ファクタリング利用の判断基準:資金繰り改善のベストタイミングと見極め方

「売上はあるのに、なぜかいつも現金が足りない」
「銀行に融資を申し込んだけれど、審査に落ちてしまった」
「取引先からの入金を待つ間に、支払いの締切が迫っている」——。

このような声は、私が銀行やファクタリング会社で中小企業の資金調達支援に携わってきた20年余の中で、幾度となく耳にしてきた切実な悩みです。
特に中小企業や創業間もない企業にとって、「売掛金の回収までのタイムラグ」は、事業成長の妨げにも、時には倒産リスクにも直結しかねない深刻な課題です。

こうした状況下で、選択肢の一つとして急浮上するのが「ファクタリング」です。
ファクタリングとは、売掛金(まだ回収していない請求書)をファクタリング会社に売却し、資金化する手法です。
銀行融資とは異なり、「借金ではない資金調達」として注目されており、資金繰りが逼迫した局面で極めて有効に機能します。

しかしながら、ファクタリングは「いつでも誰でも使えば良い」という万能薬ではありません。
手数料が高めに設定されていることもあり、使い方を誤れば、むしろ経営を悪化させる危険性もはらんでいます。

山崎正典

そのため、「今、本当にファクタリングを使うべきタイミングか?」を正しく見極めることが、経営判断として非常に重要になります。

本記事では、

  • ファクタリングが威力を発揮する「典型的なタイミング」
  • 利用すべきでない「要注意ケース」
  • 実際の利用プロセスと契約上の注意点
  • そしてファクタリングから脱却する「出口戦略」

までを、網羅的かつ実務目線で解説していきます。

執筆にあたっては、私自身が銀行で融資案件を数百件以上担当した経験、
さらにファクタリング専門会社での実務と商品開発経験を活かし、机上論ではなく、現場で培った「リアルな判断軸」をお伝えしていきます。

本記事が、資金繰りに悩む経営者の方々にとって、「使うべきか否か」の判断を助ける一助となれば幸いです。
それではまず、ファクタリングが特に力を発揮する5つの典型パターンから解説してまいりましょう。

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👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

ファクタリングが威力を発揮する「5つの典型的タイミング」

1. 売掛金回収の長期化で黒字倒産の危機に直面している時

「黒字倒産」という言葉をご存じでしょうか?
これは、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、手元の現金が不足し、支払い不能に陥って倒産してしまう現象です。

とくに建設業や製造業など、売掛金の回収までの期間(支払いサイト)が60日以上に及ぶ業種に多く見られます。
いくら売上が立っても、現金が入るのが2ヶ月先では、仕入れ・人件費・外注費などの支払いに耐えられず、キャッシュが枯渇してしまうのです。

✅ 典型事例:建設業A社のケース

例えば、ある中堅建設会社A社は、3,000万円の工事を受注して完了しましたが、支払いは「検収完了後90日サイト」。
一方で協力業者や職人への支払いは完工後30日以内に迫っていました。
このままでは外注先への支払いが遅延し、信頼を損ねる可能性があったため、売掛金の一部(1,000万円分)をファクタリングで即日資金化

手数料は10%(=100万円)でしたが、

  • 外注費の支払いが遅れず信頼を確保
  • 信用不安を避けて次の受注にも繋がった

という点で、「100万円の手数料以上の価値があった」と経営者は語っています。

黒字倒産の兆しを感じたときこそ、ファクタリングという選択肢が活きてきます。

2. 銀行融資の審査に落ちた、または追加融資が困難な時

銀行融資は中小企業にとって王道の資金調達手段ですが、赤字決算、債務超過、税金の滞納などがあると、一気に審査ハードルが上がります。

しかしファクタリングでは、審査の中心は「売掛先の信用力」であり、自社の財務状態は二の次です。
つまり、自社が赤字でも、売掛先が上場企業や優良企業であれば、審査通過の可能性は高いのです。

✅ ポイント整理

  • 銀行:借入企業の財務状況を審査
  • ファクタリング:売掛先の信用力を審査

この違いにより、税金滞納中や債務超過状態でも利用できるケースが多いという特長があります。
ただし、手数料は融資に比べて割高(10〜20%)であるため、費用対効果を冷静に検討する必要があります。

あくまで「融資が難しい状況での緊急対応策」として位置づけるのが賢明です。

3. 大型案件受注や急成長による運転資金需要の急増時

ビジネスが成長軌道に乗ってきたときこそ、資金需要は一気に跳ね上がります。
特に、大口受注や新規取引先の増加によって、「仕入れ資金・人件費」の先行負担が求められる場面は少なくありません。

こうした成長局面においても、ファクタリングは有効な資金調達手段になります。

✅ 事例:製造業B社の設備投資

B社は、ある大手企業から通常の5倍規模の注文を受けたものの、

  • 材料費の前払い
  • 増員による人件費アップ
  • 生産ラインの拡充

が必要となり、既存の運転資金では対応できない状況に直面
銀行への融資申請は審査に時間がかかることから、売掛債権2,000万円分をファクタリングし、設備投資に充当。
結果として納期を守り、取引拡大に繋がりました。

「チャンスを逃さないための資金繰り」として、ファクタリングは非常に有効な武器になり得ます。

4. 創業間もない時期や信用実績が不足している時

創業初期は、実績や信用力が十分でないために、金融機関からの融資が受けにくいという壁に直面します。
とくに開業から1年未満の場合、決算書が存在せず、銀行融資の門戸がそもそも開かれていないことも珍しくありません。

しかし、ファクタリングは「売掛債権があれば利用可能」という点で、創業直後の企業にとっても心強い選択肢となります。
審査の対象はあくまで「売掛先の信用力」なので、自社が新設法人であっても、売掛先が信用力のある企業であれば利用可能性は十分にあるのです。

✅ 利用時のメリットと実際の声

  • 必要書類が少ない(請求書、通帳コピー、本人確認書類など)
  • 法人登記後すぐに利用できるケースもある
  • オンライン完結型でスピード重視の業者も増加中

たとえば、創業6ヶ月のITベンチャーC社は、大手企業からの委託案件で月300万円ほどの売掛金が発生していました。
この売掛債権をファクタリング会社に売却し、資金繰りに活用することで、広告費や外注費の先払いにも対応し、開業初年度で月商500万円規模にまで事業を拡大しました。

創業間もない企業にとって、ファクタリングは「時間を買う手段」として有効です。
初期の資金難を乗り越えるための“つなぎ資金”として、活用を検討する価値は十分にあります。

5. 取引先からの支払い条件変更や不測の事態への対応時

取引先から突然、「支払いサイトを30日から60日に変更したい」といった要請が来ることがあります。
とくに中小・下請け企業では、こうした要請を拒めず、資金繰りに大きな影響を受けるケースも少なくありません。

また、地震・火災・事故・感染症流行などの「突発的な支出」が発生する場合も、想定外の資金需要が発生するタイミングです。

こうした予測困難な局面でも、ファクタリングは有効な対応策となり得ます。

✅ ケーススタディ:下請け企業D社の緊急対応

ある製造業の下請けD社は、主要取引先から突然「支払いサイトを60日に延長したい」と通告を受けました。
手元資金では従業員の給与支払いが厳しくなる状況でしたが、保有していた売掛債権800万円分をファクタリングし、翌日には600万円が入金
事業継続に必要な資金を確保し、従業員への支払いも滞ることなく乗り切ることができました。

急な資金ショートを乗り越える“緊急対応の打ち手”として、ファクタリングは極めて高い即効性を発揮します。

ファクタリング活用の5つの判断ポイント

ファクタリングを「使うべきではない」3つのケース

1. 手数料が利益率を上回る薄利多売ビジネスの場合

ファクタリングは即時性が高い資金調達手段である反面、手数料が比較的高額(10〜20%)に設定されているため、業態によっては逆効果になることがあります。

特に注意すべきは、粗利率の低い薄利多売型のビジネスです。
たとえば、食品卸業や建材商社、アパレル小売業などが該当します。

✅ 具体的な計算例

  • 売上:1,000万円
  • 粗利率:5%(=50万円)
  • ファクタリング手数料:10%(=100万円)
山崎正典

この場合、売上を立てれば立てるほど赤字が膨らむという本末転倒な結果になってしまいます。

そのため、ファクタリングを導入する際は、まず以下のような確認を行う必要があります。

【判断のポイント】
- 自社の粗利率・営業利益率と手数料を比較する
- 資金ショートによる損失回避やビジネス機会の獲得が「手数料を上回る価値」を持つか
- 単発利用か、継続利用かによって判断を分ける

数字で「手数料負担に耐えられる体力があるか」を冷静に計算することが、損失回避の第一歩です。

2. 根本的な収支改善が必要な慢性的赤字企業

ファクタリングはあくまで「応急処置的な資金繰り改善手段」です。
それゆえ、構造的な赤字体質を抱えた企業が継続的に頼り続けると、むしろ経営破綻を早める可能性があります。

✅ 「ファクタリング依存症」のリスクとは?

  • 常に資金繰りが苦しく、売上が立つたびに債権を現金化
  • 売上→資金化→支払い→またファクタリング、のループに
  • 利益が出ても手数料に吸収され、改善の兆しが見えない

こうした状態では、資金が「前倒しで入ってくる」メリット以上に、毎月の手数料負担がボディブローのように経営を圧迫します。

ファクタリングは、時間を稼ぐための「一時的な応急措置」と割り切り、その間に以下のような抜本的な経営改革に着手することが重要です。

  • 売上アップ:販売チャネルの拡大、新規取引先開拓
  • コスト削減:固定費・外注費の見直し
  • キャッシュフロー改善:回収サイト短縮、支払いサイト交渉

「ファクタリングで一息つきつつ、構造改革で根本改善を図る」ことが、中長期的な視点では最も効果的です。

3. 十分な内部留保があり、資金繰りに余裕がある企業

一方で、資金繰りに明らかな余裕がある企業が“念のため”にファクタリングを利用するのは、非効率的です。

ファクタリングには明確なコスト(=手数料)が発生するため、

  • 現預金が潤沢
  • 売掛金の回収リスクが低い
  • 短期的な支払い負担も大きくない

といった企業にとっては、単にキャッシュを前倒しでもらうためだけに使う理由が薄いのです。

✅ キャッシュフロー計算書を使った判断

企業がファクタリングを利用すべきか否かは、「現金収支のタイミングと実残高」に基づいて判断すべきです。
具体的には、以下のような確認が有効です。

【確認すべきポイント】
- 月次のキャッシュフロー見通し(3ヶ月〜6ヶ月先まで)  
- 期末の現預金残高と支払い予定とのバランス  
- 大型支払い予定や納税時期の把握

必要ないのに“備えのつもりで”使うのは、資金効率を下げ、経営判断としても評価が分かれるところです。

安全にファクタリングを利用するための実践ガイド

ファクタリングは非常に便利な資金調達手段ですが、業者選びや契約内容を誤ると、思わぬトラブルや違法契約に巻き込まれる危険性があります。
ここでは、安心してファクタリングを活用するために知っておくべき実践的なポイントを解説します。

優良業者と悪質業者を見分ける5つのポイント

残念ながら、ファクタリング市場には、法的グレーまたは違法な手法を用いる業者も一部存在します。
とくに近年、金融庁も注意喚起を強化しており、「偽装ファクタリング」や「高利貸しの仮装」が問題視されています。

✅ 要注意!悪質業者の特徴

- 手数料が20〜30%超と極端に高い  
- 契約に「償還請求権あり」と記載(=回収不能時に買戻し義務)  
- 審査なし、即日入金を過度に強調  
- 契約内容を口頭説明だけで済ませ、書面が曖昧  
- 債権譲渡登記を強引に要求(=売掛先に知られる可能性)

これらは、金融庁や国民生活センターも公式に注意喚起している典型的なトラブル事例です。
とくに「償還請求権あり」の契約は、実質的に“貸金”とみなされ、貸金業登録がない場合は違法行為となる可能性があるため、絶対に避けるべきです。

✅ 信頼できる優良業者の見極めポイント

- 手数料体系が明確に提示されている(1〜15%前後が目安)  
- ノンリコース契約(=債権未回収でも買戻し義務なし)を明記  
- 会社情報(登記番号・所在地・代表者など)が開示されている  
- 実績紹介や導入事例が豊富に掲載されている  
- 審査フローや契約条件について丁寧な説明がある

さらに、最低でも2〜3社から相見積もりを取ることが重要です。
複数業者を比較することで、適正な手数料水準や契約条件が明確になり、悪質業者の排除にもつながります。

「早く現金が欲しい」という焦りにつけ込む業者もあります。だからこそ、“焦らずに比べる”ことが何より大切です。

契約時に必ず確認すべき重要事項チェックリスト

ファクタリング契約には、多くの項目が含まれています。
その中には、将来的なトラブルに直結するリスク要素も少なくありません。

✅ 契約前に確認すべき項目一覧

□ 契約は「ノンリコース」であるか(償還請求権の有無)  
□ 手数料の計算方法・追加費用(登記費用・事務手数料など)の明記  
□ 入金までのスケジュールとその根拠  
□ 債権譲渡登記の要否(登記による信用リスク)  
□ 売掛先に通知が行くかどうか(2社間/3社間の違い)  
□ 解約条件、遅延損害金の条項、違約金の有無  
□ 会計処理や税務対応に問題がないか(必要に応じて顧問税理士に相談)

✅ 注意が必要な契約文言例(実物契約書より抜粋)

「売掛債権の未回収時には当社がこれを買戻すものとする」
→ これは“償還請求権あり”の典型。実質的な貸付契約となり得ます。

「実質年率換算で手数料20%以上となる」
→ 高利貸金業の上限金利(年15〜20%)を超える可能性があり、法令違反の恐れ。

契約書は一見難解な表現が多いですが、「よくわからない条項こそリスクの温床」です。
不明点がある場合は、顧問税理士や弁護士に事前に相談する姿勢を持ちましょう。

ファクタリング利用の手続きと必要書類

ファクタリングの魅力は「スピード感」にあります。
特に中小企業や個人事業主にとって、最短即日で資金が手元に入るという迅速さは、資金繰りの命綱となる場合もあります。

ここでは、2社間・3社間ファクタリングの違いを押さえつつ、申込みから入金までの流れと、必要書類・審査対策のポイントを詳しくご紹介します。

申し込みから入金までの具体的な流れ(即日対応の場合)

ファクタリングの手続きは、大きく分けて以下のようなステップで進みます。

① 問い合わせ・見積もり依頼  
② 必要書類の提出  
③ 審査(最短30分〜数時間)  
④ 契約書の締結  
⑤ 入金(即日または翌営業日)

✅ 即日入金を実現するためのコツ

  • 午前中(9〜11時)までに申込みを完了させる
  • 書類の事前準備をしておく(PDF化して即送信できる状態がベスト)
  • メール・電話・Webチャットなど複数の連絡手段を活用し、審査対応に迅速に応じる
  • オンライン完結型の業者(例:クラウドファクタリング)を選ぶとスピード対応が可能

✅ 2社間と3社間の違い(比較表)

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
売掛先への通知なし(内密に利用可能)あり(債権譲渡通知が必要)
手数料相場高め(10〜20%)低め(1〜10%)
審査スピード速い(最短即日)やや時間がかかる(1〜3営業日)
取引先との関係維持しやすい通知により心理的影響あり
債権譲渡登記一部の業者で必要多くの場合必要

手数料を抑えたいなら3社間、取引先に知られたくないなら2社間が基本的な選択基準です。

審査に必要な書類と通過率を上げるコツ

審査をスムーズに進めるためには、必要書類を事前に把握し、漏れなく・正確に提出することがカギとなります。

✅ 基本的な提出書類(2社間ファクタリングの場合)

- 売掛金の請求書または契約書  
- 直近3〜6ヶ月の入出金が分かる通帳コピー  
- 代表者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)  
- 登記簿謄本または法人番号通知書(法人の場合)  
- 売掛先との過去の取引実績を証明する書類(任意)

✅ 審査通過率を上げる3つのコツ

  1. 売掛先との関係性を明示
     →「過去○ヶ月以上継続して取引がある」「定期的な入金実績がある」ことを示せると信用評価が上がります。
  2. 請求書の整合性を保つ
     → 実際の入金予定と請求書の金額・日付が一致していることが重要です。
  3. 通帳に売掛先からの入金履歴が明確にあること
     → 名義が略称やグループ名になっている場合は補足説明を添えるとベターです。

書類の不備は、審査の遅延だけでなく信用評価の低下にもつながります。
少なくとも「請求書・通帳・本人確認書類」の3点は、常に最新のものを即提出できる状態にしておきましょう。

ファクタリング活用の「出口戦略」~健全な資金繰りへの道筋

ファクタリングは、あくまで「資金繰りを一時的に支える緊急的な手段」です。
そのまま漫然と使い続けてしまうと、高い手数料によって利益を圧迫し、ファクタリング依存状態に陥る危険もあります。

そこで本章では、ファクタリングの利用を徐々に減らし、最終的にはより低コストで安定的な調達手段(=銀行融資など)に切り替えるためのステップを詳しく解説します。

段階的な利用削減プランの立て方

ファクタリングを一気にやめると、「資金繰りギャップ」が生じ、かえって経営が不安定になる可能性があります。
そこで有効なのが、計画的かつ段階的に利用額を減らしていく方法です。

✅ 利用削減のフェーズモデル

STEP1:ファクタリング依存率100%  
→ すべての売掛債権を資金化

STEP2:依存率80%  
→ 一部の債権はそのまま入金を待つ

STEP3:依存率50%  
→ 毎月の利用件数や金額を半減

STEP4:依存率0%  
→ 資金繰りが安定し、ファクタリング卒業

✅ 並行して取り組むべき資金繰り改善策

  • 売掛金回収サイクルの短縮(締め日や支払い条件の見直し)
  • 在庫水準の最適化(仕入れの適正化・滞留在庫の処分)
  • 経費の見直し(固定費の縮小、外注比率の調整)

「資金を“前借り”せずにやり繰りできる状態」こそが、健全な資金繰りです。
ファクタリングで得た“時間的猶予”を無駄にしないためにも、並行して改善策に取り組みましょう。

ファクタリングから銀行融資への切り替えタイミング

最終的には、ファクタリングより金利がはるかに低く、返済期間も長い「銀行融資」への移行が理想です。
そのためには、一定の信用力を回復するステップが必要になります。

✅ 信用回復のために実施すべき行動

- 決算書の黒字化(特別利益でもOK)  
- 税金・社会保険料の完納  
- 売上と利益の安定化  
- 固定費の縮小と収支バランスの改善  
- 新規取引先や受注実績の拡大

✅ 融資切替に有効な制度・機関

支援制度/機関特徴
日本政策金融公庫創業者・赤字企業にも柔軟対応、無担保枠もあり
信用保証協会(制度融資)地方銀行や信金と連携。中小企業向け保証付き融資
商工会・商工会議所の経営指導事業計画書作成や融資面談のサポートが無料で受けられる
事業再構築補助金・ものづくり補助金等設備投資や業態転換による信用向上に寄与

ファクタリングの出口には、「融資の入り口」があります。
今のファクタリング利用を、将来の資金調達力強化につなげる視点が大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1:赤字決算や税金滞納があってもファクタリングは利用できますか?

A:はい、多くのファクタリング会社では利用可能です。

ファクタリングの審査基準は、銀行融資とは大きく異なります。
ファクタリングでは、利用企業(あなた)の財務状態よりも、売掛先の信用力が重視されるため、たとえ赤字決算や税金滞納中であっても、売掛先が優良企業であれば審査に通る可能性は十分あります。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 税金滞納がある場合、分納計画書の提出を求められるケースあり
  • 手数料が若干高く設定される可能性も(リスクプレミアム)
  • 滞納が悪質・長期の場合は、審査で不利になることもある

実際に、債務超過状態の企業でも、月次で安定した売掛先との取引があることを示すことで、ファクタリング審査に通過した事例は数多く存在します。

Q2:2社間と3社間ファクタリング、どちらを選ぶべきですか?

A:取引先との関係性と手数料のバランスで判断します。

比較項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
売掛先への通知不要(知られずに使える)必要(債権譲渡を通知)
手数料高め(10〜20%)低め(1〜9%)
入金スピード早い(即日対応も可能)やや時間がかかる(1〜3日)
信用影響少ない先方に“資金難”と捉えられる恐れ

✅ 判断の目安

  • 取引先に知られたくない場合:2社間を選択
  • コストを抑えたい場合:3社間が有利(売掛先の協力が前提)
  • 長期的に活用を想定している場合:3社間の方が持続性・コスト面で有利

取引先が上場企業や大手であれば、3社間を選んでも信用不安につながるリスクは比較的少なく、手数料も抑えられます。

Q3:ファクタリングの手数料は経費として計上できますか?

A:はい、ファクタリング手数料は「支払手数料」として損金算入が可能です。

ファクタリングによって現金化された売掛金は、「債権の売却」として会計処理され、
その際に差し引かれる手数料は「営業外費用」または「販売費及び一般管理費」に分類されます。

✅ 会計処理のポイント

借方:現金 ×××円  
借方:支払手数料 ×××円  
貸方:売掛金 ×××円
  • 手数料は損金算入されるため、課税所得の圧縮効果もあり
  • 法人税等の算出にも影響するため、税理士との相談は必須
  • 「償還請求権付き」契約の場合は、実質的に借入と見なされるリスクもあるため要注意

不明点がある場合は、契約書を持参のうえ顧問税理士に確認することをお勧めします。

まとめ

ファクタリングは、資金繰りに悩む中小企業や個人事業主にとって、非常に頼りになる資金調達手段です。
特に、

  • 売掛金の入金までに時間がかかり、手元資金が不足しているとき
  • 銀行融資が難しい局面で、迅速に資金が必要なとき
  • 急成長や緊急支出などで一時的にキャッシュが逼迫したとき

には、スピードと柔軟性を兼ね備えた実践的な解決策として、大きな力を発揮します。

しかし一方で、ファクタリングは「万能な解決策」ではないことも事実です。

  • 手数料が利益率を上回る業態ではむしろ経営悪化のリスクがある
  • 根本的な赤字体質の企業が継続的に依存するのは危険
  • 資金に余裕がある企業が“念のため”に使うのは非効率

であることを、冷静に見極める必要があります。

利用の流れを整理すると…

1. 自社の資金繰り状況を正確に把握  
2. 利用タイミングの適切性を判断  
3. 複数社から見積もりを取得して比較  
4. 契約内容を精査し、信頼できる業者と契約  
5. 利用後は“出口戦略”を意識し、健全な資金繰り体制へ移行

ファクタリングを「活かす企業」と「振り回される企業」の違い

活かす企業振り回される企業
一時的なキャッシュ改善に限定利用恒常的に資金ショートし依存状態に
手数料と利益率を精査して導入手数料負担を深く考えず利用
脱ファクタリングに向け計画を立てる利用し続けることが前提になっている

ファクタリングは、正しく使えば企業を守り、成長へと導くための強力な武器になります。
そのためには、「今使うべきか?」「使っても大丈夫か?」「いつまで使うのか?」という三段階の問いを自社に投げかけることが重要です。

そして最後に申し上げたいのは、

ファクタリングで得た時間的猶予を、本質的な経営改善に充てることこそが、真の資金繰り改善である

ということです。

本記事が、あなたの事業と資金繰りを支える一助となれば幸いです。
必要に応じて、税理士・金融機関・専門家と連携しながら、無理のない範囲で前向きな選択をなさってください。

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この記事を書いた人

こんにちは。「ファクタリング賛否両論事務局」を運営しております山崎正典と申します。
ファクタリングという資金調達手段について、その仕組みやメリット・デメリット、活用法などを中心に情報発信をしています。

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