資金繰りは多くの中小企業経営者にとって悩みの種です。
特に、売掛金の入金待ちで手元資金が不足する際、ファクタリングは迅速な資金調達手段として有効です。
しかし、「一度利用したら便利で、つい何度も頼ってしまう」「繰り返し使うことにリスクはないのだろうか?」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

私が銀行員時代からファクタリング業界で20年近く見てきた中で、ファクタリングを上手に活用している企業もあれば、依存から抜け出せなくなった企業も少なくありません。
この記事では、ファクタリングの繰り返し利用(リピートファクタリング)に焦点を当て、そのメリットと注意点を徹底解説します。
さらに、単なる一時しのぎで終わらせず、長期的な視点でファクタリングを賢く活用し、健全な経営につなげるための具体的な方法まで踏み込んでご紹介します。
この記事を読めば、リピート利用に関する疑問や不安が解消され、自社にとって最適な資金繰り戦略を描くヒントが得られるはずです。


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👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所
平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)
リピートファクタリングとは? 正しい理解が第一歩
ファクタリングを繰り返し利用する前に、そもそも「リピートファクタリング」とは何か、そして避けるべき違法行為との違いをしっかり理解しておきましょう。
ファクタリングの基本と「繰り返し利用」の意味
そもそもファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(未回収の請求書債権)を、専門業者に売却して早期に資金化する手法です。
例えば、A社がB社に対して100万円の売掛金を持っており、支払期日まであと2ヶ月ある場合、A社はファクタリング会社にこの債権を売却することで、即日〜数日以内に資金(例えば90万円)を手に入れることができます。
支払期日になればB社からファクタリング会社に100万円が支払われ、取引が完了します。
「リピートファクタリング」には主に2つの意味があります。
❶同じファクタリング会社を継続して利用すること
- 一度利用して信頼関係ができた業者に、別の債権を売却する場合
- 例:先月C社向け債権を売却し、今月はD社向け債権を同じファクタリング会社に売却
❷同じ取引先の売掛金を継続的に売却すること
- 例:毎月発生するB社向けの売掛金を、毎回ファクタリングする場合
私がファクタリング会社で働いていた頃、多くのお客様が「リピーター」となり、定期的に売掛金を売却されていました。
それ自体は問題ないどころか、多くのファクタリング会社が「リピート利用歓迎」と謳っているほどです。
ただし、ここで一つ重要な注意点があります。
絶対NG!「二重譲渡」との決定的な違い
リピートファクタリングを理解する上で最も重要なのは、「二重譲渡」という違法行為との違いをはっきり認識することです。
二重譲渡とは、同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する行為です。
これはリピート利用とは全く異なります。
例えば、
- 【リピート利用(合法)】4月に発生したA社向け売掛金をX社に売却、6月に発生した同じA社向けの別の売掛金をX社(または別のY社)に売却
- 【二重譲渡(違法)】4月に発生したA社向け売掛金をX社に売却した後、同じ債権をY社にも売却
二重譲渡は日本の民法上明確に禁止されており、詐欺罪(懲役10年以下)や横領罪(懲役5年以下、業務上の場合は10年以下)に問われる重大な犯罪行為です。
二重譲渡は意図的であろうとなかろうと、刑事罰の対象となる可能性があります。売掛債権の管理を徹底し、どの債権をいつ、どこに売却したかを正確に記録しておくことが重要です。一度売却した債権は、もはやあなたの会社のものではないということを常に意識してください。
私がファクタリング業界で見てきた経験では、「リピート利用と二重譲渡の違いを理解していなかった」という理由で、意図せず法的トラブルに発展してしまったケースもありました。
このような事態を避けるためにも、売掛金の管理を徹底し、どの債権をいつ、どの会社に売却したかを正確に記録しておくことが大切です。


知っておきたい!リピートファクタリング 5つのメリット
ファクタリングを繰り返し利用することには、いくつかの明確なメリットがあります。
銀行での融資審査担当やファクタリング業界での経験から、多くの企業がこれらのメリットを享受している事例を見てきました。
圧倒的なスピード!2回目以降の手続き簡略化と迅速な資金化
ファクタリングの最大の魅力の一つが「スピード」ですが、これは繰り返し利用することでさらに向上します。
初回利用時と2回目以降では、手続きや審査プロセスに大きな違いがあります。
初回利用時の一般的な流れ:
- 問い合わせ・見積もり依頼(売掛金の額や取引先情報を提供)
- 書類提出(請求書写し、取引基本契約書、通帳履歴、決算書、身分証明など)
- 審査(取引先の信用力や取引実態の確認)
- 契約締結(対面またはオンライン)
- 債権譲渡通知(3社間ファクタリングの場合)
- 入金(通常1〜3営業日)
2回目以降:
- 問い合わせ・見積もり(売却したい債権の情報提供)
- 請求書の写しなど最小限の書類提出
- 簡易審査(過去の取引履歴を参考に迅速化)
- 契約締結(多くの場合、包括契約や簡易手続きで対応)
- 入金(最短で即日、場合によっては数時間以内)
私のファクタリング会社での経験では、継続的に利用いただいているお客様の場合、申込みから入金まで最短1時間という事例もありました。
これは初回の数日に比べると圧倒的な差です。
特に「同じ取引先の売掛金を繰り返し売却」するケースでは、ファクタリング会社側も与信管理がしやすく、その分手続きの簡略化が図れるのです。
条件改善も?手数料の引き下げや買取率アップの可能性
リピート利用の最も嬉しいメリットの一つが、条件の改善可能性です。
ファクタリング業界では基本的に、「お得意様」には良い条件を提示する傾向があります。
以下は、継続利用による条件改善の例です。
条件項目 | 初回利用時 | リピート利用時(3回目以降) | メリット |
---|---|---|---|
手数料率 | 10%〜15% | 7%〜10% | コスト削減 |
買取率 | 85%〜90% | 90%〜93% | 調達額増加 |
審査時間 | 1〜3営業日 | 数時間〜半日 | 資金化スピード向上 |
必要書類 | 10種類前後 | 請求書等2〜3種類 | 手続き簡素化 |
※あくまで一例であり、会社によって条件は異なります
ファクタリング会社は、過去の取引履歴から「この会社は期日通りに支払ってくれる信頼できる取引先だ」と判断すれば、より良い条件を提示することが可能になります。



私が実際に見てきた例では、初回は手数料15%だったお客様が、3回目以降は7%台まで下がったケースもありました。
ただし、必ずしも条件が改善するとは限りません。
市場環境や売掛先の信用状況、ファクタリング会社の方針などによって変動する点は覚えておきましょう。
継続的な資金繰り改善とキャッシュフローの安定化
リピートファクタリングの戦略的利用により、企業のキャッシュフローを安定させることができます。
特に入金サイクルと支払いサイクルにズレがある業種では効果的です。
例えば建設業の場合:
- 外注業者への支払い:工事進行に合わせて毎月発生
- 元請けからの入金:工事完了後、検収を経て60〜90日後
このようなケースでは、毎月発生する支払いに対して、元請けへの請求書をファクタリングすることで資金繰りを安定化させることができます。


実際に私がサポートした建設会社では、大型案件受注時に定期的なファクタリングを組み合わせた資金計画を立案し、無理なく事業拡大を実現した例がありました。
計画的なリピート利用により、以下のようなメリットが生まれます。
- 資金繰りの予測可能性向上:いつ、いくらの資金が入るか事前に把握できる
- 支払遅延リスクの低減:外注先への支払遅延を防ぎ、信頼関係を維持
- 事業拡大への対応:新規案件の受注やビジネスチャンスを逃さない
銀行融資が難しい状況でも活用しやすい柔軟性
銀行での融資業務に携わっていた経験から言えることですが、赤字決算や税金滞納がある場合、銀行融資の審査通過は非常に厳しくなります。
一方、ファクタリングは企業の財務状況よりも売掛先の信用力を重視するため、経営状況が芳しくない時期でも利用できる可能性が高いのです。
具体的に融資では難しいが、ファクタリングなら利用可能なケース:
- 決算書が2期連続赤字
- 税金の滞納がある
- 借入金の返済遅延歴がある
- 創業間もない(業歴が浅い)
さらに、リピート利用の場合は過去の取引実績もプラス評価され、審査のハードルがさらに下がることもあります。
つまり、「金融機関から一時的に見放されてしまった時期を乗り切るためのツール」としても、ファクタリングの繰り返し利用は選択肢に入るのです。
資金調達手段の多様化による経営リスク分散
資金調達を銀行融資だけに頼っていると、金融環境の変化や自社の業績悪化時に大きな影響を受けるリスクがあります。
私が銀行員時代に見てきた経営危機の多くは、「融資が突然止まった」ことがきっかけでした。
ファクタリングをレギュラーな資金調達手段に加えることで、資金調達の多角化につながります。
- 金融機関の融資姿勢変更に対するリスクヘッジ
- 予期せぬ大型受注や緊急出費に対する即応性の確保
- 銀行取引において交渉力の維持
- 資金調達の選択肢が増えることによる心理的安心感
実際のケースでは、銀行融資とファクタリングを組み合わせることで、銀行には長期的な設備投資資金を、ファクタリングには短期の運転資金をと、目的に応じた使い分けをしている企業も少なくありません。
経営環境が急変する現代においては、このような資金調達の多角化は企業の生存戦略として重要性を増しています。
要注意!リピートファクタリングに潜む4つの落とし穴
ファクタリングの繰り返し利用には明確なメリットがある一方で、知っておくべきリスクやデメリットも存在します。
私がファクタリング業界で見てきた失敗例を踏まえて、以下の注意点を押さえておきましょう。
「塵も積もれば…」手数料負担の累積による利益圧迫
ファクタリングの手数料率は一般的に2%〜30%と幅広く、その差は売掛先の信用度や支払期日までの期間、利用企業の状況などによって決まります。
一見少額に見える手数料も、繰り返し利用することで大きな負担となります。
手数料の累積例(毎月100万円の売掛金をファクタリングする場合):
手数料率 | 1回あたりの手数料 | 年間利用(12回)の総手数料 | 売上高が1億円の企業の場合の利益率への影響 |
---|---|---|---|
5% | 5万円 | 60万円 | 0.6% |
10% | 10万円 | 120万円 | 1.2% |
15% | 15万円 | 180万円 | 1.8% |
20% | 20万円 | 240万円 | 2.4% |
中小企業の平均利益率が3〜5%程度であることを考えると、手数料の累積は決して小さくない負担です。



私が支援したあるお客様は、気づかないうちに年間約300万円の手数料を支払っていました。
これは同社の年間利益の約15%に相当する金額だったのです。
「自転車操業」と呼ばれる状態に陥るリスクもあります。
今月の支払いのためにファクタリングで資金を得て、その手数料負担が増えるため来月もファクタリングが必要になる…という悪循環です。
抜け出せない?ファクタリング依存と資金繰り悪化の悪循環
ファクタリングの最大の特徴は「将来入金予定の売掛金を先に現金化する」点にあります。
つまり、将来の入金を前借りしている状態です。
これを繰り返していると、常に「資金が先食い状態」となり、ファクタリングなしでは資金繰りが回らなくなる危険性があります。
⚠️ ファクタリング依存の悪循環の例:
- 今月の資金不足を補うためにファクタリングを利用
- 来月入金予定だった売掛金が前倒しで入金(ただし手数料分が差し引かれる)
- 来月になると、今月前借りした分が入らないため再度資金不足に
- また次の月の売掛金をファクタリング
- 手数料負担がどんどん増え、資金不足も拡大
私が実際に見た例では、元々100万円の一時的な資金不足を補うためにファクタリングを利用したお客様が、3年後には毎月300万円のファクタリングが必要になっていました。
これは「ファクタリング依存」と呼ばれる状態で、抜け出すには相当な努力が必要になります。
取引先にバレると…信用不安を招く可能性(特に3社間)
ファクタリングには「2社間」と「3社間」の2つの形態があります。
2社間ファクタリングは、あなたの会社とファクタリング会社の間で契約が完結し、売掛先(あなたの取引先)には通知されません。
一方、3社間ファクタリングでは、売掛先にも債権譲渡の通知が行われます。
3社間ファクタリングを繰り返し利用すると、取引先に「この会社は資金繰りが苦しいのでは?」という印象を与えるリスクがあります。
実例として、ある製造業のお客様は主要取引先に対して3社間ファクタリングを複数回利用した結果、「経営状態に不安がある」と判断され、新規案件の発注を見送られてしまったケースがありました。
さらに深刻なケースでは、取引先から「今後の取引継続が難しい」と言われてしまうこともあります。
特に保守的な大企業との取引では、この「信用リスク」は無視できない要素です。
甘い言葉にご用心!悪質業者や高利貸し同然の契約リスク
ファクタリング業界の大きな課題の一つは、法的規制が不十分である点です。
ファクタリングは基本的に「売買契約」であり貸付ではないため、貸金業法の適用対象外となっています。
そのため、誰でも比較的容易にファクタリング業を始められる環境にあり、残念ながら悪質な業者も存在します。
- 手数料率が極端に高い(30%以上)
- 前払い手数料を要求する
- 契約書の内容が不明瞭
- 事務所が実体のないバーチャルオフィス
- 設立間もない(実績が少ない)
- ウェブサイトに会社概要や代表者名が明記されていない
金融庁も「ファクタリングの利用に関する注意喚起」を発出しており、一部の業者が事実上の高利貸しとして機能している事例を指摘しています。
私の経験上、資金繰りに追い詰められた企業ほど、このような悪質業者の被害に遭いやすい傾向があります。
🔍 専門家のアドバイス
ファクタリング会社を選ぶ際は、必ず複数社から見積もりを取りましょう。手数料率だけでなく、会社の実績、口コミ、契約内容の透明性などを総合的に判断することが重要です。また、契約前に不明点があれば必ず質問し、納得できない場合は契約を見送るべきです。資金調達は焦りが禁物です。
失敗しない!リピートファクタリング 賢者の選択基準
ここまでメリットとリスクを見てきましたが、では実際にファクタリングを繰り返し利用する場合、どのような点に注意すべきでしょうか。
私の長年の経験から導き出した「賢者の選択基準」をご紹介します。
契約書は隅々までチェック!手数料・償還請求権(リコース/ノンリコース)の確認
ファクタリング契約で最も重要な確認ポイントは以下の通りです。
必ず確認すべき契約条項:
❶手数料率とその計算方法
- 手数料が売掛金額の何%か
- 計算方法(売掛金の総額に対してか、買取金額に対してか)
- 追加費用の有無(事務手数料、振込手数料など)
❷償還請求権の有無
- ノンリコース契約(償還請求権なし):売掛先が倒産などで支払えなくなっても、ファクタリング会社が損失を負担
- リコース契約(償還請求権あり):売掛先からの回収が不能の場合、あなたの会社が買取代金を返済する義務あり
❸支払期限・支払条件
- 入金日の明確な記載
- 必要書類や条件の詳細
❹違約金・遅延損害金
- リコース契約の場合、支払遅延時のペナルティ



私がよく見る失敗例として、「契約書をよく読まずに署名してしまい、想定外の追加費用が発生した」というケースがあります。
特にリコース契約の場合、取引先の支払遅延リスクまでも背負うことになるため、十分な注意が必要です。
日本のファクタリング契約は主にノンリコース契約が一般的ですが、会社によってはリコース契約を採用していることもあります。
信頼できる業者の見極め方(実績・透明性・口コミ)
悪質なファクタリング業者を避けるためには、以下のポイントで会社を評価することが重要です。
信頼できるファクタリング会社の特徴:
- 運営実績と企業規模
- 設立から3年以上の実績
- 明確な会社所在地(実体のあるオフィス)
- 金融機関や事業会社のグループ企業であれば安心度高
- 情報開示の透明性
- 手数料率の明示(極端に低い手数料を謳っていないか)
- 会社概要・代表者名の開示
- 取引実績や顧客の声の掲載
- 対応の迅速性と丁寧さ
- 質問への回答スピードと正確さ
- 専門用語をわかりやすく説明してくれるか
- 強引な勧誘がないか
- 業界団体への加盟
- 日本ファクタリング業協会などへの加盟
- 金融庁の登録(貸金業者登録は不要だが、持っていれば一定の信頼性あり)
私の経験では、初回の問い合わせ時の対応だけでも、その会社の信頼性をある程度判断できます。
質問に対して具体的で丁寧な回答をする会社は、契約後のサポートも期待できるでしょう。
業者選びのNG例:
- ウェブ広告の「即日払い」「審査なし」だけで決めてしまう
- 料金比較だけで最安値を選ぶ
- 会社概要や実績を確認せずに契約する
「相見積もり」で有利な条件を引き出す交渉術
ファクタリングを繰り返し利用する場合、常に最良の条件を引き出すためには「相見積もり」の習慣が大切です。
最低3社から見積もりを取得する
- 大手ファクタリング会社1〜2社
- 中小規模の専門業者1〜2社
- 地域密着型の業者があれば加えて検討
単純な手数料率だけでなく総合的に評価
- 手数料率(最重要)
- 資金化までのスピード
- 必要書類の多寡
- 継続利用時の条件改善可能性
条件交渉のテクニック
- 他社の条件を伝えて競合させる
- 継続利用を前提とした条件交渉
- 複数の売掛先をまとめて取引する条件での交渉
例えば私の顧客の一社は、最初15%の手数料を提示されていましたが、他社の見積もり(12%)を伝えて交渉した結果、10%まで引き下げられました。
さらに「年間で○○件利用する予定」と伝えることで、継続的な取引を前提とした優遇条件を引き出すこともできます。
- 過去の取引実績(遅延なし)をアピール
- 将来の取引予定を伝える
- 売掛先の多様化(リスク分散)を提案
資金使途の明確化と費用対効果のシミュレーション
ファクタリングを繰り返し利用する際に陥りがちな罠は、「資金使途の曖昧さ」です。
手数料を払ってまで調達する資金ですから、その使い道と効果を事前に計画することが不可欠です。
使途の明確化と優先順位付け
- 外注先への支払い
- 材料・商品の仕入れ
- 人件費や家賃など固定費
- 新規投資や設備導入
ROI(投資収益率)の計算
- 手数料コスト:例えば100万円の売掛金に対して10万円の手数料
- 期待できるリターン:早期支払いによる仕入れ割引、機会損失回避など
- ROI = リターン ÷ コスト(1.0以上であれば有効)
シナリオ分析
- 最良のケース(予定通りの効果が出た場合)
- 最悪のケース(期待した効果が出なかった場合)
- 現実的なケース(中間的な結果)
私のファクタリング会社での経験では、成功している企業は必ず「この資金で何をして、どれだけのリターンを得るか」という視点を持っていました。



例えば、あるアパレル企業は季節商品の早期仕入れのためにファクタリングを利用し、早期販売による追加売上が手数料を大幅に上回る結果となりました。
一方、単に資金繰りを回すだけの「その場しのぎ」な利用では、長期的には手数料負担だけが残ってしまいます。
【実践編】ファクタリング依存からの脱却!長期的な活用戦略
ここからは、ファクタリングを単なる資金繰り対策ではなく、経営改善のための戦略的ツールとして活用する方法をご紹介します。
私が多くの中小企業の資金繰り改善を支援してきた経験から導き出した実践的なアドバイスです。
「いつまでに、いくらまで」利用計画と出口戦略を立てる
ファクタリングの繰り返し利用で最も重要なのは、明確な「出口戦略」を持つことです。
「いつかはファクタリングに頼らなくても済む状態を目指す」という意識がなければ、依存から抜け出すことは困難です。
具体的な計画立案ステップ:
❶ 現状分析
- 月次の資金繰り表の作成
- 資金不足額と頻度の把握
- ファクタリング利用額と手数料負担の確認
❷ 目標設定
- 短期目標(3ヶ月):例「月間ファクタリング額を20%削減」
- 中期目標(1年):例「特定の売掛先だけファクタリング利用に限定」
- 長期目標(3年):例「緊急時以外のファクタリング利用をゼロに」
❸ アクションプラン
- 毎月の利用上限額の設定
- 段階的な削減計画
- 代替資金調達手段の開拓スケジュール
私のお客様の中で成功した例では、最初は月200万円のファクタリングを利用していた製造業が、3ヶ月ごとに20万円ずつ削減する計画を立て、2年後には緊急時以外ファクタリングに頼らない体質に改善しました。
計画を立てる際は、現実的な数字を設定することが重要です。
無理な計画は挫折の原因となり、かえって依存度を高める結果になりかねません。
ファクタリングは「つなぎ資金」と割り切る勇気
ファクタリングを健全に活用するには、その位置づけを明確にすることが大切です。
手数料コストの性質上、ファクタリングは「恒常的な運転資金」ではなく「一時的なつなぎ資金」と割り切るべきです。
「つなぎ資金」として適している状況:
- 銀行融資実行までの短期間
- 例:融資申請中だが、審査完了まで1ヶ月かかる場合
- 季節的な資金需要の対応
- 例:アパレル業の季節商品仕入れ、観光業の繁忙期前の設備投資
- 急な大口受注への対応
- 例:通常の5倍の大型注文が入り、材料調達資金が必要
- 予期せぬ緊急出費への対応
- 例:設備故障による緊急修理費用
私の経験では、「つなぎ資金」として利用し、明確な終了時期を設定している企業は、ファクタリング依存に陥るリスクが大幅に低減します。
ある建設会社では、大型公共工事の受注時のみファクタリングを利用するルールを設け、それ以外の通常案件では使わないようにしていました。
この「例外的な利用」という位置づけが、依存を防ぐ重要なマインドセットとなります。
同時並行で進めるべき経営改善策(コスト削減・売上向上)
ファクタリングはあくまで「時間を買う」ための手段です。
その時間を有効活用し、根本的な経営改善を進めなければ、真の解決には至りません。
同時進行すべき経営改善策:
- コスト削減
- 固定費の見直し(家賃、人件費、サブスクリプション等)
- 変動費の効率化(仕入れ条件交渉、在庫最適化)
- 非効率な業務プロセスの改善
- 売上向上
- 既存顧客へのアップセル・クロスセル
- 新規顧客開拓
- 高利益率商品・サービスへのシフト
- キャッシュフロー改善
- 売掛金回収期間の短縮交渉
- 仕入れ・支払いサイトの延長交渉
- 在庫回転率の向上
私が支援した会社の成功例として、ファクタリングで時間を稼ぎながら、同時に主要取引先との支払条件交渉を進め、30日サイトを45日に延長することに成功したケースがあります。
この取り組みにより、恒常的な資金ショートが解消され、ファクタリング依存から脱却できました。
重要なのは「ファクタリングで一息ついたら安心」とせず、その時間を使って根本的な改善に取り組む姿勢です。
銀行融資への切り替え準備(信用力向上への取り組み)
長期的には、ファクタリングよりも低コストな銀行融資へシフトすることが理想的です。
そのためには、銀行の信用を得るための取り組みが不可欠です。
財務改善
- 黒字決算の達成・維持
- 自己資本比率の向上
- 借入金返済の正常履行
税務関連
- 税金の完納(特に消費税、法人税)
- 税理士監修による適正な決算書作成
- 経理体制の強化
取引関係
- メインバンクとの関係強化(定期的な面談)
- 信用保証協会との関係構築
- 業界団体や商工会議所の活用
事業計画
- 具体的な事業計画書の作成
- 融資担当者が理解しやすい資料準備
- 返済計画の明確化



私が銀行員時代の経験から言えることですが、融資判断において重視されるのは「返済能力」と「経営者の誠実さ」です。
特に後者は数字には表れにくいものの、きちんと情報開示し、計画的な経営を行っている姿勢を見せることが重要です。
ある卸売業のお客様は、毎月の資金繰り表をメインバンクに提出し続けたことで信頼関係を構築し、それまでファクタリングに頼っていた運転資金を融資に切り替えることに成功しました。
状況別アドバイス:成長期/停滞期/赤字期の賢い使い方
企業の状況によって、ファクタリングの最適な活用法は異なります。
自社の現状を正しく認識し、それに合わせた戦略を選択することが重要です。
【成長期】積極的投資の資金として活用
成長中の企業にとって、ファクタリングは成長機会を逃さないための強力なツールになります。
- 活用法:受注増加に伴う材料・商品の仕入れ資金として
- ポイント:成長による増収で手数料コストを相殺できるなら積極活用も可能
- 注意点:成長が一段落したら、銀行融資などより低コストの調達手段に切り替える
- 成功例:IT企業が大型案件の開発費用をファクタリングでまかない、その後の継続取引で十分な利益を確保
【停滞期】事業再構築の時間稼ぎとして
成長が止まっている企業は、事業モデルの見直しが必要な時期かもしれません。
- 活用法:事業再構築のための一時的な資金として
- ポイント:必ず「何のために時間を買うのか」目的を明確に
- 注意点:漫然と利用せず、期限付きの再建計画と併用
- 成功例:中小製造業が主力製品の販売不振時に、新製品開発期間中の運転資金としてファクタリングを活用し、業績V字回復
【赤字期】経営改善に向けた最小限の活用
赤字が続いている状況では、ファクタリングの利用も慎重に行う必要があります。
- 活用法:絶対に必要な支払い(人件費や外注費など)に限定
- ポイント:抜本的なコスト削減・事業再生計画を同時に進める
- 注意点:「赤字垂れ流し」の延命策にしない
- 成功例:飲食業が厳しい経営状況の中、店舗縮小と業態転換を決断。その移行期間の資金をファクタリングで確保し、6ヶ月後に黒字化達成
どの状況であっても共通するのは、「ファクタリングはゴールではなく、目標達成のための一時的な手段」という認識です。
この認識があれば、依存のリスクを大きく減らすことができます。
よくある質問(FAQ)
ファクタリングの繰り返し利用に関して、私がこれまで多くの経営者から受けてきた質問とその回答をまとめました。
Q: ファクタリングを毎月のように繰り返し使うのは、やはり危険ですか?
A: 危険性はあります。
手数料負担が累積し利益を圧迫したり、ファクタリングなしでは資金繰りが回らない依存状態に陥るリスクがあります。
特に「資金繰りが苦しいから」という理由だけで毎月利用し続けると、手数料負担が増える一方で根本的な解決にはなりません。
ただし、計画的に利用し、同時に経営改善策を実行しているなら、一時的な継続利用は有効な場合もあります。
必ず経営改善策とセットで考え、出口戦略を持つことが重要です。
漫然とした継続利用は避けるべきでしょう。
Q: 2回目以降の利用で、手数料は必ず安くなりますか?
A: 必ず安くなるとは限りませんが、可能性はあります。
同じファクタリング会社を継続利用し、期日通りに支払いを行うなど良好な取引実績を積むことで、信頼関係が生まれ、手数料率の引き下げや買取率の向上といった条件改善を交渉しやすくなる場合があります。
私の経験では、3回目以降の利用で条件が改善されるケースが多いですが、市況や売掛先の状況、ファクタリング会社の方針によって変動します。
改善を期待するなら、積極的に交渉することをお勧めします。
Q: うっかり同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売ってしまいそうです…
A: 絶対に避けてください。
これは「二重譲渡」という違法行為にあたり、詐欺罪などに問われる可能性があります。
意図的でなくても、結果として法的責任を問われるリスクがあります。
売掛金管理を徹底するため、以下の対策を取りましょう:
- 売掛金の管理台帳を作成し、ファクタリング利用の有無を明記
- 契約時に必ず「この売掛金は他社に譲渡していない」ことを確認
- 経理担当と営業担当で情報を共有し、二重譲渡リスクを防止
不安な場合は、利用前に必ず確認しましょう。
Q: ファクタリング依存から抜け出すには、具体的にどうすれば良いですか?
A: まずは「なぜファクタリングが必要なのか」根本原因を分析します。
その上で、以下のステップを踏むことをお勧めします。
❶ 現状把握と目標設定
- 月次の資金繰り表を作成
- ファクタリング利用額と手数料負担を明確化
- 段階的な削減目標を設定(例:6ヶ月で30%削減)
❷ キャッシュフロー改善
- 売掛金回収の短期化交渉
- 支払いサイトの延長交渉
- 在庫の適正化
❸ 代替資金調達手段の開拓
- 銀行融資の可能性検討
- 信用保証協会付き融資の申請
- 公的融資制度の活用
❹ 収益構造の改善
- 不採算事業・商品の見直し
- 固定費の削減
- 利益率の高い商品・サービスへの注力
私が支援した企業では、この4ステップを1年かけて実行し、毎月のファクタリング依存から脱却できたケースがあります。
焦らず、着実に取り組むことが大切です。
まとめ
ファクタリングの繰り返し利用(リピートファクタリング)は、迅速な資金調達や手続きの簡便化といったメリットがある一方、手数料負担の増加や依存リスクといった注意点も存在します。
重要なのは、これらのメリット・デメリットを正しく理解し、自社の状況に合わせて計画的に活用することです。



20年近くファクタリングと関わってきた私の経験から言えることは、ファクタリングは「使い方次第」の金融ツールだということ。
単なる場当たり的な資金繰り対策としてではなく、経営改善に向けた戦略の一部として位置づけ、明確な目的と出口戦略を持って利用することが、長期的な成功の鍵となります。
特に重要なのは以下の3点です。
- リピート利用と二重譲渡の違いを理解し、法的リスクを避ける
- 手数料負担の累積を常に意識し、費用対効果を計算する
- ファクタリングで時間を買いながら、並行して根本的な経営改善を進める
悪質業者を避け、信頼できるパートナーを選び、契約内容をしっかり確認することも忘れてはなりません。
もし、ファクタリングの活用方法や資金繰り全般についてお悩みであれば、一人で抱え込まず、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
この記事が、皆様の健全な企業経営の一助となれば幸いです。


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