近年、ファクタリングという資金調達手段が、中小企業の経営者や個人事業主の間で広がりを見せています。
特に銀行融資の審査が厳しくなっている昨今において、「売掛金を資金化できるスピード感」や「担保・保証人不要」といった特性は、切実な資金繰りニーズに応える手段として注目されています。
しかしその一方で、「ファクタリングは違法では?」「手数料が高すぎる」「怪しい業者が多い」といった不安の声も根強く存在します。
実際、筆者の元にも「取引先にバレたくないが大丈夫か?」「赤字決算でも通るのか?」といった相談が日々寄せられています。

私は都内の都市銀行で中小企業向け融資を担当したのち、2017年からはファクタリング専門会社にて営業・商品企画・講師活動など幅広く経験してきました。
現在は「ファクタリング賛否両論事務局」の責任者として、中立的かつ実務に基づいた情報発信を行っています。
この記事では、これまでの業界経験と実際のデータをもとに、ファクタリングを取り巻く「10のよくある疑問」に正面から向き合い、真実をお伝えします。
誤解を解き、正しい知識を身につけることで、ファクタリングという選択肢を“危ない橋”から“合理的な戦略”へと変えることができるはずです。
「正しく知れば、正しく使える」
これこそが、私がこのテーマに向き合う理由です。
それでは、一つずつ疑問を紐解いていきましょう。


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👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所
平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)
疑問1:ファクタリングは本当に違法ではないのか?
法的根拠と金融庁の見解
「ファクタリングって、結局のところグレーなんじゃないの?」
こうした疑念を持たれる方は少なくありません。
ですが、結論から申し上げると、ファクタリングそのものは完全に合法な取引です。
ファクタリングは、民法第466条で認められている「債権譲渡」の一形態であり、売掛金(債権)を第三者に譲渡し、資金化するという仕組みです。
つまり、借り入れではなく「資産の売却」として位置づけられます。
さらに、2020年4月の民法改正では「譲渡禁止特約」があったとしても、一定の条件下で債権譲渡が可能になり、法制度の整備が進んだことで、ファクタリングはより使いやすい選択肢となっています。
加えて、金融庁自身もファクタリングを「事業者の資金調達手段の一つ」として容認しており、行政的な立場でも認知されています。
実際に、金融庁の公式ウェブサイトでは「正規のファクタリングと偽装ファクタリングの違い」について注意喚起するページも用意されており、利用者保護を目的とした情報発信がなされています。
✅ 合法性のポイント
- 民法第466条に基づく「債権譲渡契約」
- 改正民法(2020年施行)により実務が柔軟に
- 金融庁も正規ファクタリングを認める立場
偽装ファクタリングの実態と見分け方
ここで注意が必要なのは、「ファクタリングを装った違法業者」の存在です。
一部の業者は、表面上はファクタリング契約に見せかけながら、実態としては返済義務を伴う貸付(=実質的な融資)を行っており、これは貸金業法違反となります。


このような「偽装ファクタリング」を見抜くには、以下の4つのチェックポイントが有効です。
- ✅ 償還請求権(リコース)の有無
- ✅ 分割払いを提案されていないか
- ✅ 担保や保証人を求められていないか
- ✅ 契約書の名目が「売買契約」になっているか
特に注意すべきは「リコース条項(売掛先が支払不能時に利用者が返済義務を負う契約)」です。
これはファクタリングではなく、単なる融資契約と見なされる可能性が高く、無登録で行えば貸金業法違反(=違法業者)に該当します。
正規のファクタリングは「ノンリコース(償還請求権なし)」が原則。
その点を契約書できちんと確認し、不明瞭な説明や契約内容を提示してくる業者とは契約すべきではありません。
❗ 筆者の現場経験より
契約書をよく読むと、債権譲渡ではなく「貸付契約」と記載されているケースが稀にあります。
こうした業者は、ファクタリングを偽装して高金利を取り立てる悪質業者です。絶対に関わらないでください。


疑問2:手数料が高すぎるという噂は本当か?
手数料相場の実態データ
「ファクタリングは便利だけど、手数料がバカ高いんでしょう?」
これは、多くの経営者の方が最初に持つ不安の一つです。
確かに、“利率”という観点だけで見ると、銀行融資よりも割高に感じられるかもしれません。
ですが、ここで正確に整理しておきたいのは、ファクタリング手数料は「利息」ではなく「売掛債権の買取にかかる手数料(=割引料)」であるということです。
2025年時点の市場データをもとに、代表的な手数料相場は以下のとおりです。
ファクタリングの種類 | 手数料相場(参考) |
---|---|
2社間ファクタリング | 10〜20%前後 |
3社間ファクタリング | 1〜9%前後 |
このように、売掛先に通知・承諾が不要な「2社間」の方が手数料は高めですが、その分スピーディかつ柔軟に利用できます。
反対に、3社間方式は手数料が安い反面、売掛先への通知が必要となるため、取引関係への影響を気にする企業もあります。


なお、手数料は一律ではなく、以下のような要因で上下します。
- 売掛先の信用力(上場企業・官公庁などは優遇)
- 売掛金額の大きさ(高額の方が手数料率は低下)
- 支払期日までの期間(短いほど低手数料)
- 初回取引か継続利用か(実績に応じて優遇)
- 債権譲渡登記の有無(登記あり=手数料低減)
これらを考慮すると、ファクタリング手数料が“高すぎる”と単純に断ずることはできません。
むしろ、スピード・担保不要・信用情報への影響なしといったメリットを踏まえれば、必要経費として十分合理的な範囲といえるケースが多いのです。
📌 ポイント整理
ファクタリング手数料は「利息」ではない
→ 売掛金に対する一括の“割引料”
→ 必要なタイミングで確実に資金化できるという「対価」
手数料を抑えるための具体的方法
とはいえ、経営者としては手数料は少しでも抑えたいところ。
そこで、実務的に有効な「手数料を下げるための5つの工夫」をご紹介します。
1. 3社間ファクタリングを選ぶ
→ 通知OKな場合、手数料を大きく抑制可能。
2. 信用力の高い売掛先を指定する
→ 公共団体・上場企業との取引債権は評価が高くなる。
3. 債権譲渡登記を実施する
→ 手数料引き下げ交渉材料になる。
4. 複数社から見積もりを取る
→ 相場比較+条件交渉でコスト最適化。
5. 継続利用・紹介制度を活用する
→ リピーター向け優遇や紹介割引がある場合も。
また、最近ではオンライン完結型のファクタリングサービスも増えており、対面コストや事務手数料がカットされた分、手数料が割安に設定されているケースもあります。


筆者の経験でも、初回は12%だった手数料が、売掛先を変えたことで9%に引き下がった事例や、オンライン型を活用して継続利用のたびに1%ずつ優遇されたケースなど、多くの改善余地が見られました。
💡 まとめると
ファクタリング手数料は“交渉次第”。
条件と準備を整えれば、十分に合理的な水準まで引き下げることが可能です。
疑問3:個人事業主は本当に利用できないのか?
個人事業主の利用実態と審査基準
「ファクタリングは法人じゃないと利用できないって聞いたんですが…」
こうした声を、私は現場で幾度となく耳にしてきました。
しかし結論から申し上げると、個人事業主でもファクタリングを利用することは可能です。


実際、2025年現在、多くのファクタリング会社が“個人事業主対応”を明記しており、利用実績も年々増加しています。
建設業・運送業・ITフリーランス・デザイン業など、売掛金が発生する業種であれば、法人格の有無にかかわらず利用の道は開かれています。
ただし、法人に比べると審査のハードルはやや高くなる傾向があります。
その理由は、売上の安定性や税務書類の整備状況に個人差があるためです。
とはいえ、ファクタリングにおいて最も重要視されるのは「売掛先の信用力」と「債権の確実性」であり、申込者自身の財務状況は補助的な判断材料にすぎません。
✅ 利用の可否は「売掛先の質」で決まる
- 売掛先が法人であれば、個人事業主でも審査通過の可能性は十分にある
- 金融機関の融資審査と比べて“決算書の良し悪し”は重視されない
個人事業主が審査に通りやすくなるポイント
それでは、個人事業主がスムーズにファクタリングを活用するには、どんな点を押さえておけばよいのでしょうか。
以下のような“審査通過率を高めるコツ”があります。
1. 売掛先が法人であることを確認する
→ 法人格のある取引先は信用評価が明確。
2. 継続的な取引実績があることを示す
→ 毎月の請求書や振込履歴などで裏付けを取る。
3. 請求書・契約書などの証憑を整備する
→ 口頭契約や未整備な請求はリスクと判断されがち。
4. 支払期日が近い債権を選ぶ
→ 早期回収見込みのある債権は高評価。
5. 少額から利用し、実績を作る
→ 初回は数十万円程度から申込み、信頼関係を構築。
また、近年では「個人事業主専用」のファクタリングサービスも登場しています。
例えば、クラウド型請求書サービスと連携し、ワンクリックで申込みができる仕組みや、審査書類の自動取り込みに対応したサービスなど、煩雑な事務を軽減する設計が進んでいます。



「個人だから無理」と思い込む前に、“売掛先の信用”という視点で考えてみてください。
請求先が安定した法人であれば、ファクタリング会社は前向きに検討してくれます。
疑問4:赤字決算や税金滞納でも本当に利用できるのか?
審査で重視されるポイント
「うちは赤字続きで、しかも税金も少し滞納していて……こんな状態でもファクタリングって使えるんでしょうか?」
これは、私が実際に受けたご相談のなかでも非常に多い内容のひとつです。
その答えは、「条件次第で十分に可能」です。
なぜなら、ファクタリングの審査において最も重視されるのは、「利用者自身の経営状況」ではなく、売掛先企業の信用力と債権の確実性だからです。
ファクタリングは「借金」ではなく、「売掛金の売却」。
したがって、利用企業が赤字決算であっても、売掛先がしっかりしていれば審査が通るケースは数多くあります。
同様に、税金の滞納があるからといって即座に断られるわけではありません。
もちろん、税務署から差し押さえが入っている状態では難しいですが、納税計画を立てている途中や、一時的な滞納であれば、柔軟に対応してくれるファクタリング会社も存在します。
✅ 審査で見られる主なポイント(利用者側)
- 売掛先の企業情報(上場企業・優良企業など)
- 売掛金の入金予定日と遅延歴
- 債権の発生証憑(請求書・契約書など)
- 滞納や差押えの程度(リスク水準)
💡 結論:赤字・税滞納でも“絶対NG”ではない。むしろ実例は多数ある。
利用時の注意点と対策
とはいえ、赤字や税金滞納がある場合には、それ相応の「備え」も必要です。
審査に通りやすくするための準備として、以下のような対策を講じておくことをおすすめします。
1. 売掛先の信用力を証明する書類を準備する
→ 決算書・会社概要・上場情報などを提示できると有利。
2. 通帳のコピーなど、取引実績を示す証憑を用意する
→ 継続的な取引であることを示すことが重要。
3. 税金の分納計画書などがあれば積極的に提出する
→ 滞納があっても計画的な返済意志があることを示せる。
4. ファクタリングで得た資金の使途を明確に伝える
→ 単なる資金埋め合わせではなく、前向きな用途(仕入・人件費など)を説明。
5. 柔軟対応をうたうファクタリング会社を選定する
→ すべての業者が“赤字OK”とは限らない。比較と確認は必須。
また、資金繰りの“場当たり的”な改善ではなく、根本的な経営改善と併せてファクタリングを活用することが大切です。
一時的なキャッシュフローの改善に成功しても、収益構造やコスト体質が変わらなければ、同じ課題が繰り返されてしまいます。
📌 現場のアドバイス
「赤字や滞納があるからこそ、資金ショートを防ぐ必要がある」。
その理解の上で、目的意識を持って活用することが、信頼につながります。
疑問5:売掛先にバレてしまうのではないか?
2社間と3社間ファクタリングの違い
「ファクタリングって、売掛先にバレたら信用問題になるのでは……」
この懸念は、特に長年取引のある顧客を抱える企業ほど強い傾向にあります。
実際、ファクタリングの方式によって、売掛先に通知が行くかどうかが決まるため、選び方が非常に重要です。
ファクタリングには大きく分けて以下の2つの方式があります。
方式 | 売掛先への通知 | 手数料 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
2社間ファクタリング | 通知なし(非通知型) | 高め(10〜20%) | 売掛先には知られずに資金化できる |
3社間ファクタリング | 通知あり(要承諾) | 低め(1〜9%) | 売掛先の同意が必要だが、条件は良くなる傾向 |
売掛先に知られずに利用したい場合は、2社間ファクタリングが適しています。
この方式では、ファクタリング会社が利用企業から売掛金を買い取り、売掛先からの入金は従来どおり利用企業が受け取るという流れになります。


ただし、2社間方式は売掛先の返済リスクをファクタリング会社が一手に引き受けるため、その分、手数料が高くなる傾向があります。
一方で、3社間ファクタリングは、売掛先が債権譲渡に同意し、直接ファクタリング会社へ入金する仕組み。
取引先の理解が得られる環境であれば、コスト面での優位性は明らかです。
✅ 結論
- バレたくないなら2社間を選ぶ
- 条件重視なら3社間も検討の余地あり
→ 両者を比較し、事情に応じて使い分けるのが現実的
債権譲渡登記とプライバシーの関係
さらに注意すべきなのが、「債権譲渡登記」の有無と、情報の公開範囲です。
ファクタリング会社によっては、2社間ファクタリングでもリスク回避のために法務局に登記(債権譲渡登記)を行うケースがあります。
この登記情報は法務局で「第三者でも閲覧可能」ですが、実際に日常的に調査する企業は少ないのが実情です。
したがって、登記されたからといって、すぐに取引先に知られるわけではありません。


とはいえ、登記されたことが偶発的に発覚した場合、取引先に不安を与える可能性があるため、慎重な判断が求められます。
📌 登記あり/なしのメリット・デメリット
登記の有無 | メリット | デメリット |
---|---|---|
あり | ・二重譲渡の防止 ・手数料が下がる可能性あり | ・登記情報は公開される ・取引先に知られるリスク |
なし | ・情報が外部に漏れにくい | ・手数料が高めになりやすい ・ファクタリング会社の対応範囲が狭まることも |
💡 補足
最近では、「登記なしでもOK」とするファクタリング会社も増加中。
手数料がやや上がる代わりに、プライバシーを重視した運用が可能になってきています。
疑問6:即日資金調達は本当に可能なのか?
即日対応の実態と必要条件
「“最短即日資金化”ってよく聞くけど、本当にそんなに早く振り込まれるの?」
結論から申し上げると、条件が整っていれば“即日資金調達”は現実的に可能です。
特に、初回ではなく2回目以降の利用であれば、午前中の申し込みでその日のうちに着金というケースも珍しくありません。
実際、主要なファクタリング会社の公式サイトでは「最短90分で資金化」「即日対応可能」と明記されています。
ただし、ここで重要なのは、これは“すべての必要書類が完璧に揃っている”場合に限るということです。
📌 即日対応が可能になる条件の例
- 利用者・売掛先ともに信用情報に問題がない
- 提出書類(請求書・通帳コピー・本人確認書類など)が正確かつ迅速に提出される
- 申込み時間が午前中である(午後対応だと翌営業日にずれやすい)
特に初回利用時は、ヒアリングや本人確認、反社チェック、契約書類の確認など、どうしても時間がかかるプロセスがあるため、実際には2〜3営業日かかるケースも多いです。
したがって、即日資金化という言葉は“理想的なケースでの最短時間”と理解しておくのが妥当です。



過去に相談を受けた企業で「午前9時に申込み、15時には資金化された」という例もあります。
ただし、この企業はすでに2回目の利用で、書類もすべて電子化されており、対応も非常にスムーズでした。
スピード審査を実現するための準備
即日資金調達を実現するためには、ファクタリング会社任せではなく、利用者側の“事前準備”が成否を分けます。
以下は、実務で効果があった準備項目です。
1. 必要書類を事前にデジタル化しておく
→ 請求書、通帳コピー、身分証明書、発注書などはPDFで即送信可能に。
2. 午前中の早い時間に申込む
→ 午後の申込みは“即日対応”から外れる可能性が高い。
3. オンライン完結型サービスを選ぶ
→ 対面や郵送不要で、審査から契約までを一気通貫で完了できる。
4. 売掛先の信用情報をあらかじめ整理しておく
→ 取引先の登記簿・HP・過去の取引履歴などを提出できるよう準備。
5. 少額から申込むことで審査を軽くする
→ 初回は金額を抑えることで審査通過と即日資金化がしやすくなる。
特に、最近ではAI審査やチャット完結型のファクタリングも登場し、「即日調達」から「即時審査」へと進化しています。
このようなツールを上手に活用すれば、よりスピーディでスマートな資金繰りが可能になります。
✅ まとめ
即日調達は「可能」だが、「準備が命」
→ 書類不備や遅延があると、即日どころか3〜5日かかることもある
疑問7:給与ファクタリングも利用できるのか?
給与ファクタリングの法的位置づけ
「個人の給料をファクタリングで資金化できるって本当?」
一時期、こうした“給与ファクタリング”という言葉がネット上で話題になりました。
しかし、結論として、現在は給与ファクタリング=違法行為とみなされるのが通例です。
給与ファクタリングとは、個人が自らの給与債権(未払いの給料)を第三者に買い取ってもらうことで、早期に現金を得る仕組みです。
一見すると「債権譲渡」にも見えますが、実際には次のような問題点があり、金融庁は明確に“貸金業に該当する”との見解を出しています。
❗ 金融庁の公式見解(2020年3月)
「給与ファクタリング業者は貸金業法に基づく登録が必要。登録を受けずに業を行えば違法」
さらに、2023年2月20日には最高裁が給与ファクタリング業者の行為を「貸金業法違反」と断定し、契約の無効を認定する判決を下しました。
この判例をもって、給与ファクタリングは“合法的な資金調達手段ではない”ことが確定的となっています。
✅ 結論
給与ファクタリングは現在、事実上“利用すべきではない・違法な手法”と考えられています。
登録のない業者が提供していれば、それ自体が法律違反です。
個人が利用できる代替手段
では、「どうしても急ぎでお金が必要…」という個人は、どんな手段を使えば良いのでしょうか。
給与ファクタリングのようなリスクの高い手法に頼らずとも、法律の枠内で安心して使える手段が複数存在します。
以下は代表的な代替策です。
1. 銀行カードローン
→ 金利は年3〜15%程度。総量規制の対象外。返済計画を立てやすい。
2. 消費者金融(例:プロミス・アイフルなど)
→ 最短即日での融資も可能。初回無利息期間ありの業者も。
3. クレジットカードのキャッシング枠
→ 既に枠があれば即時利用可能。利率に注意。
4. 勤務先の従業員貸付制度
→ 公務員や大手企業では福利厚生の一環で導入されていることがある。
5. 給与前払いサービス
→ 「Payme」「CYURICA(キュリカ)」など。企業導入型で、従業員が給料日前に一部を受け取れる。
特に、給与前払いサービスは法的にも問題がなく、企業側に導入の意思さえあれば、従業員は安全かつ柔軟に使える仕組みとして注目されています。
💬 現場の視点
「早く現金が欲しい=給与ファクタリング」ではなく、まずは“安心して使える制度や支援”を探すべきです。
費用や返済の見通しをよく確認し、“安易な即金サービス”には手を出さないことが鉄則です。
疑問8:契約書なしでも利用できるという噂は本当か?
必要書類の実態調査
「ファクタリングって、請求書だけあればすぐに使えるって聞いたけど…契約書とかいらないの?」
このような噂が一部の情報サイトや口コミで見られますが、結論として“契約書なし”で正式にファクタリングを実行することはありません。
ただし、申込み時点では確かに「最小限の書類でOK」というケースもあります。
例えば、多くのファクタリング会社では以下のような記載があります。
「請求書と通帳のコピーだけで簡単見積もり」
「初回は身分証・請求書・振込履歴があれば審査可能」
これらは、あくまで“事前審査”や“概算見積もり”の段階で必要な書類に過ぎません。
正式な契約を結ぶ段階では、法的なトラブルを避けるためにも、必ず契約書を交わす必要があります。
✅ 正規のファクタリングに必要な書類(例)
- 債権譲渡契約書
- 売掛先との取引契約書または請求書
- 通帳(入金実績)
- 登記申請書(必要に応じて)
- 本人確認書類・会社登記簿謄本 など
ファクタリングは「売掛債権の売買契約」に基づいてお金が動く取引です。
よって、契約書を省略すれば、取引そのものが無効と判断されるリスクや、支払いをめぐるトラブルが発生する恐れがあります。



「契約書はあとからでいい」と曖昧にする業者、あるいは契約書の発行を拒む業者は偽装ファクタリング(=違法貸付)である可能性が高いため、絶対に取引してはいけません。
書類不備によるリスクと対策
契約書を交わさずにファクタリングを行った場合、以下のようなリスクが生じます。
- 債権の所有者が不明確になり、二重譲渡や訴訟の原因に
- 入金遅延時の対応責任が曖昧に
- 融資に偽装された場合、貸金業法違反と見なされる危険
- 税務上、取引として認められず損金処理できない場合も
このような事態を避けるためには、正規のファクタリング会社を選ぶことが最も重要です。
以下のような観点で業者選定を行いましょう。
- 公式サイトに契約手続きの流れが明記されている
- 債権譲渡契約書のテンプレートを事前に提示してくれる
- 国税庁法人番号公表サイトで法人登記の有無を確認
- 電話や対面での説明が丁寧で、質問に明確に答えてくれる
💬 現場での実感
書類を「なるべく少なく」ではなく、「正しく揃える」ことが、長期的な安心と信頼につながります。
早さを優先するあまり、将来的な法的リスクを抱えるような選択は避けるべきです。
疑問9:売掛金が回収できなかった場合はどうなるのか?
ノンリコース契約の重要性
「もし、ファクタリングで売った売掛金が回収不能になったら、自分が補填しなければいけないんですか?」
これはファクタリングを初めて検討される方が、ほぼ必ず抱く不安です。
結論から申し上げると、正規のファクタリング契約であれば、“利用者に返済義務はありません”。
その理由は、ファクタリングが「ノンリコース契約(償還請求権なし)」を基本としているからです。
ノンリコースとは、売掛先の倒産や未払いなどによって債権が回収できなくなっても、利用者に対して追加請求を行わないことを意味します。
✅ つまり:
正規のファクタリングでは「債権の売却」であり、「返済義務のある借入」ではない
これは、融資(ローン)との決定的な違いです。
たとえば、銀行やノンバンクから借入をした場合、いかなる理由があっても返済義務は残ります。
一方でファクタリングは、あくまで“売掛債権という資産の売買”であるため、売却した時点で利用者の責任は終了するのが原則です。
ただし、ここには重要な注意点があります。
それは、「ノンリコース契約」であっても、不正行為や契約違反があった場合は除外されるということです。
❗ ノンリコースでも返済義務が発生する例
- 実在しない債権を譲渡した(架空請求)
- 同一債権を複数の業者に譲渡(いわゆる二重譲渡)
- 売掛先が関係会社や実質的な自社であると判明
- 契約時の重要事項に虚偽申告があった
こうした不正が明らかになった場合、ファクタリング会社は契約の解除や損害賠償を請求する権利を持ちます。
したがって、「ノンリコース=免責」という認識ではなく、「正当な債権売却だからこそ免責される」と理解することが大切です。
リコース契約の危険性
一方で、「償還請求権あり=リコース契約」を求めてくる業者には細心の注意が必要です。
リコース契約とは、売掛金が未回収になった場合に、利用者がその金額を弁済する義務を負うという内容の契約です。
このような契約は、ファクタリングではなく“担保付き融資”に近い性質を持つため、貸金業法に抵触する可能性が非常に高いといえます。
特に、貸金業登録をしていない業者がリコース契約を前提に資金を提供する場合、それは明確な違法行為と判断されるリスクがあります。
📌 確認すべきポイント
- 契約書に「ノンリコースであること」が明記されているか
- 債権が未回収の場合の取り扱いについて、明確な記載があるか
- 不自然に低い手数料設定にリコース義務が隠れていないか
💬 現場からの警鐘
安易に「手数料が安いから」という理由だけで契約を進めず、契約内容の確認は必ず専門家にも相談するべきです。
特に資金繰りに切羽詰まった状況では、冷静な判断を欠きがちになります。
そんなときこそ、契約書の一言一句に注意を払いましょう。
疑問10:ファクタリングを繰り返し利用すると経営が悪化するのか?
適切な利用頻度とタイミング
「一度使ってみたら便利だった。でも、何度も使うと経営に悪影響があるって聞いて心配です…」
ファクタリングの継続利用については、一定の注意が必要です。
結論として、“使い方を誤れば”経営を圧迫するリスクがあるのは事実です。
これは、ファクタリングが手数料を伴う取引であり、継続的に利用することで資金繰りは楽になる一方、利益が圧迫されていく構造を持っているからです。
たとえば、売掛金1,000万円に対して15%の手数料で月1回ファクタリングを行えば、年間で180万円の手数料コストが発生します。
この金額は、仕入原価や人件費と同様に、確実に利益を押し下げていく要因になります。
❗ ファクタリングの過剰利用が生む悪循環
- 資金繰りは改善 → 収益性は悪化
- 利益が出にくくなる → 銀行評価が下がる
- 融資が受けにくくなる → ファクタリング依存が進む
このような“依存スパイラル”に陥らないためには、ファクタリングをあくまで「緊急時や特定目的のための一時的な資金調達手段」として位置づけることが重要です。
根本的な経営改善との併用
ファクタリングは、決して“悪いサービス”ではありません。
むしろ、適切なタイミングで活用すれば、経営のリスクを大きく軽減できる有効なツールです。
大切なのは、「その先に何を目指すのか」という視点を持つことです。
たとえば、以下のようなシーンでは、ファクタリングが非常に有効です。
- ✅ 大型案件の受注に伴い、仕入・外注費が先行するケース
- ✅ 繁忙期や季節変動で一時的なキャッシュ不足が起こるケース
- ✅ 売掛先の支払サイトが長く、資金繰りのギャップを埋めたい場合
一方で、慢性的な資金不足を補うために恒常的に使い続けるのは避けるべきです。
そのような場合は、並行して以下のような経営改善施策に取り組むことが求められます。
1. 売上アップ施策の実行(販路拡大、単価向上など)
2. 固定費・変動費の見直し(外注費、仕入単価、事務コスト等)
3. 支払サイトの短縮交渉
4. 在庫回転率の改善(不良在庫の圧縮)
5. 融資枠の再調整(信用保証協会付融資の検討など)



ある建設業の社長は、繁忙期に3カ月間ファクタリングを活用し、売上拡大に成功。
その後、銀行融資への切り替えと支払サイト短縮交渉により、1年以内に“ファクタリング卒業”を実現しました。
まとめ
ここまで、ファクタリングに関する「よくある10の疑問」について、現場経験と最新情報に基づいて解説してきました。
インターネット上には「違法」「高すぎる」「怪しい」といった否定的な意見が散見されますが、それらの多くは誤解や一部の悪質業者による行為が原因です。
ファクタリング自体は、法的にも正当性が認められた資金調達手段であり、経済産業省や金融庁も明確にその存在を認めています。
特に、中小企業や個人事業主にとっては、融資と異なり、**迅速・柔軟に資金繰りを支援できる“選択肢の一つ”**として非常に有効です。
ただし、その活用にあたっては以下のポイントを忘れてはなりません。
✅ ファクタリングを安全かつ有効に活用するための3原則
- 正規の業者かを必ず確認する(契約書、リコース条項、登記の有無など)
- 目的とタイミングを明確にする(慢性的な依存は避ける)
- 中長期的な経営改善と併用する(ファクタリング“卒業”の設計を)
筆者自身、現場で多くの資金難に直面してきた経営者と向き合い、ファクタリングが一つの“打開策”として機能する場面を数多く見てきました。
その一方で、正しい知識がないまま契約を進め、“使ってはいけない業者”に引っかかってしまった例も、残念ながら後を絶ちません。
ですから今こそ、「使うべきときに、使うべき方法で、信頼できる相手と」という姿勢が、何よりも重要だと私は考えています。
本記事が、あなたの経営判断において少しでもお役に立てば幸いです。
もし今、資金調達の手段でお悩みであれば、まずは複数の優良業者から見積もりを取り、条件とリスクを冷静に見比べることから始めてみてください。


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