元国税調査官が語るファクタリングと税務調査|脱税と疑われないための会計処理とは

こんにちは。「ファクタリング賛否両論事務局」の山崎正典です。

特に、急な資金ニーズに応えてくれるファクタリングは非常に便利な資金調達手段ですが、その一方で、

「税務調査で指摘されないだろうか?」
「会計処理を間違えて、脱税を疑われたらどうしよう…」

という不安の声を、本当によく耳にします。

山崎正典

経営者の皆様は、日々孤独の中で様々な決断を迫られています。税務という専門的な領域で、新たな不安を抱えてしまうのは当然のことです。

そこで今回は、この記事を読んでくださるあなたの不安を完全に解消するため、特別に元国税調査官の方にお話を伺う機会を得ました。

この記事では、税務調査の最前線にいたプロの視点から、

  • ファクタリングの会計処理で「どこが」「なぜ」問題になるのか
  • 税務署が「脱税」を疑うのは、具体的にどんなケースなのか
  • 税務調査に怯えることなく、自信を持ってファクタリングを活用するための具体的な対策

これらを、私の銀行員・ファクタリング実務経験も交えながら、日本一分かりやすく、そして徹底的に解説していきます。

【この記事の結論】ファクタリングと税務調査

質問(ユーザーが知りたいこと)結論(この記事の答え)
ファクタリングは税務調査の対象になる?はい、対象になります。特に「売掛債権の二重譲渡」や「個人事業主の申告漏れ」が疑われるケースで調査されやすいです。
税務調査でチェックされるポイントは?「契約書」「請求書」「入出金を示す通帳」の3点です。これらが取引の実態を証明する重要な証拠となります。
ファクタリングの勘定科目は?売掛金を「未収入金」として処理するのが一般的です。手数料は「売上債権売却損」として計上します。
税務調査を避ける対策は?優良なファクタリング会社を選び、契約書や請求書などの関連書類を7年間保管することが最も重要です。

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目次

ファクタリングの税務会計|元国税調査官が語る大原則

まずは最も基本的な部分から押さえていきましょう。
元国税調査官の方は、開口一番こう言いました。

元国税調査官

「税務署は、まず取引の『実態』を見ます。契約書の名前や名目がどうであれ、その取引が本質的に何なのか、という一点から全てが始まります」

この言葉こそ、ファクタリングの税務を理解する上での大原則です。

ファクタリングは「借入」ではなく「債権売却」である

私が銀行員だった頃、融資、つまり「借入(デットファイナンス)」は企業の代表的な資金調達方法でした。
これは、お金を借りて、後で利息を付けて返す「負債」の取引です。

一方で、ファクタリングは全く性質が異なります。
これは、あなたの会社が持つ「売掛金(売上債権)」という資産を、ファクタリング会社に売却する取引です。

元国税調査官

「税務署は、この『借入』と『債権売却』を明確に区別します。もしファクタリングを借入と同じように処理していれば、『この会社は取引の実態を正しく理解していないのではないか?』という疑いの入り口になります」

この区別が、後の会計処理や税務調査への対応における全ての基礎となります。
まずは「ファクタリング=債権の売却」という事実を、しっかりと頭に刻んでください。

なぜ税務署はファクタリング取引に注目するのか?

では、なぜ税務署は数ある取引の中でもファクタリングに注目するのでしょうか。
その問いに、元国税調査官の方は少し厳しい表情でこう答えました。

元国税調査官

「単刀直入に言えば、資金繰りに窮した企業が悪用しやすいスキームだからです。もちろん大半の企業は健全な目的で利用していますが、過去には所得隠しや粉飾決算の温床になったケースが残念ながら存在します。そのため、我々は性悪説とまでは言いませんが、一定の『疑いの目』を持って取引内容を確認せざるを得ないのです」

私がファクタリング会社で見てきた肌感覚では、99%以上の経営者様は、事業を前に進めるために真摯にファクタリングを利用されています。
しかし、ごく一部に不適切な利用者がいたことも事実です。

だからこそ、健全な利用者が「疑いの目」を向けられても堂々と説明できるよう、正しい知識を身につける必要があるのです。

ファクタリング手数料は「売上債権売却損」として100%経費に

ここが実務で最も間違いやすいポイントです。
ファクタリングを利用する際に支払う手数料。これは、会計上どの勘定科目で処理すべきでしょうか。

正解は「売上債権売却損」です。

元国税調査官

「『支払利息』で計上するのは典型的な誤りです。先ほども言ったように、ファクタリングは借入ではありません。借入でもないのに利息が発生するのは、取引の実態と会計処理が矛盾している証拠です。これは調査官にとって非常に分かりやすい指摘事項になります」

銀行融資の金利と同じような感覚で「支払利息」として処理してしまうと、税務調査で「この会社は経理の基本を理解していない」という印象を与えかねません。

逆に言えば、「売上債権売却損」として正しく費用計上することで、その手数料の全額を損金として算入でき、結果として法人税の節税に繋がるというメリットもあります。
正しい会計処理は、あなたの会社を守るだけでなく、メリットももたらしてくれるのです。

関連記事: ファクタリング手数料の相場は5〜18%!?手数料を賢く抑える方法

元国税調査官が明かす「税務署が最も警戒する3つの不正」

税務調査で「知らなかった」は通用しません。
ここでは、元国税調査官が「これだけは絶対にやってはいけない」と語気を強めた、最も警戒される3つの不正行為について解説します。
これらは単なる申告ミスではなく、犯罪として扱われる可能性があるものです。

ケース1:架空売掛金による資金調達

これは、存在しない売掛金を請求書偽造などによって作り出し、それをファクタリング会社に売却して資金を得る行為です。

元国税調査官

「これは最も悪質で、計画的な詐欺行為と見なされます。税務調査で発覚すれば、重加算税(最大40%)の対象となるだけでなく、ファクタリング会社から刑事告発される可能性も極めて高いです」

私がファクタリング会社にいた頃も、審査部門はこれを最も警戒していました。
請求書だけでなく、過去の取引履歴や通帳の入金実績など、複数の視点から売掛金の実在性を徹底的に確認します。
安易な気持ちで手を染めれば、会社の未来を全て失うことになる、絶対に越えてはならない一線です。

ケース2:売掛金の二重譲渡

これは、同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売却して、資金を二重に得る行為です。

元国税調査官

「例えるなら、1つの商品を2人のお客さんに売るのと同じです。これも明白な詐欺罪に該当する重大な犯罪行為です」

特に、取引先に通知がいかない「2社間ファクタリング」で起こりやすい不正です。
しかし、これも必ず発覚します。

なぜなら、多くのファクタリング会社は契約時に「債権譲渡登記」という手続きを行うからです。
これは法務局に「この債権はうちのものです」と登録する制度で、後から譲渡を受けようとした会社が登記情報を確認すれば、二重譲渡であることは一目瞭然なのです。

ケース3:売掛金の入金隠しと横領(2社間ファクタリング)

これは2社間ファクタリング特有のリスクです。
2社間ファクタリングでは、売掛先からあなたの会社の口座に一度売掛金が入金され、それをファクタリング会社に送金する、という流れになります。

元国税調査官

「利用者の口座に入金されたお金は、あくまでファクタリング会社に渡すための一時的な預かり金に過ぎません。これを別の支払いに充てたり、使い込んだりすれば、それは会社の売上ではなく、他人の財産を盗んだことになり、業務上横領罪に問われます」

「少しだけなら…」という誘惑が、経営者人生を終わらせる引き金になりかねません。
このリスクを正しく理解することが、2社間ファクタリングを利用する上での絶対条件です。

元国税調査官が明かす!
税務署が最も警戒する3つの不正

【実践編】脱税と疑われないための具体的な会計処理と証拠保全

ここからは、あなたの会社を税務調査から守るための、具体的な実践方法を解説します。
「習うより慣れよ」です。具体的な仕訳例を見ながら、ポイントを掴んでいきましょう。

2社間ファクタリングの仕訳フロー

【例】100万円の売掛金を、手数料10万円(売却損10万円)でファクタリングした場合

  1. ファクタリング契約・入金時
    • ファクタリング会社から90万円が入金されます。
勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
普通預金900,000円売掛金1,000,000円
売上債権売却損100,000円
  1. 売掛先からの入金時
    • 後日、売掛先から100万円があなたの口座に入金されます。
    • このお金はあなたの会社のものではなく、ファクタリング会社への「預り金」です。
勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
普通預金1,000,000円預り金1,000,000円
元国税調査官

「この『預り金』勘定を正しく使うことが、横領を疑われないための会計上の重要なポイントです。この処理がされていれば、調査官は『この経営者は、入金された資金が自社のものではないと明確に認識しているな』と判断します」

  1. ファクタリング会社への送金時
    • 預かっていた100万円をファクタリング会社に送金し、取引完了です。
勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
預り金1,000,000円普通預金1,000,000円

3社間ファクタリングの仕訳フロー

3社間の場合、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いが行われるため、仕訳はよりシンプルです。

【例】100万円の売掛金を、手数料5万円(売却損5万円)でファクタリングした場合

  • ファクタリング契約・入金時
    • ファクタリング会社から95万円が入金され、この時点で取引はほぼ完了です。
勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
普通預金950,000円売掛金1,000,000円
売上債権売却損50,000円
元国税調査官

「3社間ファクタリングは、お金の流れが明快で取引の透明性が非常に高い。そのため、税務署としても確認が容易で、不正の疑いは持たれにくいと言えるでしょう。税務上の観点からは、我々としても推奨したいスキームですね」

税務調査で「これを見せてください」と言われる書類一覧

税務調査は、書類が全てです。
元国税調査官は「我々は口頭での説明より、客観的な証拠を何よりも重視します」と断言します。
いざという時に慌てないよう、以下の書類は必ず整理・保管しておきましょう。

【税務調査 必須書類リスト】

  • ① ファクタリング契約書
    • 手数料率や契約条件など、取引の根幹を示す最重要書類です。
  • ② 売掛金の存在を証明する書類
    • 請求書、納品書、取引先との基本契約書など。「この売掛金は確かに存在した」ことを証明します。
  • ③ 入出金の流れがわかる通帳のコピー
    • ファクタリング会社からの入金、そして(2社間の場合)売掛先からの入金とファクタリング会社への送金の流れを客観的に示します。
  • ④ 取引先とのメール等のやり取り
    • 必須ではありませんが、取引の実在性を補強する証拠として有効です。

私が銀行員だった頃、融資審査でもこれらの書類は必ず確認していました。
金融機関も税務署も、「取引の真実性」を確認したいという点では同じです。
これらの書類を日頃からファイリングしておく習慣をつけることが、何よりの防御策となります。

元国税調査官が答える!ファクタリングと税務調査Q&A

最後に、経営者の皆様からよくいただく質問について、元国税調査官と私の視点からQ&A形式でお答えします。

Q: 個人事業主だと、法人より厳しく見られますか?

A: (元国税調査官)「はい、その傾向はあります。」

事業とプライベートの区別が曖昧になりがちなため、売上除外(売上を隠すこと)を疑われやすいのです。
だからこそ、法人以上に厳格な証拠管理、つまり先ほど挙げた書類の完璧な保管が求められます。
「これは事業用の取引だ」と誰が見ても分かるようにしておくことが重要です。

Q: 消費税の扱いはどうなりますか?

A: (山崎)「ファクタリングによる債権の売却は『非課税取引』です。」

これは国税庁の通達で明確に定められています。
したがって、ファクタリングの手数料に消費税はかかりません。
ただし、契約内容によってはコンサルティング料などの名目で別途消費税が課される場合もあります。契約書の内訳は必ず確認しましょう。

Q: 税務調査で、なぜファクタリングの利用理由を聞かれるのですか?

A: (元国税調査官)「不自然に高い手数料を払ってまで、なぜ急いで資金化する必要があったのか、その『取引の合理性』を知りたいからです。」

例えば、決算直前に赤字にする目的で、意図的に高い手数料を払って利益を圧縮したのではないか、といった点を疑います。
「急な大型案件の受注で仕入れ資金が必要だった」など、正当な資金繰りのためであったことを、事業計画書などを見せながら堂々と説明すれば何の問題もありません。

Q: 悪質なファクタリング業者と契約してしまった場合、税務上どうなりますか?

A: (山崎)「たとえ相手が違法な業者であっても、あなたの会計処理の義務がなくなるわけではありません。」

むしろ、取引の実態が不透明であるため、税務署からはより厳しく調査される可能性があります。
契約書が存在しない、手数料率が法外である、といったケースでは「これは本当に債権売却なのか?実質的な高利貸し(ヤミ金)ではないか?」と取引の根本から疑われます。
結局のところ、信頼できる業者を選ぶことが、税務リスクを回避する上でも極めて重要だということです。

まとめ:経営者の背中を押す、最後のメッセージ

今回は、元国税調査官の貴重な証言を基に、ファクタリングと税務調査の関係を深掘りしてきました。

最後に、重要なポイントをもう一度確認しましょう。

【税務調査を乗り切るための3つの鉄則】

  1. 事実認識:ファクタリングは「借入」ではなく「債権売却」であると正しく認識する。
  2. 会計処理:手数料は「売上債権売却損」で計上し、2社間の入金は「預り金」で処理する。
  3. 証拠保全契約書、請求書、通帳のコピーなど、取引の客観的な証拠を完璧に揃えておく。

元国税調査官が語るように、税務署は常に「取引の合理性」を見ています。

「なぜ、そのタイミングで、その手数料を払ってまで資金化が必要だったのか」

山崎正典

このシンプルな問いに、あなたの言葉で、そして客観的な書類で明確に答えられるようにしておくこと。
それが、あなたの会社を税務調査から守る、最強の盾となるのです。

私が銀行員、そしてファクタリングのプロとして見てきた数多の企業の歴史は、いつだって資金繰りの悩みと共にありました。
しかし、正しい知識という武器さえあれば、乗り越えられない壁はありません。

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この記事を書いた人

早稲田大学商学部で金融論を専攻後、2003年に都市銀行入社し法人営業で中小企業融資を担当。2017年にファクタリング専門会社へ転職し営業・企画業務に従事。2024年11月に「ファクタリング賛否両論事務局」を立ち上げ、銀行とファクタリング会社両方での経験を活かし、バランスの取れた視点でファクタリングに関する情報発信を行っている。

なぜ、赤字や債務超過でも3時間で資金調達できるのか?


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なぜ、赤字や債務超過でも3時間で資金調達できるのか?

著者:山崎 正典(当サイト管理人)
元銀行員 × ファクタリング専門家

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