾向も、グラフにすることで一目瞭然になります。

📊資金繰り表を可視化するポイント:

  • 日別または週別の累積残高推移グラフを作成
     → 折れ線グラフで「どこでキャッシュが最も少なくなるか」を明示
  • 最低残高をマーカーで表示
     → 最も資金が厳しくなる時点(ボトルネック)を特定し、対策を立てやすくする
  • 判断の目安:最低残高が固定費1ヶ月分を下回るか?
     → このラインを割り込むと、外部資金調達や支出削減が必要なシグナルになります

💡余力があるうちに動けるかどうかが、資金繰りの命運を左右します。

資金ショートが見えたときの即応アクション

悲観シナリオやベースシナリオでキャッシュが底をつく時点が見えた場合、事前に対策を打つことが肝心です。

🔧主な対応策の選択肢:

  • 金融機関への借入相談(つなぎ資金・運転資金)
     → 数ヶ月前から準備すれば、金利や条件で有利な交渉が可能
  • 支払サイトの交渉(仕入先への支払延期)
     → 信頼関係がある取引先であれば、柔軟な対応が得られることも
  • ファクタリング・売掛債権担保融資の検討
     → 売掛金を資金化する手段。ただしコストや契約条件には注意
  • 経費削減・投資の見直し
     → 一時的な広告費や新規設備導入の見送りなど

資金繰り表をもとにシナリオを用意していれば、「想定外の事態に慌てる」のではなく「想定内の変化に対応する」姿勢が取れるようになります。

資金繰り表の数字を経営判断に活かす4つの視点

資金繰り表を作成しても、ただ「見て終わり」ではもったいない。
その数字をどう読み解き、どう意思決定に結びつけるかが経営者の腕の見せどころです。

ここでは、資金繰り表を経営ツールとして最大限活用するための4つの重要な視点を紹介します。

① 営業収支・財務収支・経常収支の読み解き

資金繰り表における現金収支は、以下の3つに分類して分析すると効果的です。

📌分類のポイント:

  • 営業収支(本業の稼ぐ・使う)
     → 売上入金、仕入支払、人件費、地代家賃など
     → ここでプラスになっているかどうかが“企業の体力”を示す
  • 財務収支(資金の調達・返済)
     → 借入金入金、返済、利息、配当など
     → 一時的に資金を補う手段だが、継続依存は危険
  • 経常収支(営業+財務)
     → 最終的な残高推移に影響する総合的な指標

この3つの区分で色分けや行分けしておくと、「本業で回っているのか、それとも借入頼みなのか」が一目瞭然になります。

② 残高推移から見えるリスクの早期発見

資金繰り表を週次・月次で追いかけていると、“違和感のある動き”が数値として現れることがあります。

🔍早期発見のヒント:

  • 一時的な入金の山があるが、翌月に極端な資金不足が生じる
     → 入金の集中・分散が適切か確認
  • 期中で急激に残高が減少している週がある
     → 固定費・大口仕入・税金など、大支出の集中月を調整できないか検討
  • 毎月少しずつ残高が減っている
     → 赤字スパイラルの兆候。早急なコスト見直しが必要

特に設備投資やボーナス支給月、納税月などイレギュラーな支出を予測に入れておくことが肝心です。

③ 部門別共有で実現する社内行動変革

資金繰り表は、経営者だけが見るものではありません。
むしろ社内の各部門と共有することで、行動が変わり、結果が変わるのです。

✅部門別活用の具体例:

  • 営業部門
     → 売掛金回収のタイミングに敏感になる
     → 入金遅延を防ぎ、資金繰り改善に直結
  • 購買・仕入部門
     → 支払サイトを1週間延ばせないか交渉
     → 月末集中を避ける発注スケジュール調整
  • 経理・総務部門
     → 固定費の支払タイミングを見直し、残高ピークとの整合性を図る
佐々木 真帆

「現場が資金の動きを意識する」ことが、資金繰り改善の最大の近道です。

④ 銀行への提出で信用力を高めるポイント

金融機関に資金繰り表を提出する場面は、融資相談や資金調達の際に必ず訪れます。
このとき、ただの数字の羅列ではなく“説明できる表”であることが重要です。

💡信頼される資金繰り表の条件:

  • シナリオ別の前提条件が記載されている(売上の根拠、入金サイト等)
  • 前月繰越・今月繰越が通帳と一致している
  • 数字に整合性があり、突っ込まれても答えられる

特に、「社長が数字を語れる」ことは、銀行からの評価を大きく左右します。
実際、私の支援先でも資金繰り表を通じて借入交渉がスムーズに進んだ例が多数あります。

Excel vs 専用ソフト vs 専門家 最適ツール&体制の選び方

資金繰り表は「作ること」よりも「続けること」が難しい。
そのため、自社に合ったツールや支援体制を選ぶことが、運用を継続できるかどうかの分かれ道になります。

ここでは、それぞれの方法のメリットと注意点を客観的に比較し、どのようなケースで何を選べばよいのかを明確にします。

Excelで自作する場合:メリットと注意点

まずは最も多くの中小企業が選んでいる、Excelによる自作について。

✅Excelのメリット:

  • カスタマイズが自由(科目・期間・条件式など柔軟に変更可能)
  • 導入コストゼロ(PCがあればすぐ作成可能)
  • 表計算の基本スキルさえあれば誰でも扱える
  • 会計ソフトと連携しなくても手軽に始められる

⚠️Excelの注意点:

  • 入力・更新ミスのリスク(関数エラーや転記ミスに注意)
  • 属人化しやすい(担当者が休むと管理が止まる)
  • クラウド共有がうまくいかないと複数人での管理に不向き

Excelを使うなら、テンプレートを活用+ルールを明確化して共有性を高めることがポイントです。

クラウド資金繰りアプリ導入のメリット

近年増えてきたのが、クラウド型の資金繰り特化アプリの導入です。
「マネーフォワード資金繰り」「freee資金管理」「社長の管理会計クラウド」など、数多くのサービスが登場しています。

💡クラウドアプリのメリット:

  • 銀行口座・会計ソフトとの自動連携(入出金の自動取り込み)
  • リアルタイムで残高確認できる(スマホでも確認可)
  • グラフや予測機能が標準装備されている
  • クラウド上で経理・税理士・経営者が同時閲覧・編集可能

⚠️クラウドアプリの注意点:

  • 導入・月額コストがかかる(3,000〜10,000円/月 程度)
  • 自社に合った粒度にカスタマイズしづらい場合がある
  • 初期設定や会計連携にやや学習コストがかかる

業務のIT化を進めたい企業や、属人化を防ぎたい経営者には特に有効な選択肢です。

専門家(税理士・コンサル)に相談すべきタイミング

「もうすでに数字で手が詰まっている」「資金ショートが迫っている」
そんなときは、早めに専門家の力を借りることが生き残りへの近道です。

👥相談すべきタイミング例:

  • 資金ショートが3ヶ月以内に予測されている
  • 融資交渉のために精度の高い資金繰り表が必要
  • 事業再生・事業承継の局面でキャッシュフローの構築が不可欠
  • 現在の資金繰り管理が属人的・勘頼りになっている

💬相談先の例:

  • 顧問税理士(毎月の試算表をもとに現状分析)
  • 財務コンサルタント(事業モデルに応じた資金設計)
  • 中小企業診断士(経営全体の最適化提案)

資金繰りは「困ってから相談する」よりも「困る前から相談する」方が、打てる手が格段に増えます。

運用を継続させるための仕組みと社内ルール

資金繰り表の作成には一定の手間がかかりますが、最も重要なのは“継続する仕組み”を社内に根付かせることです。
作っただけで棚にしまってしまえば、どれだけ優れたツールでも意味はありません。

ここでは、無理なく資金繰り管理を続けるための社内ルールや仕組み化のコツをお伝えします。

📅月次更新サイクルと週次ローリングの使い分け

資金繰り表の更新頻度は、会社の経営状況や現金残高の余裕度に応じて使い分けることがポイントです。

🔄おすすめの使い分け方:

  • 通常期:月次更新でOK
     → 月初に前月の実績を反映し、翌月分の予定を立てる
     → 入出金のズレは翌月初に反映すればよい
  • 資金逼迫時・事業変動時:週次ローリングが必須
     → 毎週金曜に翌週の実績・予定を更新
     → 13週分(約3ヶ月)を常に“未来に向かって更新し続ける”ことで変化に即応可能

特に資金に余裕がない企業ほど、「週次のローリング予測」が有効です。
先手を打つことで、“ギリギリになる前に動ける”経営が実現します。

📊社内KPIと連動させるアップデート術

資金繰り表は、単体で運用するよりも他の経営管理ツールやKPIと連動させることで真価を発揮します。

✅おすすめの連携項目:

  • 売上計画との連動
     → 売上予測が下がれば、当然入金も減る=即座に資金繰りに反映
  • 在庫指標との連動
     → 在庫が増えれば仕入支出も先行し、キャッシュが先に減る
  • 受注残・請求予定との連動
     → 営業部門のデータと連動させ、より精度の高い入金予測が可能に
  • クラウド会計とのAPI連携(アプリ活用時)
     → 会計ソフトとリアルタイムで繋げば、最新残高・仕訳と連携可能
佐々木 真帆

大事なのは、「数字がバラバラに存在する状態を防ぐこと」
全体を一元管理し、“経営のダッシュボード”として機能させることが理想です。

よくある質問(FAQ)

これまで多くの経営者の方から寄せられた、資金繰り表に関する代表的な疑問とその回答をQ&A形式でまとめました。
初めて取り組む方も、すでに運用中の方も、ぜひご参考になさってください。

Q: 資金繰り表とキャッシュフロー計算書は何が違うの?

A: キャッシュフロー計算書は「過去」の1年間の実績を集計する決算書類の一部であり、税務申告や外部報告用の資料です。
一方、資金繰り表は「これからの数週間~数ヶ月先の現金収支」を予測するための内部管理ツールです。

📌資金繰り表=短期未来に備える予報
📌キャッシュフロー計算書=過去の結果報告

Q: どのくらい現金残高があれば安全圏?

A: 一般的には「固定費の1〜2ヶ月分」が最低ラインの目安とされています。
ただし、業種や売上の季節変動、取引先の入金サイトによっても変わるため、自社の“資金消費スピード”に合わせた残高目標を設定することが大切です。

Q: Excelが苦手でも作れますか?

A: はい、大丈夫です。最近では各種金融機関や専門家が提供する無料のExcelテンプレートがありますし、最低限の関数(SUM/IF)だけで実用的な表は作れます。

また、Googleスプレッドシートであれば、自動保存・クラウド共有も簡単にできるので、初心者にもおすすめです。

Q: 銀行に提出する場合のポイントは?

A: 単なる数値の羅列ではなく、「なぜこの数字になっているのか」が説明できるよう、シナリオの前提条件や補足メモ欄を設けることが重要です。

さらに、通帳残高との整合性、返済予定の反映、資金ショート時の対応案などを記載しておくと、信頼度が大きく向上します。

Q: 更新を続けるコツは?

A: 継続のコツは「ルール化とチーム化」です。

具体的には:

  • 毎月末 or 毎週末に更新を“社内ルーティン”に組み込む
  • 社長・経理・税理士が同じファイルを見られるようクラウド共有を活用
  • KPIや売上予測と一緒に“数字の習慣”として管理する

“属人化しない資金繰り表”こそが、強い経営の土台です。

まとめ

資金繰り表は、会社の未来を“予報”するための経営の天気図です。

「利益は出ているのに現金が足りない」──そんな見えない不安を数字で見える化し、
3ヶ月先までの現金の流れを“予測し、備える”ための道具として、今すぐにでも活用を始めていただきたいと私は思っています。

佐々木 真帆

曇りや雨(資金不足)の兆しが見えたら、早めに傘を差す(=対策を打つ)、これが、黒字倒産を防ぐ最も確実な経営手段です。

まずは難しく考えず、テンプレートを使って1ヶ月分だけでも作ってみることから始めましょう。
行動こそ、最強の資金繰り改善策です。

💰 企業の資金繰り改善を最短ルートで実現

┗ 最短3時間での資金調達が可能
┗ 経営状況に合わせた最適な調達方法を提案
┗ 専門アドバイザーによる無料相談サービス

【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金調達の選択肢を広げる

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

佐々木真帆は、資金繰りコンサルタントとして活躍する金融のプロフェッショナルである。大手銀行での融資審査経験から独立コンサルタントとしての現在まで、一貫して「企業の生命線である資金繰り」に焦点を当て、その知見を惜しみなく共有している。

目次